日本通の韓国人が思う、日本人と韓国人の良い/悪いところ

 

友人の韓国人は大学で日本文化について学んで、今は韓国にある日本企業で働いていている。
日本語はペラペラで、日本には10年以上前から何度も来ているから、彼は事情通と言ってよし。
最近、そんな韓国人と話をしたので、今回はその内容を紹介しよう。

*これから出てくる話は、彼の経験と独断にもとづく個人的な意見になる。

 

ーーこんにちは、最近は何かあった?

先週、日本へ行って、一週間ほど滞在していたんですよ。

ーーそうか、それは良かった。でも、残念だね、なんでそれを事前に言ってくれなかったのかな。

私は出張で東京・長野・大阪に行ったんです。
すみません、先生のいる静岡に寄る時間はありませんでしたから。

*韓国社会では学校の教師と生徒の関係だけでなく、一般的に年上の人に対して、敬意を込めて「〜先生」と呼ぶことがある。
日本語で言うなら、「〜さん」と同じ感覚だ。

 

ーー日本にいて、韓国との違いを感じたことは何かある?

日本はありえないほど暑かったですね。私は生きて帰れるか不安になりましたよ。
あと、新宿や大阪で日傘をさしている人をよく見かけました。
韓国では、女性でも日傘をする人は少ないです。理由ですか? おばあさんみたいで、オシャレに見えないからじゃないですか?

ーー最近の日本の夏は「Dead or Alive」のサバイバルだからね。ジャングルに入るのにオシャレなんて気にしていられない。

 

あるアメリカ人が成田空港でもらった「暑さ注意報」

 

ーー君から見て、日本人の良いところってどんなトコだと思う?

社会に秩序があるところで、これは前々から素晴らしいと思っていました。
駅でもコンビニでもどこでも、日本では子どもからお年寄りまで、みんなしっかり列にならんで待ちます。
韓国にも列に並んで待つ文化が定着していますけど、日本人ほどではありません。

ーーその感想は「来日外国人あるある」の鉄板で、特にインド人はそれを言う。
インドの社会はカオスで、日本はコスモス(整然としている)だからさ。
で、なんで日本の社会には秩序があると思う?

日本人がルールや規律を大事にして、それをしっかり守る民族だからです。
もちろん、韓国人も基本的にそれを大切にしますけど、日本人に比べると、どこかに“ゆるさ”があるんです。
たとえば、タバコを吸ってはいけない場所でも、ほかの人が吸っていたら、「あ、いいんだ」と思って自分も吸ってしまうとか。

 

ーー日本人の悪いところって、どんなところだと思う?

会社やプライベートな場で一緒にいても、気軽に声をかけてくれないから、日本人は「冷たい」と感じることが多いです。こちらが声をかけても、リアクションが薄いです。
それに、日本人と話をしていると、たまに自信がないように見えることがあります。
なんでだろうと理由を考えてみたら、日本人はあまり相手の目を見ないからだと思いました。「冷たい」という印象を受けるのも、それが原因にあるんでしょうね。

ーーそれなら、韓国人は大阪人と「気」がジャストフィットする予感。
では逆に、韓国人の良いところってどんなトコ?

フレンドリーで距離感がないところですね。
韓国人は初対面の相手でも、早く打ち解けて親しくなりますが、日本人はいつも一定の距離をおくので、友人になったかどうかよくわかりません。

それと、韓国人は「情」をとても大切にしていることです。韓国では、みんなが相手のことを考えて、社会を明るくしようとする雰囲気があるって、私はこれを韓国人の大きな魅力と考えています。
「情」は韓国人にとってとても重要な考え方で、日本人の価値観や感覚との大きな違いだと思います。でも、いろんな意味があるので簡単に説明できません。

 

チョコパイにも「情」の文字が。

 

ーー韓国人の悪いところってどんなトコ?

気が短いから、怒りやすくてケンカになりやすいところですね。

ーーああ、「パリパリ(早く早く)」の気質か。

そうです。
韓国人は「待つ」ということが苦手で、すぐ感情的に反応してしまうんです。
日本人は車を運転していてクラクションを鳴らしませんけど、私はイラッときたらすぐに鳴らしてしまいます。気づいたら、鳴らしているんです。
日本にはムカッと感じたら、6秒数えてガマンする「6秒ルール」があるじゃないですか?
怒りの感情をコントロールするアンガーマネジメントは韓国人に必要ですね。

*韓国語には「火病(ファッピョン)」という言葉がある。
怒りをお腹の中にある火の玉に例え、韓国放送公社(KBS)によると「怒りを抑制することでストレス障害を起こす精神疾患」(火病)のこと。
日本のネットスラングでは「とつぜん怒り出す人」みたいな意味に使われるが、それはちょっと違う。

ーーそう言えば、前にソウルの繁華街を歩いていたら、酔っ払った人が口げんかをしていたり、女性が男性をビンタしたりしている光景を見たことがある。

恥ずかしいですね。
でも、金曜日の夜に繁華街に行ったら、そんな人はよくいます。日本人にとっては修羅場かもしれませんが、韓国人にとっては「あるある」です。

ーーその点、日本人は「水」で韓国人は「火」かな。

そうかもしれません。
ただ、日本の怒りは分かりにくいんですよ。
一見すると水に見えても、じつは熱湯だったりすることもあって。

ーー日本人にとっては韓国人の「炎」を見ても動じないで、「あるある」と余裕を持って接することが大事かな。

 

 

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2 件のコメント

  • > 韓国社会では学校の教師と生徒の関係だけでなく、一般的に年上の人に対して、敬意を込めて「〜先生」と呼ぶことがある。
    そうですね。その「先生」の使い方は中国語でもほぼ同じです。
    厳密に言うと「年上」だけじゃなく、「立場的に目上の人」に対してではないですか? しかも相手が男性の場合だけだと思います。目下の相手に対しては、丁寧であってもせいぜい「君」くらいで、しかもやはり相手が男性の場合のみ。こういう呼びかけを使うために、韓国人は初対面の相手であっても年齢や学歴・役職をすぐに尋ねて来るのでしょう。

    > 日本語で言うなら、「〜さん」と同じ感覚だ。
    上に書いたように、日本語の「~さん」とは感覚的にかなり違うと思いますよ。「~さん」の方が応用範囲がはるかに広い。
    この呼びかけ方は、相手が男性だろうが女性だろうがその他不明だろうが、また年上だろうが同年代だろうが年下だろうが、全く限定せずに使えます。おそらく、世界中でこれほど便利に使える丁寧な呼びかけの言葉はありません。そういう意味では、世界で最も平等な単語か?

    韓国語や中国語の「先生」に最も近いのは、私の感覚だと、英語の「Mr.(ミスター)」じゃないですかね。それもそのはずで、「Mr.」の語源は「Master」、つまり「ご主人」「先生」という意味だからです。

  • まぁ、この記事は韓国語の「先生」の解説ではないので、ツッコミどころはあるかもしれません。
    「先生」の意味についてはいろいろなサイトで説明がありますので、ぜひそれをご覧ください。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。