ちょうど去年のいまごろ、橋下徹氏がこんなことを言って韓国を怒らせた。
中央日報の記事(2019.10.15)
慰安婦妄言の橋下氏「日本企業の資産が現金化なら韓国企業の資産差し押さえ」
元徴用工訴訟で韓国最高裁が日本企業に賠償を命じたけど、これは国際法に違反する判決だったことから、日本の政府と企業が一丸となって支払いを拒否。
すると韓国の原告側は日本企業の資産を差し押さえて、現金化しようとする状態がいまも続いている。
去年のこのときは、もし韓国側が現金化をしたら、日本国内にある韓国企業の資産を同じ金額分だけ差し押さえようと橋下氏が提案した。
そんなふうにして韓国企業を巻き込んだら、「何とかしてほしい」と声を出すようになり、韓国政府も国際司法裁判所などの第三者を入れてこの問題の解決に動き出すのではないか、と橋下氏は言う。
実現へのハードルは高いけど、日本の求める国際法違反の是正を韓国側が拒否していて、いまは対話での解決ができないのだから、韓国企業に日本と同じ実害を与えて文政権を動かすのはたしかに効果がありそうだ。
でもそれはひとまず置いといて、ここで注目したいのは橋下氏とセットになっている「慰安婦妄言」という言葉。
記事によると、それは橋下氏のこんな発言だ。
橋下氏は2013年、「慰安婦は必要だった」「戦場で慰安婦を活用したのは日本だけでない。ほかの国もそうだった」などと妄言を吐き、世界的な批判を受けた。
この韓国紙の「世界的な批判を受けた」というのが具体的にどんなことかは分からないけど、まず橋下氏は慰安婦を容認していない。
それどころか、「日韓基本条約に基づき、法的に解決済みと言っていることの方が元慰安婦を傷つけている」と安倍首相を批判し、むしろ“韓国寄り”の態度も見せたのだけど、韓国でそれは評価されず、「慰安婦妄言」の人物と強調されている。
その「妄言」の中身は橋下氏のこの発言これだろう。
「歴史をひもといたら、いろんな戦争で、勝った側が負けた側をレイプするだのなんだのっていうのは、山ほどある。そういうのを抑えていくためには、一定の慰安婦みたいな制度が必要だったのも厳然たる事実だ」
「(慰安婦制度は)朝鮮戦争の時もあった。」
韓国紙にとってのこの妄言は真実で、必要性があったから韓国軍にもアメリカ軍にも慰安婦がいたのだ。
文春オンラインの記事(2020/9/28)で、歴史の事実に基づく韓日関係の構築を目指している元ソウル大教授の李栄薫氏がこう話す。
韓国では、1945年以降も慰安婦は存在しました。朝鮮戦争での韓国軍慰安婦であり、その後の韓国都市の私娼街での慰安婦、あるいは駐韓米軍の慰安婦たちです。
「韓国民間慰安婦の悲惨さは、日本軍慰安婦より厳しく悲しかった」 ――『反日種族主義』編著者が検証した、韓国併合条約条約の“不法性”
韓国での慰安婦の実態を調べて李氏は驚いた。
慰安婦の女性に『日本軍慰安婦と米軍慰安婦のどちらがいいか』と聞いたところ、『日本軍』と答えたという。
日本軍の慰安婦は暴力から守られ、妊娠からも保護されていたけど、米軍慰安婦は流産を強要され、出産すると赤ん坊はアメリカに連れ去られた。
毎年1000人以上の赤ん坊がそうなったと聞いて、「私は本当に怒りました。自分たちにこんなにも悲惨な悲しい歴史があったのか」と李氏は声を震わせる。
韓国政府は当時、これを「黙認」していたはずだ。
そもそも韓国軍や国連軍のための慰安所を運営していたのは韓国政府だ。
韓国政府・軍は慰安婦に対して「あなたたちはドルを得る愛国者」として「称賛」したという。
慰安婦は前線に送られる際には、ドラム缶にひとりずつ押し込めてトラックで移送し前線を移動して回り、第五種補給品として韓国軍と共に米兵も利用した。
朝鮮戦争で韓国・アメリカ軍に捕えられた北朝鮮軍看護婦。
捕まった北朝鮮の女性はレイプされたり、強制的に慰安婦にさせられることもあった。
「一定の慰安婦みたいな制度が必要だったのも厳然たる事実だ」という橋下氏の主張は、戦時下でのこういう悲劇を防ぐことを意味したのだろう。
それを「慰安婦妄言」と非難する人は、ではどうすれば、こうした女性への性暴力を防ぐことができたと考えるのか。
まあ上の朝鮮戦争のとき、韓国軍には慰安婦がいたのだけど。
「日本人が妄言を吐いた」とあおって、国民を反日活動に動かす人がいまでも韓国にはたくさんいる。
中央日報の記事(2020.09.25)
「釜山ユニクロ」1年間延期の末にオープン…「容認できない」店舗前で1人デモ
ユニクロの開店が許せないと言う「強制徴用労働者像建設特別委員会」のソン・ジヨン委員長は日本人の「妄言」にこう怒る。
「日本の菅首相は官房長官時代、強制徴用問題は韓国に責任があるという妄言を吐いた」
「安倍前首相は読売新聞とのインタビューで『2015年慰安婦合意で(韓国は)日本を蔑視できなくなった』と妄言を吐いた」
前者は、韓国が国際法に違反したことを指すのならその通りだし、後者については、安倍前首相はそんなことを言っていない。
慰安婦合意によって韓国が「日本をおとしめようとすることはできなくなっている」と発言したけど、蔑視なんて単語はどこにもないし、そもそもこれは2015年の合意で韓国が約束したことだ。
事実や存在しない内容を「日本の妄言」と表現して日本製品の不買運動をけしかけると、怒ってそれに呼応する人たちが現れる。
ユニクロで働く韓国人従業員にとっても迷惑この上ない。
李栄薫氏のように、客観的な歴史認識にもとづいて日韓関係をみられる人が増えたらいいけど、いまの韓国でそれは望めそうにない。
すると橋下氏の言うように、韓国の反日によって韓国自身が傷つく経験をくり返すことが有効で、韓日友好への近道か。
こちらの記事もどうぞ。
コメントを残す