親日的な韓国人、韓国メディアの「日本報道」に異議アリ

 

日本と韓国がそれぞれベスト16という成績に終わった、今回のサッカーW杯カタール大会。
この間、日韓の間で波紋を呼ぶ一言があり。
日本はすでに決勝リーグ進出を決めていて、韓国はまだという状況で「日本の突破は気に食わなかった」と韓国選手が言う。
*「憎かった」と言ったと報じるメディアもある。
このニュースがヤフーに載ると多くの人が見て、韓国を応援していた日本人まで不愉快にさせてしまう。
ヤフコメを見ると、

「各国どこも過去に様々な歴史があるなかで、どこかの国を恨んで生きる様な教育を受けなくて良かった。」

という意見には「そう思わない」が約120に対して、「そう思う」が約5000と圧倒的な共感が集まっている。
ただ韓国でも、国家代表選手の品格にふさわしくないと批判されたし、いろんな意味でこの発言は適切ではなかった。

日本に住んでいたことがあって、日本語ペラペラの韓国人とこのまえ話をしたんで、この一件についてどう思うか聞いてみた。
日本が好きで両国の友好を願う彼としては、一番の問題はこの答えを引き出した韓国メディアにある。
強豪スペインに勝って16強入りを決めた日本について、「我々も上手だとも思ったが、憎い気もする」と言った韓国メディアの記者の質問に答える形で、「日本の突破は気に食わなかった(憎かった)」と選手が発言した。
記者に「我々も」と言われたから、選手は深く考えずについそう言ってしまった。
知人の見方では読者の関心を引くために、メディアは「(日本が)憎い」というパワーワードを中心とした記事を考えていたから、選手にこんな質問をしてねらい通りの言葉を引き出した。

それにあの場でのあの言葉は「日本が本当にうらやましい」といったニュアンスで、日韓で大騒ぎするほどのモノではない。
日本人と違って韓国人はストレートにものを言うし、日本人の感覚からすると、かなりキツイ表現を使うこともよくある。
そうしたニュアンスの違いもあって、「どこかの国を恨んで生きる様な教育を受けなくて良かった」という日本の強い反発を呼んでしまったと彼はみる。
韓国の報道が日本では表現や内容が変わっていたり、韓国人にとっては常識の範囲内にある言葉が日本人には刺激的で「嫌韓ムード」をあおってしまう。
日韓の間ではそんなことがよくあって、両方に仲良くなってもらいたいと思う、坂本龍馬のような彼としてはとても残念らしい。

 

そんな知人の話を聞いて思い出したのが、日本で最近あった有名女優の炎上騒ぎ。
*この報道は事実かどうかアヤシイから、ここでは匿名にする。
先月韓国を訪問して、現地メディアとのインタビューに応じた日本の女優が、独学で歴史を勉強してこう思ったと話す。

「日本の教科書で教える歴史が恨めしくもあり、過去のことをとても謝罪したかった。若い年齢では私が日本人という事実が恥ずかしくもあった」

この発言が日本で天高く燃え上がったことは、簡単に想像できるはず。
でも、鳩山由紀夫さんじゃなくて、人気商売の女優さんが本当にこんなことを言ったのだろうか?
この韓国メディアは事実をそのまま伝えているのか?

 

さて、日韓のメディア報道についてこんなことがあった。

朝鮮日報(2022/11/16)

「ありのままの韓日関係、真実味を持って報道すべき」=第52回韓日言論幹部セミナー

韓国新聞放送編集人協会と日本新聞協会という両国メディアを代表する人たちが、ソウルで「韓日関係の未来志向的再定立に向けた両国言論の役割」をテーマにセミナーを行なった。
このとき韓国側は日本のメディアにこんな注文をする。

「(歴史に対する)謝罪は受け入れる側が謝罪と感じなければならない。そのため村山談話や河野談話に出た内容を真実味を持って繰り返すよう日本のメディアには雰囲気の醸成を願いたい」

一方、日本側は韓国メディアにこう呼びかけた。

「韓国の政治家は本当に日本が再び軍国化し、韓国を侵攻すると考えているのか」
「どうか日帝時代ではなくありのままの日本の実情を韓国に伝えてほしい」

つまり韓国は日本のメディアに「謝罪」をもっと強調するよう求めて、日本は韓国メディアに「過去」を強調しないよう求めたことになる。
いまの日本に韓国への武力侵攻なんて考えられない。
でも、韓国メディアがそんな報道をして国民も信じてしまうから、いろんな誤解がうまれてしまう。

韓国メディアに「願望に基づく報道」があるとしたら、韓国人に「日本が憎い」、日本人には「日本の歴史が恨めしい、過去をとても謝罪したい、私が日本人であることが恥ずかしい」と言わせることも十分あり得ると思う。
おそらくあの女優はこんなことを言っていない。
でも、本質的な問題は別のところにある。

 

今回のサッカーW杯で決勝リーグに進んだ日本はPK戦で3本外し、「1-3」でクロアチアに負けて敗退した。選手は泣いて、日本中も落ち込んだ。
でも、選手や監督はよくガンバッタという雰囲気が日本では多いのだが、朝鮮日報はこう報じる。(2022/12/07)

カタールW杯:PK戦になると日本は「ノミの心臓」、クロアチアは「鋼の心臓」 

「ノミの心臓」とは臆病者のことで、そう自称するのならいいとしても、全国紙が他国に言うのはどうなのか。
スペインも同じようにPK戦で3本外してモロッコに負けて、決勝リーグから脱落した。
でも相手がスペインなら、韓国メディアがあえて虫を使った表現を見出しに持ってくるとは思えない。
同じ状況の韓国代表に日本のメディアがこんなことを言ったら、韓国国民が激怒する未来しか見えない。
日本ならきっと「韓国惜敗」と残念がるような報道になる。
ちなみに決勝リーグで韓国と対戦したブラジルが得点を決めて、ゴールパフォーマンスとして“歓喜のダンス”を踊ると、韓国メディアは「韓国を侮辱」と怒った。

 

「日本の突破は気に食わなかった」と韓国選手が言ったというニュースは、韓国では「そう思う」が約5000、「そう思わない」が約120みたいな圧倒的な差がつく気がする。
日本に対してネガティブな見方を期待する空気が無くならないと、韓国からこうした記事は無くならない。
でもこうした記事によって、そんなイメージはますます強くなる。
(韓国視点では、日本にもそんな空気があるのだろうけど。)
そして韓国好きな日本人や日本好きな韓国人は、そんな悪循環に心を痛めることになる。

 

 

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ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。