【ずっと平行線】いまの日韓は「話し合いじゃ、話にならねえ」

 

あるアニメの中で、兄とケンカをした妹がこんなセリフを言う。

「話し合いじゃ、話にならねぇ…」

いまの日本と隣国の関係がちょうどこんな感じ。
日韓関係が「戦後最悪」といわれるほど悪化した最大の原因は、元徴用・慰安婦訴訟で韓国の裁判所が日本の企業や政府に賠償を命じたことにある。
日本はこれを日韓合意、国際法に違反すると大反発する一方、韓国側はその主張をガンとして認めない。
だから一応、会って話はするけれど、お互いの違いを確認するだけで1ミリも前に進まない。

日テレニュース24(2021年6月21日)

日韓局長協議“元徴用工や慰安婦”平行線

このとき日本は韓国側に元徴用工や慰安婦問題で適切な措置をとるよう求めると、韓国側は日本こそ誠意を示すよう求めた。両国の外務省の局長が3時間以上も話し合った結果、互いに一切譲れないし、わかり合えないことがわかって終了。
これと同じことをここ数年、何度も何度も何度も繰り返している。

この3か月後に行われた話し合いもまったく同じ。

時事通信の記事(2021年09月16日)

元徴用工問題など平行線 日韓局長

今度は日韓外務省の局長が会談を行い、日本は韓国に国際法違反の是正を求めると、韓国側はこれまでどおりの主張をして、互いが向き合ったテーブルにはマリアナ海溝より深い溝があることを確認して終わった。
こちらがあちらに譲る気はないしその必要もない、という点では日韓は完全一致している。

いま行われている自民党総裁選(=首相決定戦)でも韓国に妥協する気配はなく、4人の候補者は日韓関係の改善についてはほとんど口にしない。
これに不満の朝日新聞は社説でこう苦言を呈す。(2021年9月21日)

6年前の両政府の慰安婦合意の際、外相だった岸田氏は「日本は合意の中身をすべて実行した」として、「ボールは韓国にある」という。岸田氏の後任の外相だった河野氏も、歴史問題では同様の立場だ。北朝鮮対応ひとつとっても、日韓両政府の緊密な連携は欠かせない。相手任せにせず、日本側からも打開の道を探るべきではないか。

自民党総裁選 外交の知恵を競い合え

 

日本側も打開の道は探っていて、話し合いを中断することなく続けてはいる。
でも、これまでと同じことを同じように繰り返すエンドレス。
これもそうだ。

毎日新聞の記事(毎日新聞 2021/09/24)

日韓外相が会談 徴用工などの歴史問題 議論は平行線のまま

ついに両国の外交トップ、外相どうしが50分間ほど会談した結果、日本が韓国側の適切な対応を求めたのに対し、韓国外相は韓国政府の立場を説明した。
つまり話はかみ合わずに終了。

 

ここ数年、ここ3か月だけで3回も話し合いをしたのに、いつも平行線で交わることがない。
ただこれは「どっちもどっち」ではなくて、韓国側に重い責任がある。
元徴用・慰安婦問題は日韓両政府が話し合いを重ね「最終的な解決」で合意し、韓国側は日本からお詫びの気持ちと支援金などをすでに受け取っている。
これを何度も蒸し返して問題化するのは韓国であって、「合意の中身をすべて実行」した日本は一切問題にしていない。
「日韓お互いが」ではなくて、まずは韓国側がこのゆがんだ状態を是正しないと前には進めない。「ボールは韓国にある」というのはそういうこと。

現役の日本外交官の中で韓国を最もよく知るという道上尚史氏が韓国メディアのインタビューで、韓国外交についてこんな指摘をした。

「国際法、国際慣例はもちろん把握しなければならない。国内説得も重要だ。」

文政権は国家間の合意や国際法をしっかり守り、反日世論を説得する必要がある。
その具体的な行動を見せなかったら、日韓の誰が会っても前回の平行線を確認するだけ、話し合っても話にならねえ。
ミカサだったら「不毛…」と言って話を打ち切るところだ。

 

 

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3 件のコメント

  • 慰安婦や徴用工問題は、韓日間の表面的な葛藤に過ぎません。
    根本的な問題は、韓国が建国して以来、現在まで堅持してきた日米を中心とする自由民主勢力から朝中露を中心とする社会主義圏に進入しようとする意図だと思います。
    文政権発足後、このような傾向は露骨になりました。 韓国国民もこの政策に無関心に導かれています。
    このまま時間が経てば、韓国が社会主義国家に変貌することは火を見るよりも明らかです。
    このような韓国社会を生きる韓国人は辛いです。

  • 韓国に民主主義が根付かないのはなぜか 儒教説、傲慢説、米国離れ説も
    (鈴置高史氏へのインタビュー記事)
    デイリー新潮 9/27(月) 6:01配信

    問題の本質は、この記事にほとんど全て言い尽くされていると思います。
    だけども、この記事でさえ、「ではどうするべきなのか」という解決策まで提言されている訳じゃない。
    知韓派の鈴置氏も「すでに遅すぎる、どうしようもない」と考えているのでしょう。

  • 記事を読みました。知韓派らしく現在の韓国の状況を正確に読んでいると思います。
    苦労して勝ち取った民主主義が急速に後退していますが、それを食い止めるブレーキは非常に弱いです。
    韓国の近代化は事実上日本統治時代から始まったし、自由民主主義は1948年から始まったので、このような急速な左傾化を防ぐ耐性がありません。韓国としてはとても大変な時期です。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。