「右傾化」が進む日本にいて、韓国人はどう感じている？「右傾化」が進む日本にいて、韓国人はどう感じている？

日本人と韓国人が参加して、어머니（オモニ）ではなく、おもにお互いの国のグルメ情報や楽しいスポットを紹介し合う友好的なSNSグループがある。
その中の一つで、最近、ある韓国人が日本に長い間住んでいると、歴史や政治、教育などで困難を感じることは多いと指摘したうえで、こんな感想を書き込んだ。

「하지만 처음 일본, 에 왔을때보다 많이 좋아졌다는 건 확실합니다.」
（しかし、初めて日本に来た時より、だいぶ良くなったのは確かです。）

すると、日本に住む別の韓国人が共感し、こんな返信をする。

「한류 덕분에 일본에서 한국인에 대한 인식도 변했지요.」
（韓流のおかげで、日本で韓国人に対する認識も変わりましたね。）

日本に住む韓国人同士の何気ない会話を聞いて（見て）、やや意外に感じた。
というのは、韓国メディアの報道によれば、日本社会では10年以上前から、韓国の価値観や考え方を否定する「右傾化」が進み、「嫌韓感情」が増大しているはずだから。

たとえば全国紙の中央日報は、その傾向をストップさせなければならないと社説でこう強調した。（2013.05.02）

日本の右傾化現象に対する警戒心を高め、これをけん制するための韓国政府と民間の活動が一層強化されなければならない状況だ。

日本の右傾化、積極的な対処が必要だ

韓国側が警戒する「日本の右傾化」とは、具体的にはこんな動きを指す。

・戦時中、慰安婦は強制連行されたり、性奴隷にされたりしなかったと主張する。
・日本の侵略の歴史を謝罪した村山談話や河野談話の否定する。
・教科書に歴史を歪曲した（＝韓国の認識と違う）記述をする。
・独島（竹島）は日本の領土であると主張する。

これらは全て韓国の常識や国民感情に反しているから、あちら側の視点では「妄言」となる。
そして、中央日報はこんな「極右化の動き」の頂点に安倍元首相がいると指摘した。
安倍政権になってから、日本の右傾化が加速したと中央日報は危機感を強め、韓国政府は一般の日本国民や国際世論に働きかけて、右翼勢力を封じ込むべきだと強調する。

しかし、それが成功することはなく、日本社会の「右傾化」はさらに進んでいった。
その過程での韓国側のあせりや怒りは、メディアの見出しを見れば理解できる。

東亜日報（2017年11月11日）

平和主義者の子孫、安倍氏はなぜ「右翼の怪物」になったのか

ハンギョレ新聞（2022年7月11日）

日本の野党、改革勢力「後退」、右翼系「躍進」

それでも日本社会の傾向は変わらず、朝鮮日報は３ヶ月ほど前にこう報じていた。（2024年3月22日）

韓国政府が日本の教科書検定に遺憾表明　日本大使呼び抗議

韓国メディアから、日韓関係が悪化したことついて質問された文在寅（ムン・ジェイン）前大統領は、「日本が右傾化した（ため）」と一方的に責任を押し付けたこともある。
日本の立場から見ればその発言こそ「妄言」だ。
しかし、韓国社会でこの認識は当然視されていたから、問題になることはなかった。

韓国メディアの報道によると、安倍政権が登場してから、日本の社会が右傾化していることは間違いない。それなら、日本にいる韓国人たちは肩身が狭く、生活しにくく感じているのでは？

そんな思いがあったから、実はそ当事者たちが、

「日本はだいぶ良くなりましたね〜」
「ええ、韓流のおかげですね〜」

と和やかな会話をしているのを見て、違和感を感じた。
韓国メディアは「警戒心を高め、これをけん制するための韓国政府と民間の活動が一層強化されなければならない」と“極右化の動き”を強調するが、日本に住んでいる韓国人の実感はこの程度のものらしい。
これがバーチャルとリアルの差か。