「石焼ビビンバ」は中国の文化? 怒る韓国と複雑な日本 

 

アツアツのご飯にナムルや肉、卵などをのせて、コチュジャンやごま油で味付けをして、スプーンでかき混ぜて食べる。
韓国料理を代表する一品で、日本でも人気の高いビビンバの意味は、文字通り「混ぜご飯」だ。

この料理がいつ誕生したかについては、高麗時代や朝鮮時代など諸説あってはっきりしたことは分かっていない。
また、背景についても、先祖のための祭りで食べ物を供えて、残ったご飯、肉、ナムルなどを混ぜて食べたという説や、大晦日に残った食べ物をご飯とまぜて食べたのが始まりという説など、ビビンバの起源には諸説ある。
しかし、確実に言えるのは、ビビンバは世界的に人気が高いということ。
1988年に大韓航空が機内食として提供したところ、「世界最高の機内食賞」を受賞したり、2017年には、 CNNトラベルが発表した「世界で最も美味しい食べ物トップ50」で40位になった。

韓国文化の象徴とも言われるこの食べ物が、よりによって中国で文化遺産に指定されたことで、韓国では国家として対策に乗り出す事態になりました。

韓国文化の象徴とも言われるこの食べ物が、よりによって中国で文化遺産に指定されたことで、韓国では国家として対策に乗り出す事態になった。

中央日報の記事(2024/9/21)

中国の「石焼きビビンバ」文化遺産指定…韓国外交部「歴史歪曲に断固対応」

中国の東北部・吉林省には、少数民族の朝鮮族が住んでいる。彼らは韓国人と同じ民族で、文化も共有しているから、石焼ビビンバも彼らの文化の1つとなる。

*日本での表記は「石焼きビビンバ」よりも、「石焼ビビンバ」の方が多いと思われるので、この記事ではその言葉を使うことにした。

そんなことで、吉林省政府が石焼ビビンバの調理法を無形文化遺産に指定すると、韓国の政府は「歴史歪曲だ」と批判し、外交部(外務省)は「我々のアイデンティティに関連した重要な事案」で、中国側の動きに断固対応すると力強い声明を出した。
また、韓国のある有名教授は、中国は朝鮮族がいることを理由に、これからも「我々の文化を侵奪しようとする」だと警戒心を強めている。
石焼ビビンバの“所有権”を守るために、韓国では官民が一緒になり、総力戦でのぞむらしい。

 

この争いは韓国と中国のもので、日本人にとっては対岸の火事でしかない。上の記事を読んで、日本人はネットにこんな感想を書き込んだ。

・石焼きビビンバは日本が起源と言われてます。
・石焼ビビンバは大阪発祥だろ、それも最近。
・石焼ビビンバは日本で作られた食べ物です。
以前ドキュメンタリーでやってましたが、長く暖かい状態で食べられるようにしたいと、確か日本の墓石からヒントを得て作ったはず。

石焼ビビンバを韓国の伝統料理と思っている人もいるだろうけど、実は日本で生まれたという説がある。それによると、1970年ごろに、大阪の韓国料理店で考案された料理だという。
石焼ビビンバはソウルの全州中央会館で初めて作られたという話しもあるが、確実な根拠はない。
『PR TIMES』の以下の記事(2024年2月29日)でも、「ビビンバは朝鮮料理ですが、石焼きビビンバは日本が起源と言われてます」と説明されている。

石焼ビビンバ専門店「アンニョン」薄ピンクの色合いが春に映える!「博多明太チーズ石焼ビビンバ」!

AIに質問をすると、こんな答えが返ってきた。

「日本が起源と言われています。大阪府の韓国料理店で1970年頃に発案され、ごはんのおこげの香ばしさが人気となりました」

日本語版ウィキペディアには、日本発祥とは書いていないが、「日本におけるビビンバ」の項目で石焼ビビンバが紹介されている。
とはいえ、石焼ビビンバが日本で誕生したかどうかはまだ判明していない。それを言い出すと、韓国政府に「歴史歪曲だ!」と批判される可能性がある。つまり、とっても面倒なことになるから、韓国と中国の争いに日本が参戦するのはやめた方がいい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。