自ら退路を断つスタイル:輸出規制で、何でもNO!の文大統領

 

エンジンなしで車をつくれるわけがない。
半導体製造に必要不可欠の部品が日本から入って来なくて、韓国は連日連夜、パニック状態だ。

これは全国紙・中央日報の紙面(2019/07/16)

 

でも、ことのはじまりは韓国だった。
世耕経済産業大臣が対韓輸出規制を強化した背景をこう説明している。

 

 

日本政府が発表した輸出規制は衝撃的で、それから数日間、韓国政府は具体的なコメントをだせずにいた。
でもこの沈黙は、文政権の高度で緻密な戦略なのだけど、韓国メディアの朝鮮日報はそんなことも分からず、社説(2019/07/04)で的確に批判する。

これは「戦略的沈黙」というそうだが、実際は問題解決能力のない無能と無責任にすぎない。

韓国大統領府の「戦略的沈黙」は無能と無責任の言い換えにすぎない

 

「問題解決能力のない無能と無責任」の文政権は何をしたかというと、日本への怒りを改めて確認して、自分の気に入らない解決策はことごとく否定した。

朝鮮日報の記事(2019/07/10)

日本の経済報復措置以降、徴用賠償問題の対応策として挙げられた案のほとんどを拒否するという「超強硬ムード」がある。

輸出優遇除外:「仲裁委」「特別法」「ICJ」…韓国大統領府は全て拒否

 

徴用工訴訟問題の解決として、日本は第三者を交えた話し合い(第3国仲裁委員会)の設置を求めたけど、文政権はこれに応じようとしない。

おかしいのは日本か韓国か?
国際法で判断してもらおう国際司法裁判所(ICJ)での解決も韓国は拒否。
大統領府高官は「日本が要求する第3国仲裁委員会構成やICJに持ち込むことは全く考慮していない」と言い切る。

韓国与党の一部が提案した特別法制定も「受け入れ不可」という立場だ。
この特別法は、日本企業の賠償責任を一時的に免除しようというものだけど、結局は一時しのぎの案で根本的な解決になっていない。

日本が要求しても、韓国与党が提案しても、文政権は自分の望み通りでないと否定してしまう。
文大統領が期待している解決というのは、日韓の企業が自発的にお金を出し合って基金を設立して、そこから”被害者”の元徴用工に慰謝料を支給するという案だ。
いわゆる「1+1」基金案。
韓国政府は「われ関せず」という立場で、無責任この上ない。
これが韓国側のいう「外交的解決策」だけど、国際法違反の状態はそのままだから日本政府は拒否している。

韓国側がこれからすることは、「日本の経済報復があらゆる国に被害与えることを伝える」と日本の不当性を世界に訴えることぐらい。
「国際世論戦」に持ち込むつもりだけど、最も重要なアメリカ側からは「仲裁に入るつもりはない」と一蹴されてしまった。
根回しで日本に勝てると思うな。

それに先ほど世耕大臣のツイートにあったように、今回の対応は安全保障の理由によるもので、WTOのルールに違反していない。
韓国が「外圧」を利用して日本を圧迫し、輸出規制を解除させようとしても、その日は一体いつなのか?
その前に半導体部品の在庫がなくなってしまうぞ。

 

上の朝鮮日報の記事は7月10日のもので、この時点ではまだチャンスはあった。
「いやだいやだ。全部いやだ」という態度を捨てて、7月18日までに韓国政府が日本の求める仲裁委員会設置に応じれば、日本も輸出規制解除に前向きに検討するはずだ。

でも文政権はとてもストイックで、自分を徹底的に追い詰めることにした。
きのう16日、韓国大統領府は第3国仲裁委員会の設置について、「受け入れられない」という立場を公式に表明する。
回答期限は18日だから、これがファイナルアンサーと見ていい。

拒否の理由は、文政権の”わがまま”だ。
朝鮮日報の記事(2019/07/17)

文在寅(ムン・ジェイン)大統領は前日、「外交的解決の場に立ち返るべきだ」として交渉を直接提案した。それにもかかわらず、日本の菅義偉官房長官が「指摘はまったくあたらない」と述べ、文大統領を批判したことから、青瓦台が態度を硬化させたとみられる。

輸出優遇除外:韓国大統領府、日本側の文大統領攻撃で態度硬化

 

この「外交的解決」は日韓の企業で賠償金をだし合うという韓国政府抜きの無責任なシロモノで、まったく解決になっていない。
それで日本が反論すると、怒って態度を硬くさせる。
駄々っ子か。

大統領府高官の言葉には強い覚悟があるけど、中身がないから今後の展望が見えてこない。

朝鮮日報の記事(2019/07/16)

「日本政府は不当な措置を即刻中断し、今からでも外交的解決に向けたわれわれの努力に積極的に参加するよう強く促す」と述べた。

韓国大統領府高官「日本が輸出規制撤回するまで断固対応」

強く促したところで、半導体部品は韓国には入って来ないのに。

 

これはきょうの中央日報の記事(2019年07月17日)

韓国政府「立場は変わらない」…あす期限の第三国仲裁を拒否

自分の要求以外はすべて却下するスタイルもカッコイイけど、具体的な勝算がないのに自ら退路を断って大丈夫だろうか。
「退かぬ!媚びぬ!省みぬ!」と言った皇帝サウザーは最後は滅んでしまったぞ。
でも、日本も何か巻き添えをくらいそうで不安はある。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。