中国もアジア諸国も置き去り。韓国による「戦犯旗追放運動」

 

旭日旗に対する韓国の反応はきわめてスペシャル。

2012年のロンドン・オリンピックでは、下の日本代表ユニフォームのデザインが旭日旗に似ていると騒ぎ出す。

 

日本の旭日旗はナチスのハーケンクロイツと同じだから、このユニフォームの着用は五輪で禁じられている政治的表現にあたると主張した。
でもアジア諸国はもちろん、中国からも距離を置かれてしまった。

大韓体育会はアジア諸国との共闘を試みたが、中国は「体育界ではなく国家対国家の問題で解決すること」と同調せず、東南アジア諸国からは関心を得ることもできなかった。

戦犯旗

 

たとえ世界に仲間はいなくても、韓国による「戦犯旗追放運動」はあいかわらず熱心だ。
イギリスには「ロンドン・カレッジ・オブ・ファッション」という世界的に有名なファッション・スクールがある。
その学校がファッション・ショーの様子をインスタグラムに投稿すると、韓国の人たちの目の色がかわった。

 

(インスタグラムのキャプチャー)
まあ日本人としても一言もの申したい。

 

この学校の生徒のセンスは独特だけど、韓国人も独自の価値観を持っているから旭日旗を「戦犯旗」と呼ぶ。
それによると日本の旭日旗はナチスのハーケンクロイツと同じで、世界から追放しなければいけない。
そんな人たちがこれをスルーできるはずもなく、

Students are Nazis???
(生徒たちはナチスか?)
shame on you!!!
(恥を知れ!)

といった非難メールがファッションスクールのインスタグラムに殺到した。
結果、学校側はこう謝罪して写真を削除。

中央日報の記事(2020.01.03)

同スクールは2日(現地時間)、SNSを通じて「当校の日本の旭日旗の写真に傷ついた韓国の人々に心からの謝罪を伝える」と述べた。

英国の有名ファッションスクール、旭日旗写真を削除…「韓国の人々に心から謝罪」

 

ポイントは、謝罪の気持ちを伝えたのは「韓国の人々」に限定しているところ。
中国や他のアジアの国の人たちは旭日旗デザインの服で、ここまで激しく文句を言わないということをイギリスの学校側はよく理解している。

 

国民の力で戦犯旗を「追放」したことは誇るべき成果だから、全国紙の朝鮮日報もこの戦果を報じた。(2020/01/03)

英名門ファッション校 旭日旗デザインの衣装写真投稿を謝罪

 

韓国国民が熱くなる「戦犯旗追放運動」だけど、その歴史は実は浅くて10年もない。
いまのように激しい運動になったのは2011年にサッカー・アジア杯で、キ・ソンヨン選手が日本を侮辱する「猿真似パフォーマンス」をした理由として、「観覧席の旭日旗を見て私の心から涙が出た」と言ってからのこと。
当時、すでに韓国社会には反日感情が充満していたから、小さな火だねさえあればいつまでも大火事となる“準備”はできていた。
上の一言で韓国国民は一気に燃え上がる。

2年ま前には全国紙の中央日報で、「戦犯旗根絶特別企画」という日本ではありえない特集記事が載っていた。
その中で、反日活動家で大学教授でもあるソ・ギョンドク氏が根絶方法について話している。

中央日報(2018.08.06)

世界的に旭日旗イコール戦犯旗、使ってはいけないものという認識を植え付けて世論を形成し、日本政府を圧迫する戦略が最も大きな効果を上げることができる。

<戦犯旗根絶特別企画>「FIFAも削除した…戦犯旗問題、これからは強くいこう」

 

こうやってあおられた国民が愛国兵士となって、旭日旗やそれに似たデザインを使用した世界中の人や組織に抗議のメールを送りまくる。
今回のファッション・スクールの公式謝罪と削除もその成果のひとつ。
でも、韓国による「戦犯旗追放運動」はこれからが本番だ。
ことしの夏に行われる東京オリンピックに向けて、「これからは強くいこう」という気持ちはさらに高まるはず。
それに対して、日本は「大人の対応」だけで対応できるか不安で仕方ない。

 

 

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近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

2 件のコメント

  • ライダイハン問題に詳しいイギリスは少し韓国のことに気付いてる感じですね。
    サッカーチームのリバプールのHPで一度謝罪までさせられていたのに、また同じようなデザインをあげていましたね。
    特にリバプールで問題になっている最中に、マンチェスターUのHPに放射線デザインをあげたのなんて意図的としか思えませんね。
    皮肉屋のイギリス人らしく感じますね。

  • イギリスでは前から韓国の旭日旗騒ぎに巻き込まれていますから、「世界で韓国だけ」ということに気づいている人も多いのでしょう。
    リバプールの謝罪は韓国のIPアドレスからしか見られないようになっていましたし。
    ただ、このままオリンピックを迎えるとどうなるか不安があります。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。