「人間は自分の見たいと思う現実しか見ていない」
そんなことを言ったのは、ローマの政治家で軍人だったカエサル(前100年 – 紀元前44年)という人。
この人物は高校世界史でならう超重要人物で世界の常識でもあるから、知らなかったら知っておこう。
カエサル
第1回三頭政治を結成してコンスルとなり、様々な改革をおこなった。ガリア遠征に成功して権力基盤を固めた後、ポンペイウスを打倒。前44年終身ディクタトルとなって独裁権を握った。属州出身者の元老院入りを可能にし、カルタゴなどへの植民、ユリウス暦の採用など諸改革を実施したが、ブルートゥスらの共和主義者に暗殺された。
「世界史用語集 (山川出版)」
7月を表す英単語「July」は、この「ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)」にちなんでいる。
「こうなってほしい!」という希望的観測にもとづいてものごとを見ると、自分の願いどおりに見えてしまう。
でも、そんな見方をしていると、いずれ現実にぶちのめされてしまう。
それによって自分が傷つくだけならいいけど、まわりの人を怒らせて、自分の信頼を失うこともある。
「これをやったら絶対にもうかる!」と知人や友人に言ったけど、実際にはそんな甘くなく、彼らに損をさせてしまったら言った人間の信用はガチ落ちだ。
少々まわりくどくなってソーリーだけど、韓国・文大統領がいままさにそんな状態。
先月2月27日におこなわれたアメリカと北朝鮮の首脳会談は「交渉決裂」という結果に終わった。
話をしてみたら、話し合いにならないことが分かっただけ。
この大きな原因は、北朝鮮が完全な非核化に応じなったことにある。
北朝鮮が核を完全に放棄すれば、アメリカは大規模な経済支援をする用意があった。
でも、北朝鮮が核兵器を手放そうしなかったことで交渉は決裂。
この結果を受けてアメリカでは、「北朝鮮に非核化の意志がある」と言い続けてきた韓国政府の責任を問う声が上がっている。
というのは、文大統領がアメリカや国連でそんなことを言う一方で、北朝鮮はひそかに核開発を進めていたという指摘が出てきたから。
朝鮮日報の記事(2019/03/11)
北朝鮮がその間にも大量の核物質を生産していたのだとすれば、韓国政府が米国など国際社会に対し、北朝鮮の非核化について「偽りの保証」をしていたことになる。
「北の非核化意志」保証し続けた文政権、米では韓国の責任問う声
「必ずもうかるから」とウソの保証をしていたのがバレたら、その人間は終わりだ。
文大統領がしたことは結果的にこれに近いから、アメリカの外交専門家には「韓国が今、仲裁者の役割を担うのは欲張り過ぎだ」と言う人もいる。
でも、北朝鮮と会談をおこなう前から、アメリカは韓国を信頼できるパートナーとは見ていなかったようだ。
上の記事には、「韓米間では基本的な情報の共有すらできていないのではないかとの指摘も出ている」とある。
とにかくこの会談の結果、韓国政府や文大統領がアメリカの信頼を失ったことは間違いない。
これも日ごろの行いか人徳のせいかは知らないけど、文大統領の不幸は続く。
交渉決裂という結果はアメリカよりも北朝鮮にとって衝撃的で、深い失望感につつまれた。
すると当然、米朝の仲介役として活動していた文大統領への信頼もなくなる。
文氏の言葉を信じてアメリカとの交渉に臨んだら、とんでもなくヒサンな結果に終わってしまったのだから。
まあそれ以前にアメリカ側は、韓国に基本的な情報すら教えていなかったかもしれないけど。
朝鮮日報の記事(2019/03/11)によると、北朝鮮は文大統領を“見限った”。
北朝鮮としては文在寅(ムン・ジェイン)大統領による「仲裁外交」にこれ以上期待できなくなった
米朝首脳会談:追い詰められた北、日本を利用して危機突破か
2回目の米朝首脳会談が終わってみたら、朝鮮半島の南北が超ガッカリするという結果に終わった。
とくに韓国はアメリカと北朝鮮からの信頼を同時に失うなんて、まったく想像していなかったはず。
でも、それを四文字熟語で「自業自得」と言う。
北朝鮮との関係改善にのめり過ぎた文大統領は「見たいものしか見えない」という状態で、現実を現実のままに把握できず、いい加減なことをアメリカや北朝鮮に伝えていたのだから。
でも、希望的観測にもとづいてものごとを見たり、まわりの人に伝えたりすることは誰でも一度はする。
すると、どうなってしまうのか?
それを今回、韓国大統領が身をもって教えてくれた。
この尊い犠牲をムダにしてはいけない。
みなさん、夢は現実にもとづいて見るようにしましょう。
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