いまは患者数が減ってきて、比較的落ち着いてきたけど、1か月ほど前の韓国は新型コロナウイルスの感染拡大が止まらなくて社会はパニック状態にあった。
そんな中、ハリス駐韓アメリカ大使は韓国国民に気づかって、励ましとリップサービスの入り混じったことをよく言っていた。
中央日報の記事(2020.03.04)
ハリス駐韓米大使「新型肺炎対応、韓国のあらゆる措置は非常に印象的」
感染拡散を防ぐために韓国政府がとったあらゆる措置について、大使は「印象的」と政府高官に伝え、「韓国は全世界が向き合っている新型肺炎との戦いで先頭にいると考える」と話したという。
さらに「韓国の新型肺炎関連状況を綿密に見守っており、すべての方の安危を心配している」と自身のツイッターでも言った。
これはその1週間後の中央日報の報道(2020.03.11)
ハリス米大使、「韓国のコロナ対応は立派、がんばれ大韓民国」ツイート…マスク着用して仁川空港訪問
今度は「がんばれ大韓民国」というハッシュタグを付けたツイートをアップ。
仁川(インチョン)国際空港を訪問して、「仁川空港訪問は立派だった。熱心に仕事をされる方々に感謝する」と言ったハリス大使はどこまで良い人なのか。
アメリカはこの日、韓国人に対する入国制限はしないと、韓国にとってはうれしい発表をおこなった。
ハリス大使は本当にいい仕事をしていた。
そんなハリス大使が、任期満了のまえに韓国を去りたいともらしてニュースになった。
ロイター通信の報道を引用しながら、朝鮮日報がこう伝える。(2020/04/10)
韓米対立や自身に対する人身攻撃などに挫折感を抱き、今年11月の米国大統領選挙後に辞任することを望んでいるという。
「朝鮮総督」「日本巡査」非難に疲れたか…ハリス駐韓米国大使に11月辞任説
トランプ大統領が再選に成功してもしなくても、ハリス大使は韓国で仕事をするつもりはなく、11月の選挙が終わったら駐韓大使を辞任したいと周囲に話している。
北朝鮮に近づく韓国政府に対して、「アメリカと共同歩調をとるように」と釘をさしていたハリス大使は政権側から嫌われていて、記事によると「韓国与党サイドは「内政干渉」だとして憤然となり、ハリス大使に十字砲火を浴びせた」ということもあった。
それ以上に、もうこの国はコリゴリだと大使に思わせたのは、タイトルにある「自身に対する人身攻撃」で間違いない。
政権を支持する国民から批判されるのならいいけど、ハリス大使は不当な個人攻撃を受けていた。
その理由はこの「見た目」から想像してほしい。
ハリス大使はアメリカ人の父と日本人の母親のと間に、神奈川で生まれた日系アメリカ人。
移民大国アメリカでそんな出自は関係なくて、完璧なアメリカ人であるハリス氏は元軍人で、第24代アメリカ太平洋軍司令官という重要職を務めあげたあと韓国大使となっていまはソウルにいる。
韓国の一部の与党支持者は日本人という要素を取り上げて、「朝鮮総督」「日本巡査」と攻撃を盛んにおこない、与党サイドはそれを放置。
大使のひげが日本統治時代の総督や巡査を連想させるということで、韓国で大使への大バッシングが起きた。
それとこれはまったく関係ないけど、韓国で国民感情は絶対的な正義。
「もしわれわれを不快にさせるものがあったらそれは悪だ。悪はたたいてかまわない」という論理は、特に日本に対してよくある。
ハリス大使もこの犠牲者となった。
昨年末に起きたことは本当にむごい。
中央日報(2019.12.14)
在韓米大使館付近で「ハリス斬首大会」…ひげ抜き、顔つぶしパフォーマンス
ちなみにこれに反対する韓国人もいて、「反米を叫びながらなぜ米国企業が作ったiPhoneやマックブックを使うのか」「なぜナイキの靴を履くのか」と叫んだとか。
大使が韓国世論からぶったたかれていたとき、反日世論に迎合する必要のない米CNNは、「米国であれば人種差別と見なされる」と非難する記事(January 17, 2020)を載せた。
Racism, history and politics: Why South Koreans are flipping out over a US ambassador’s mustache
体に流れる“血”が理由となって非難を受けたら、これはどこの国でも人種差別行為になる。
ネット上では「朝鮮総督」「日本巡査」と個人攻撃を受け、大使館の近くで「ひげ抜き、顔つぶしパフォーマンス」をされたら、アメリカ人の大使が「遺憾の意」で済ますわけない。どこぞの島国とは違うのだ。
でも、「ハリス斬首大会」を叫ぶ人たちにはそれが分からない。
「韓国のコロナ対応は立派、がんばれ大韓民国」
「韓国のあらゆる措置は非常に印象的」
これはつまり、「韓国さようなら」だ。
こちらの記事もどうぞ。
>北朝鮮に近づく韓国政府に対して、「アメリカと共同歩調をとるように」と釘をさしていたハリス大使は政権側から嫌われていて、
ここのところ、ちょっと分かりづらかったです。「釘をさしていたハリス大使は韓国政権側から嫌われていて、・・・」と正確に記述する方が迷いがなく読めると思いました。
パーティ会場で暴漢が米国大使に刃物で切りつけたり(警備はどうなってんだ?)、講演会場で日本大使にブロックを投げつけたり、塀を乗り越えて大使公邸へ無断侵入した学生が(ほぼ)無罪放免となったり、米軍トラックが防衛ミサイル基地へ補給するのを近隣住民が勝手に検問したりする国ですからね。もはや近代国家とは言えないでしょ。
一昔前なら戦争ですよ。
ご意見ありがとうございます。
ただそれだと「韓国」が重なってしまうので、ここはこのままにします。
文政権の支持者はアメリカにもけっこうやりたい放題ですね。保守派の朝鮮日報はそれを心配してますが、政権が黙認する以上、制御できないでしょう。