江戸から明治へと時代が変わって、日本は「西洋諸国に学び、国を発展させないといけない!」と思うようになり、積極的に欧米の文化や文明を取り入れて社会を変えていく。
すると、時代の変化についていけない人も出てきて、武士を中心とする世の中を理想と考える人たちは、日本の西洋化に強い嫌悪や怒りを持つようになる。
面白いのが熊本の敬神党(けいしんとう)だ。
彼らは江戸時代には武士の身分だった人たちで、西洋文明の象徴である電線を「汚れ」と考え、その下を通るときには頭上に扇子を広げる者もいた。
ほかにも洋服を着た人に出会うと、「汚らわしい」と塩をまく人もあり。
それぐらいの奇行ならまだよかったけど、彼らは一線を越えてしまう。
1876(明治4)年に廃刀令が出るとブチ切れて、明治政府に対し「神風連の乱」という反乱を起こし、政府・敬神党側の合わせて200人近くの死者を出した。
あの時代の西洋化は正しい選択だったのに、頭が固すぎて現実を受け入れられなかったらしい。
これは100年以上前の出来事で、いまでは本やネットの世界に存在する話。
だがしかし、令和のいまでも、自分にとって都合の悪い現実には背を向ける人はいる。
客観的に科学を無視して、自分の価値観にこだわって間違った情報を流したり、大げさな表現を使って世間に恐怖を拡散する人もいる。
例えば韓国の全国紙、ハンギョレ新聞の記事が伝える京畿道のイ・ジェミョン知事だ。(2021-04-26)
京畿道知事「日本の汚染水、命がけの闘いが始まる」…輸入水産物の放射能検査拡大
日本が福島原発の処理水を海に放出すると発表したところ、これを“放射能汚染された水”と不安をあおる表現を使って、「1380万の京畿道民はもちろん、大韓民国国民の命と安全を脅かすもの」と国民に訴える。
このイ・ジェミョン知事は韓国の次期大統領に有力視されている、とても影響力の大きい政治家だ。
いまの韓国でこれは山の一角。
国際基準を満たした安全な水を、とんでもなく危険なものと錯覚させる政治家やメディアがいま社会にあふれている。
一方、IAEA(国際原子力機関)のグロッシ事務局長は「技術的に可能であり、国際的な慣行に沿ったもの」と日本の対応を歓迎した。
テレ朝ニュース(2021/04/14)
IAEA「国際的な慣行」 原発処理水の海洋放出を歓迎
それもそのはず。
この処理水にはたしかに放射性物質が含まれているが、その量は微々たるもので健康への問題は無視できるレベルだから。
日本が定める放出基準は1リットルあたり6万ベクレルで、この水が人体に与える影響については朝日新聞がこう解説する。(2021年4月13日)
この水を70歳になるまで毎日約2リットル飲み続けても、被曝(ひばく)は年間1ミリシーベルト以下におさまるという。日本で1年間に自然界から受ける放射線による被曝量と同等かそれ以下で、国際的に許容されるレベルにとどまる。
トリチウムってどんな物質? 海洋放出後に必要なこと
排出予定の処理水は、この基準のさらに40分の1にまで薄めるのだ。
毎日約2リットル飲み続けるという設定はあり得ないが、それでもそれは国際的に認められた水準なのだ。
それを流した海にいる魚や貝などを食べたところで、人体にいったい年間ミリシーベルトの被ばくがあるのか?
韓国原子力学会でさえ問題はないと、事実上日本を支持しているのだ。そのせいでいま国内でぶっ叩かれているけれど。
いま深刻な問題は科学を無視した悪意によるトンデモ情報の拡散で、「福島の魚はアブナイ」といった風評被害が広がること。
これを広げようとする勢力は残念ながら、日本の内外にあるから、フェイクニュースに踊らされないようにしないといけない。
ちなみに日本人が普通に生活していて、自然に受ける被ばく線量は、宇宙から0.3ミリシーベルト、空気中のラドンから0.48ミリシーベルト,そして大地からは0.33ミリシーベルトで約1.1ミリシーベルトになる。
くわしいことは環境省のホームページ「放射能」を見てくれ。
東京からニューヨークまで往復すると、0.11~0.16ミリシーベルト被ばくする。気づかないだけで誰でも毎日、放射能に被ばくしているのだ。
これでも安全なレベルなのだから、処理水を放出した海の魚を毎日腹いっぱい食べてもまったく問題ないはず。
「日本の汚染水、命がけの闘いが始まる」と言う韓国の知事と、「国際的な慣行に沿ったもの」と日本の対応を歓迎したIAEAのグロッシ事務局長。
正確な情報を発信しているのは、言うまでもなく後者。
にもかかわらず、いまの韓国では正しい情報が広まらず、『放射能汚染水』といった過激表現を使って国民感情をあおる政治家やメディアばかりいる。
だからこんな若者がでてくる。
中央日報日本語版の記事(2021.04.28)
「東京五輪不参加を要求」国民の力の党本部に進入した韓国大学生連行
日本の海洋放出に怒ったこの大学生は、五輪不参加を訴えるために与党の本部に入ったところ、建造物侵入の疑いで現行犯逮捕された。
こんな違法行為を行う大学生とそれを支持するグループがあれば、記者会見を開いてこんなことを言い放つ高校生の集団もいるのがいまの韓国社会。
中央日報日本語版の記事(2021.04.29)
「日本はいま汚染水を放出しても飲むのには問題ないという暴言を連日吐き出している。汚染水はお前ら(日本人)が飲め」と話した。
釜山の高校生が集会「福島原発の汚染水、日本人が飲め」
なんでこういう言い方をたしなめる大人がいないのか。
いや、いたかもしれないけど、記事を見る限り、このメディアも高校生を肯定的にとらえている。
日本への支持を表明したアメリカにも怒り、この高校生集団は日本人と米国人に“汚染水”を飲ませるパフォーマンスを行い、さらに持っていたプラカードを丸めて投げつけたという。
電線を「汚れている」と扇子をかざす行為が奇行なら、自分の未来や韓日関係を破壊するこれらの振る舞いは愚行でしかない。
でも若者をこうした行動に走らせたのは、科学や現実を無視して、安全なものに恐怖心を抱かせるような情報を流し、反日感情を刺激する政治家やメディアだ。
IAEAや韓国原子力学会の見解を採用していたら、高校生や大学生がこんなバカなことをするはずない。あ、でもひょっとしたら…。
バカバカしい話、安全が確認された処理水を危険な「放射能汚染水」と信じ、IAEAの意見には敵意を向け、自分基準のデタラメ話をして恐怖をつくり出す人間は日本にもいる。
でも幸い、そんな情報で踊り出す国民は少なく冷静だと思う。
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ドイツの“少女像”まで利用するユン氏に、韓国国民「恥知らず!」
ふむ。確かに科学を無視して感情的な反感だけを掻き立てる韓国の政治家やメディアは愚かだと思いますが。
それでもこの記事を読むと、やはりブログ主さんも日本人に共通した弱点・失敗を露呈していると考えます。そては下記のような記述です。
> 正確な情報を発信しているのは、・・・いまの韓国では「正しい」情報が広まらず、・・・①
> あの時代の西洋化は「正しい」選択だったのに、頭が固すぎて現実を受け入れられなかったらしい。・・・②
日本人は、「正しい(vs. 正しくない)」「良い(vs. 良くない、悪い)」という表現を、充分に考えないまま使いすぎる傾向にあります。ほとんどの日本人が、文章を記述する際にこの種の過ちを犯していると思う。
上記のうち①は、(同文章の最初のところにも書いてある通り)正しい情報=>正確な情報、事実に即した情報、学術的に裏付けのある情報、という意味です。
また②は、正しい選択=>取るべき選択、妥当な選択、(当時の世界情勢を鑑みると)最善の選択、という意味です。
それぞれ英語に翻訳してみてご覧なさい、good? fair? proper? correct? accurate? scientific? realistic? etc. 色々な表現の中から適切な候補を選択しなければならないことが実感できるはずです。少なくとも全部が「good」じゃ通じませんよ。理数系の学術論文でもそうなのですが、こういった「物事に対する評価」の表現が、日本人は実に苦手なのです。だから日本語は「非論理的言語だ」なんて言われてしまう。(そんなことなく、使い方次第なんだけど。)
ある意味、天上の神様の視点から物事を見るという行為が、本質的に日本人には難しいのかもしれません。
なお、欧米人の言うところの「good」は、「god」にも通じるかなり強い単語で「宗教的に、社会的に、あるいは道徳的に『正しい』」という意味「も」あるので、彼らはあんまり使いません。「(仕事で)Good job!」「(ゴルフで)Good put!」なんてのは例外的です。
一般には何でも「Great!」じゃないかな。ちょっと昔は「Super!」なんて言い方も流行ってたけど。
これが教育の恐ろしさ。日本は酷いことをした。日本は20万人の婦女子を強制的に連行して慰みものにした、、、。冷静に考えればそれが可能かどうかわかるはずなんだが。普通なら。韓国の主張はなんら証拠も科学的裏付けもなく、いわんや証拠があったとしても目を背けひたすら自分の主張を押し通す。