文大統領の「7500人殺害」発言に、日本や韓国からも批判の声

３月１日、韓国の文大統領がおこなった演説はちょっとしたサプライズだった。

1919年３月１日に朝鮮半島でおきた反日独立運動（三・一運動）を記念する式典で、文大統領は日本を直接非難することはなく、「過去は変えられないが未来は変えられる」と未来志向の日韓関係を訴えた。
１年前とは大違い。
2018年のこの日の演説では、慰安婦問題について「加害者である日本政府が『終わった』と述べてはならない」と言って日本側を怒らせている。

そんな去年とちがって日本へ前向きなメッセージを送った文大統領に、両手を挙げて歓迎するメディアもあった。

「日本政府もこの機会を逃さず、対話を重ねてほしい（東京新聞）」
「それが両国の新たな歩みにつながっていくだろう（毎日新聞）」

はたしてそうかな？

文大統領の韓日友好や未来志向の姿勢を伝える東京・毎日新聞だけど、両紙が伝えなかったことがある。
この日の演説で文氏は100年前の独立運動では、「202万人が万歳デモに参加し、7500人が殺害された」と発言した。

でも、これには根拠がない。
日本によって7500人の朝鮮人が殺されたという話はあるけど、それを事実と証明するものは何もない。
それにもかかわらず、文大統領はこれを歴史的事実として言い切ってしまった。

日本との友好をアピールする一方で、こんないい加減なことを言う。
自民党議員から、「どの口が言っているのか」「やっていることと言っていることが違う」と批判されるのも当たり前。

産経新聞の記事（2019.3.1）

自民、三・一式典「７５００人殺害」言及の文大統領に批判相次ぐ

客観的な根拠がなくても、大統領が演説でそう言えば、その発言が根拠になってしまうこともある。
こうなるともう「言った者勝ち」だ。
大統領の発言に対して日本が何も反論しなかったら、世界ではこれが事実として定着するだろう。
だから自民党の会議では、日本政府が韓国に強く抗議するよう求める意見が相次いで出た。
それに対して外務省は、「電話で抗議をした」と頼もしく答えたという。

そうか、外務省が韓国に電話したんだ。ならもう安心だ。って、そんなわけねー。
韓国に抗議することはもちろん、国際社会に対して、文大統領の発言には何も根拠がないことを訴えてほしい。
日韓が電話ですませただけなら、世界は誤解したままだ。

「7500人が殺害された」という文大統領の発言は、韓国メディアからの批判も招いた。

演説の10日前、韓国の歴史を研究する国史編さん委員会が、三・一運動の死者は最大で約900人と発表していた。
なんで10日後に、いきなり人数が８倍以上に激増したのか？

文大統領の「7500人」という数字は、1920年に上海でまとめられた「韓国独立運動之血史」の中に出てくる。
でも、この数字を採用したということは、大統領が自国の国家機関の数字を否定したことになる。

だから朝鮮日報がコラム（2019/03/10）であきれている。

大統領は教育部（教育省）傘下の「正統な歴史機関」が示した公式統計を無視し、100年前の数字を引用したのだ。

今度は歴史についても自分の好みで数字を選んで引用するというのか。

大統領が言及する数字は慎重かつ正確であるべきだ。

文在寅政権の宣伝に利用された三・一運動100周年

「慎重かつ正確」という態度を放棄して、なんで文大統領は7500人という「自分の好み」の数字を選んだのか？

そのほうが日本の加害性や残酷さを強調できるから。
これ以外にないだろう。
日本に向けては未来志向の協力関係を訴え、国民に対しては反日感情をあおる。
こういうデタラメなことをするから、この大統領は日本の信頼を得られない。

日本企業に賠償を命じた韓国最高裁の判決について、文政権がどのように対応するのかまだ何も発表していない。
文氏はまだ具体的には何もしていないのだから、「日本政府もこの機会を逃さず、対話を重ねてほしい」と飛びつくのは早すぎる。
大統領の言う未来志向が本物かどうか、もう少し時間をかけて見極めたほうがいい。
そして東京新聞や毎日新聞も、こういう反日発言をスルーしないでほしい。

1919年の三・一独立運動の死者については、当時の朝鮮総督府は「553人」としている。
結局、犠牲者の本当の数字なんて誰にも分からないのだ。
ちなみに、このときは日本人の死者も出ている。

韓国の大統領が演説で、日本人の犠牲者についても言及したら、本当の未来志向の関係が築けるはず。
自分好みの数字を言っているうちはまだまだ無理。

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