10年ほど前、韓国の大学生3人がロサンゼルスからワシントンまで、65日間かけて5000km以上を自転車で横断した。このチャレンジは、個人的な夢を実現させるだけでなく、韓国にとって社会的な意義があった。
ハンギョレ新聞(2016-08-25)
[インタビュー]慰安婦問題知らせるため、大学生が自転車で米大陸横断遠征
日韓の長年の外交問題だった慰安婦問題は、両国政府が話し合いを重ね、2015年12月28日に「最終的かつ不可逆的な解決」を確認した。
これによって日本では「解決済み」となったが、韓国側の受け止め方はちがった。
もう慰安婦問題の解決について日韓が話し合うことはなく、2015年以前の状態に戻ることもできない。だから、この合意で「終わり」と考えるのが自然だが、韓国では慰安婦像が立てられるなど、むしろ問題が始まってしまった。
この韓国人大学生たちもそのように考え、「3Aプロジェクト」としてこんな冒険をおこなった。
日本政府が慰安婦の「強制連行」を認め(Admit)、謝罪し(Apologize)、被害者に寄り添う(Accompany)というのが「3Aプロジェクト」のコンセプト。
3人は面接を受けて選ばれ、大学から約45万円の支援金をもらっているから、これは学校公認の活動と言える。慰安婦問題をアメリカ人に知らせるため、このような活動を支援する国は韓国以外に考えられない。
酷暑の砂漠や豪雨を乗り越え、彼らは自転車のペダルを踏み続けた。その動機は、2015年の日韓慰安婦合意が「無効」であり、「日本政府が心から謝罪するまでこのプロジェクトを続けることを支援する」というものだ。
彼らの最終ゴールはワシントンではなく、ニューヨークにある日本総領事館だ。3人はそこでデモを行い、長い旅を締めくくるという。
この大学生たちの考え方は、今の韓国社会でも支持されている。
しかし、慰安婦問題については、この10年の間にさまざまな動きがあった。たとえば、元慰安婦を支援するとしていた市民団体『正義連』は、「日本軍が朝鮮人女性を強制連行し、性奴隷にした」と訴え、寄付金を集めていたが、元慰安婦の人たちから、彼らが慰安婦問題を利用して金を集め、自分たちのために使ったと暴露された。
実際、『正義連』の代表をしていた尹 美香(ユン・ミヒャン)氏は、家を5軒も購入し、大金が使って娘をアメリカの大学へ留学させた。
尹氏の悪事は公的にも認められた。彼女は横領などの罪で起訴され、2024年に懲役1年6カ月、執行猶予3年の有罪判決を受けている。
以上の出来事を背景に、今ではこんな韓国人が日本にやってくるようになった。
産経新聞の記事(2025/12/1)
「慰安婦詐欺劇を終息させ、韓日友好を」金柄憲氏が講演 韓国で慰安婦像の撤去求めて6年
「韓国国史教科書研究所」の所長で歴史学者の金柄憲(キム・ビョンホン)氏は、韓国社会で定説となっている「日本軍による強制連行説」を否定し、慰安婦像の撤去を求める活動をしている。
『正義連』が毎週水曜日、ソウルの日本大使館前の慰安婦像の近くでおこなっている「水曜デモ」に対して、キム氏はその横で像の撤去やデモの中断を訴えている。この抗議活動は2019年に始まり、今も継続中だ。
『正義連』の犯罪行為が明らかになったこともあり、この団体を見限る市民も増えてきた。2019年8月に2万人が集まった水曜デモも、最近では30人程度に減ったという。
キム氏はアクティブだ。
ベルリン市のミッテ区に慰安婦像が建てられると、2022年に現地を訪れ、「慰安婦問題は国民と世界を欺いた国際詐欺劇」という垂れ幕を掲げた。
一週間ほど前、キム氏は日本に来て東京で講演をおこない、「ウソは葛藤と対立を生む」、「慰安婦詐欺劇が終息すれば、堅固で恒久的な韓日友好関係が成立する」と強調した。
彼は韓国の歴史教育も問題視し、
「日本軍を加害者に設定したことはウソだ」
「ウソで制作された慰安婦像を教科書に載せ、学校内に設置し、生徒たちに隣人(=日本)に対する憎悪心を植え付けるのは教育ではなく、犯罪だ」
と訴えた。
キム氏にとって、慰安婦問題を解決する方法は「慰安婦詐欺劇の核心である『日本軍による強制連行説』を遮断したり、除去すること」にある。
実は韓国には慰安婦問題の「ウソ」を知っている学者もいるが、法廷闘争に巻き込まれたくないため、口を閉ざしているという。
この産経新聞の記事に対して、「ヤフコメ」でたくさんの支持を集めたコメントがこちら。
・6年も自分の考えを貫いて世間に訴え続けるのはとても素晴らしいです
・韓国人にも真実を冷静に見つめる人物がいることに驚きと将来への期待が見込まれる。
・マスコミもこの様な方の行動も放送して欲しいよね!
・当時の日本軍が所有していないヘリはおろか、ジープによって連れ去られたとする事が立派な証言として成立する時点で有り得ないでしょう。
・この方の勇気には感服するけど、現在の大統領の元ではこの史実が公に認められる事はとても困難だろう。
キム氏の表現はやや過激だが、「強制連行」説や慰安婦像を否定し、日韓友好を願う態度は、多くの日本人も同じだから広い支持を集めている。
しかし、韓国社会でこんな見方は例外的だ。
15年の慰安婦合意を破棄し、日本の心からの謝罪を勝ち取るという意見は今の韓国社会でも支持されている。
昨年、「日本軍が朝鮮の女性を強制連行した事実はなく、報酬を受けて働いた」という内容の歴史教科書が文部科学省の検定に合格した。日本では問題ない記述だが、韓国側は黙っていられなかった。
中央日報の記事(2024.04.20)
日本、「加害の歴史」美化、「慰安婦は報酬受けて働いた」と歪曲…教科書が追加合格(1)
外交部(外務省)の報道官は「非常識で理解できない嘘の記述を含めた教科書を検定を通過させた」と非難するしたが、「ウソ」の根拠は示さなかった。
慰安婦問題は少なくとも日本サイドでは解決したが、日韓の認識の違いは今も埋まる気配はない。
おまけ
朝鮮日報の記事(2025/10/22)によると、今年の10月、こんなゲストが日本にやってきた。
「李在明=ヒトラー」「大韓民国を助けてください!」 保守論客チョン・ハンギル氏、新宿の街頭で1人デモ
元カリスマ韓国史講師でユーチューバーのチョン氏が、新宿の街頭に立ち、「李在明=ヒトラー」と書かれたボードを持ちながら、李在明(イ・ジェミョン)政権下の韓国で民主主義が崩壊し、中国の植民地に転落しそうだと主張し、「日本にいる同胞の皆さん! 大韓民国を助けてください!」と訴えた。
チョン氏はこれから全世界を回り、在外同胞に「大韓民国を守らなければならない」と呼びかけるつもりらしい。
日本で「1人デモ」をおこなったあと、すぐにオーストラリアへ向けて出国した。
こうした愛国心やエネルギーは日本人にはない。

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