日韓関係波高し 不満高まる韓国 vs 不安いっぱいの日本

 

「戦後最悪」と言われた日韓関係も、現在の尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領になってから大きく好転した。しかし、韓国の全国紙・中央日報のコラムによると、まだまだ安定はしていない。
いま日韓の交関係者の間では、両国関係についてよくこんな言葉が使われているらしい。(2024.09.24)

日本の不安と韓国の不満

 

まず、韓国が感じている不満から書いていこう。
日韓の最大級の問題だった元徴用工問題を解決するため、尹政権は日本企業に代わって財団をつくり、賠償金に相当する額を被告に支払うことにした。この前提は、日韓の企業が寄付することによって、お金を用意するというもの。
しかし、日本企業はまったくこれに参加せず、1円の寄付もしていないため、韓国では「こちらはコップに半分の水を満たしたのに、日本は無視・放置している」と不満が高まっている。
「日本はもっと誠意を示すべき」という国民の意識が強いことは、世論調査からも明らかだ。

一方、日本では韓国に対して、「約束をちゃんと守ってくれるの?」という大きな不安がある。
日本政府の立場では、元徴用工問題は1965年の日韓請求権協定ですでに解決済み。
当時、日本は韓国に5億ドルの経済協力を行うことで、この問題は完全かつ最終的に解決され、いかなる主張もすることはできないと両国政府が約束した。
日本の政府も企業も、今になってそれをひっくり返すことは絶対に認められないという点で一致しているから、日本からの財団への寄付はない。

韓国では、日本人の常識ではあり得ないことが起こり得る。
慰安婦問題について、2015年に朴政権と解決に合意しても、次の文政権になると「まだ解決していない」と言い出し、また謝罪要求をはじめた。請求権協定の約束も破られ、日韓関係は戦後最悪となった。
そんなことで、日本では韓国と話し合って合意をしても、政権が変わるとそれが白紙になるのではないかという不安が強くある。

 

韓国側の不満の中身を見ていくと、それはあまりに一方的だということがわかる。
尹政権が示した解決案についても、日本はそれに賛成しただけで、寄付するという約束はしていない。
韓国では、問題の解決に向けて動き出せば、日本もそれに応じた行動をするはず、いや必ずしなければらないという思い込みがある。だから、日本が思ったとおりに動かないと、「誠意ある呼応がしない」と不満を口にする。
そんなことは以前もあった。

文前政権の時代、日本が対韓輸出の管理強化を発表し、韓国は大騒ぎとなる。
この問題を解決するため、韓国の議員団が日本へやって来て、そのを撤回を要求し、輸出手続きで優遇する「ホワイト国」から、韓国を絶対に外してはならないと自分の言いたいことを伝えて帰国した。
韓国の議員はこれによって、日韓両国が問題解決のモメンタム(勢い)を形成することができたと発表したが、日本からはとくに動きがなかったため、韓国の政界では「誠意が見られない」という不満が高まった。
勝手に期待して、思いどおりにならないと非難する。韓国は日本に対して、そんな一方的なところがある。

 

産経新聞の記事によると、韓国に対する「不安」は、日本では一般レベルにまで広がっている。(2024/9/25)

仏像盗難の対馬・観音寺「また、だまされるかも…」 韓国の寺の〝条件〟付き返還承諾に

2012年に韓国の窃盗団が対馬市の観音寺から貴重な仏像を盗み出し、韓国へ持ち込もうとしたところを逮捕された。これで、盗まれた物は元の場所へ戻ってくるという日本の常識は通じなかった。
韓国の浮石寺(プソクサ)がとつぜん仏像の所有権を主張したから。
それで裁判で争うことになり、やっと昨年10月、韓国の最高裁判所が観音寺に所有権を認める判決を出した。
常識的な決定がくだされるまで、仏像が盗まれてから、10年も以上もかかったことになる。

しかし、それから1年が過ぎようとしているのに、仏像は相変わらず韓国にあって、観音寺へ戻ってきていない。それどころか、返却に不満だった浮石寺は、仏像を寺に運んで法要を行いたいと言い出した。期間は100日間で、それがいつ始まるかも分からない。浮石寺サイドはそれを条件に、日本への返還に同意するという。
すでに最高裁の判決が出ているのに、今さらこんな主張をする根拠がわからない。これに対し、観音寺側はこれまでの経緯からこんな不安を述べる。

「半分しか信じられない。10年間、だまされてきた。また、だまされるかもしれない」

 

実際、この「法要」とやらを認めれば、仏像が一定期間、浮石寺に置かれることになる。そうなったら、また返却の約束が変わるかもしれない。
マンガで言うと、この法要は不幸フラグだ。
観音寺の住職は「情に訴えられても…」と戸惑い、「韓国の司法判断が下っても、返されなかった」と不信感を述べている。
一方、韓国のネット上では、仏像の返却について「盗まれたものを盗み返しただけ」「日本こそ泥棒だ」「仏像を返す代わりに対馬を返して」といった不満の声が上がっている。

対馬市議会は仏像について「市民の心のよりどころ」として、韓国政府の関係者に早期返還を求める決議案を採択する予定だ。
観音寺は返還の確約がほしいと訴えている。日本の政府や議員は、それに対しては誠意ある呼応をする必要がある。

 

 

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2 件のコメント

  • 私たち国民が日本に対してこのような誤解をするようになった根本的原因は学校での反日的歴史教育だと何度も書いたことがあります。その他の理由があるとすれば、それは韓国メディアの偏向報道のためです。一方的に日本に不利な報道をしていますからね。しかし、日本はこれに対して対処が不十分です。

    ドイツの慰安婦少女像の存置可否をめぐってドイツ市議会の議員が投票しましたが、存置すべきだという意見が圧倒的だったということです。韓国の広報は成功した反面、日本の取り組みは失敗だと思います。

  • 日韓関係は安定しないで、高い波が起こります。ですが、韓国では日本に好印象をもっている人は過去最高だそうです。
    過去の問題はありますが、全体的に見れば日韓関係は良い方向へ進んでいます。
    日本で石破新首相が誕生しましたが、その傾向は変わらないと思います。

    https://japanese.joins.com/JArticle/323922

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。