【徴用工訴訟】日本「約束を守れ」・韓国「国の恥さらし」

 

きのう8月6日の記者会見で、韓国の文大統領と話し合う用意があるか聞かれた安倍首相はこう話した。

「日韓請求権協定に違反する行為を韓国が一方的に行い、国交正常化の基盤となった国際条約を破っている。国と国との関係の根本に関わる約束をまずはきちんと守ってほしい」

やっぱり安倍首相は、徴用工訴訟問題での韓国の対応にかなりご立腹だ。
でも言っていることは一字一句そのとおり。
元徴用工の問題は1965年の請求権協定で解決済み。
日本が韓国に5億ドルの経済支援金をわたすことを約束して、請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決された」と両政府が確認した。
日本は約束通りの資金をわたして、韓国はそれをもとに「漢江の軌跡」と呼ばれる経済成長を実現する。

日本からの1960年代半ばから1990年までの約25年に渡る円借款およびその後も続いた技術援助により、社会インフラを構築して経済発展を遂げた。これが漢江の奇跡と呼ばれる。

漢江の奇跡

 

主役は韓国の人たちで、日本は縁の下の力持ち。
こうして請求権に関する問題は終わりをむかえたのだった。

韓国の最高裁判所がそれを蒸し返して、きょねん日本企業に賠償を命じたことで地獄のふたが開かれたる
国内法でこの協定をひっくり返すことは国際法違反。
日本がその状態を認められずはずはなく、この状態を是正するよう韓国政府に求めたけど、韓国は動かない。
それで日韓関係は最悪と言われるまで悪化してしまった。

「(韓国が)国交正常化の基盤となった国際条約を破っている。約束をまずはきちんと守ってほしい」と安倍首相が言うのは当たり前で、約束を守らない相手と話をして合意しても意味はない。

 

それまでの過程や前後の状況に関係なく、日本から非難されたら、何か言い返さないと気が済まないのがお隣さん。

韓国紙・中央日報がチョ・セヨン外交部(外務省)次官の言葉を伝えている。(2019年08月07日)

安倍氏「韓国、請求権協定の約束を守れ」 韓国外交部次官「過去史にともなう経済報復を立証」

「これで現在日本が取った不当な経済措置が輸出統制の問題でなく、過去史に起因した経済報復というのが証明された」
「安倍政府は真実から目をそらしてはならないだろう」
「過去を否定して人権を無視し、自由貿易秩序を傷つける自己中心的な態度を捨てるべきだ」

日本が求める第三者をまじえた仲裁委員会の設置を韓国が拒否しているのは、「国際条約を破っている」という安倍首相の指摘が正しいことを証明している。
こんな絶対的不利の立場にあっても、「真実から目をそらすな」「過去を否定するな」「自己中心的な態度を捨てるべきだ」と韓国の強きはまったくブレない。
この安定感はさすが。

 

ところで、きのう安倍首相はこうも言っていた。

「現在、日韓関係を考えると、最大の問題は、国家間の約束を守るかどうかという信頼の問題だ」

いまの文政権にはこれが通じないけど、韓国には良心的な人もいる。
朴槿恵(パク・クネ)前大統領ものそのひとり。
一年ほど前だけど、中央日報にこんな記事があった。(2018年09月04日)

慰安婦合意直後、朴前大統領「強制徴用賠償判決出れば国の恥さらし」

2015年12月、日韓が合意を結んで慰安婦問題の解決を確認したあと、パク前大統領はこう話していた。

「大法院(最高裁判所に相当)で強制徴用被害者賠償が確定すれば国の恥さらしだ」

韓国を訪れた米国防長官に「歴史や領土問題で後ろ向きの発言ばかりする日本指導部のせいで信頼関係を築けない」と、いまの文大統領のようなことを言っていたパク前大統領だけど、慰安婦合意を結んでこの問題を終わらせた功績は大きい。
パク氏も「反日的」なんて言われていたけど、国際法を破り国家間の約束を守れなかったら、韓国の信頼が地に落ちることは分かっていた。
こんなパク前大統領のすべてを否定して大統領になったのがムン・ジェイン氏。

日本製品の不買運動がどんなに激しくなっても、約束と法を守ることについて日本が妥協することはできない。
いまの韓国の状態を見て、「国の恥さらしだ」と言える人が出ないと日韓関係の改善はむずかしいだろう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。