日本支援に国民から批判が殺到、それに対して韓国の市長は?

 

「戦後最悪」とよく表現されるいまの日韓関係だけど、協力が必要な場面では互いが支援の手を差し伸べている。

海外にいてコロナ騒動で帰国困難になった日本人がいたとき、韓国政府は彼らをチャーター機に乗せて運んだし、同じ状況にあった海外の韓国人を日本政府がチャーター機に乗せて帰国させた例もあった。
「最悪」だけど、良い感じの部分もある。

それに日本はこれと別次元の協力もしているのだ。

白血病の治療で5歳の韓国人女児がインドの病院に入院していて、症状が悪化して命の危険が迫ったとき、それを知ったインドの日本大使館は特別にビザを出して、日本政府の特別機で女児と家族を無事に運び出した。

このあと韓国政府が日本に感謝の言葉を伝えて、菅官房長官も記者会見で「日韓協力の良い例」と述べているから、日韓関係はすべてが闇というわけでもない。

韓国の全国紙・中央日報はこれに希望の光を見出す。(2020.05.07)

この5歳児は日本政府が自国民のために用意した特別便に乗ってニューデリーを出発、東京を経由した後、仁川(インチョン)に帰ってきた。(中略)このような人道的レベルの相互扶助で最悪まで落ち込んだ韓日関係が改善される絶好の機会ができた。

白血病児の奇跡、韓日関係回復の転機になるよう期待する

 

ただ、期待するだけで関係が回復するほど、「最悪」は甘くない。
徴用工問題と慰安婦問題で韓国側が国際法と日本との約束を守らない限り、関係は根本的には変わらないから、いまは韓国から先に動く必要がある。

でもそのためにはまず、国内の反日感情をどげんかせんと。

 

先日、韓国・慶州市のチュ・ナギョン市長が友好関係を結んでいる奈良市と京都市に、保護服や防護メガネを提供した。

「本当に困っているときに助けるのが真の友人であり隣人」
「今は韓日両国がコロナ対応のために協力しなければならない」

こう話す市長に共感し、「複雑な感情はあるけど、いまはそれが大事」と韓国国民も拍手を送った。
なんて思った人はあま~い。
実際にはこれを知った国民からは抗議と非難が殺到、市長さんは猛バッシングを受けた。

中央日報の記事(2020.05.22)

朱市長は「支援の件で大変な非難と攻撃に苦しんだ」とし「土着倭寇か、チョッパリ(日本人に対する差別用語)か、狂ったのか、未来統合党らしいなど生涯に受ける暴言を一晩ですべて受けたようだ」とコメントした。

日本への防疫物品支援で非難…慶州市長「地震の時に支援受けた」

日本を支援したら、「狂ったのか」と言われる。
「戦後最悪」の原因はこれだ。

 

でも市長は負けない。

「反日感情が強いこの時期になぜそんなことをしたのか」という批判を受け入れつつ、市民の理解を得るために日本を支援した理由を説明する。

2016年に慶州地震が起きて厳しい状況にあったとき、日本の友好都市から多くの支援を受けた。だから、「今回の防疫物品支援は相互主義の原則の下で支援するもの」という。
今度は日本が厳しい状況にあることを指摘して、自身のこう思いを次のように述べる。

「このような時に大乗的な次元で助けることが文化大国の我々の雅量であり本当に日本に勝つ道ではないでしょうか」
「戦争中、敵にも医療など人道主義的な支援はするもの」
「韓日中関係は歴史の屈曲も深く、国民感情も複雑だが、長い呼吸で長期的な観点で眺めなければいけない関係」
「そのような複合的な観点で防疫に少し余裕が生じた我々の市が支援をすることになったという点を理解してほしい」
「いま我々に必要なのは無条件の反日ではなく、未来志向的な克日という点を強調したい」

 

困っている隣国を支援する。
その相手が日本だと、韓国の政治家はここまで丁寧に説明して、市民・国民の理解を求めないといけないのだ。

でもなんとか市長の考えが通じて、非難の声もおさまった。
と思った人はあま~い。

今度は市長が攻撃対象となった。
中央日報の記事(2020.05.25)

日本に新型コロナ防疫物資を提供した韓国慶州市長に非難殺到

慶州市のホームページは批判の書き込みであふれ、大統領府ホームページにある国民請願掲示板には「慶州市長の朱洛栄の解任建議を切に請願します」という題名の投稿があった。

「独断的で日本に防疫物資を支援した朱洛栄は慶州市長職から退くべき」と主張するこの請願には、すぐに6万人以上の賛同が集まる。

さすがにここまでくると、市長もギブアップ。

自身のSNSで「海外の姉妹都市防疫物資の支援が何がそんなに間違いなのか分からない」と困惑しながらも、市長は日本への追加支援は取り止めることにした。
そして、「国民情緒」を無視して独走したことを反省。

中央日報日の記事(2020.05.26)

「今後、ある決定を下す時には国民感情を勘案してすべての事案について一層慎重を期するようにしたい」と話した。

日本に防疫物資を支援した韓国慶州市、「国民感情を考慮、追加支援撤回」

 
共同通信の記事「日本への支援に批判殺到、韓国 慶州市、物資寄贈の一部取りやめ」(5/26)によると、市長はいま「売国奴」の扱いを受けている。

 

日本が支援して「白血病児の奇跡」が起きたとき、韓国メディアは「韓日関係回復の転機になるよう期待する」なんて言っていたけど、韓国の市長が日本を支援したらこのざまだ。
「いま我々に必要なのは無条件の反日ではなく、未来志向的な克日」と訴えても通じない。

韓国の国民感情、つまり反日感情を刺激すると人道主義的な支援さえ不可能で、市長がそれをしたら批判殺到、政府には解職を求める国民請願が提出されてしまう。
コロナ危機でもこんな感じなのだから、韓日関係の改善なんて夢の話だ。

 

 

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1 個のコメント

  • いいんじゃないですか。言いたければ言わせておきなさいよ。
    韓国以外の第三国に誤った考えを吹き込んでいるのでない限り、自国民をどうしようが韓国人の勝手でしょう。
    なお、日本人からの反論もしくは反発があるうちに、こういうことはやめておくべきだったと思います。でも既に遅すぎる。
    むしろ、海外にはそのような国があるのだと日本人が知ることも、良いことであると思いますよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。