ことし4月、韓国で文大統領と与党は絶対に負けられない戦いをしていた。
それは第21代総選挙。
この選挙によって、文政権と与党のこれまでとこれからが決まる。
韓国政府のしてきたことが国民から評価されて、今後も権力を握り続けられるかどうかが判断されるのだ。
でネタバレというか、選挙結果を言うと、文大統領が属する与党「共に民主党」と比例政党の「共に市民党」が全300議席中の180議席、約60%を獲得して圧勝。
最大野党の「未来統合党」は当然のことながら、歴史的惨敗に終わる。
このときの選挙中、与党側がとった戦略ついて朝鮮日報が記事(2020/04/02)に書いている。
政府・与党も総選挙を前に反日ムードを助長している。与党「共に民主党」は候補者たちに配布した「総選挙戦略・候補マニュアル」で「未来統合党は日本の安倍政権を擁護し、日本には一言の批判も言えない。わが国民は今回の選挙を『韓日戦』と呼ぶ」として反日マーケティングを隠していない。
もう一つの安全弁「韓日通貨スワップ」再開は霧散
政府・与党が反日ムードを助長して国内選挙を『韓日戦』にすり替えて、国民感情をあおる反日マーケティングを全面的におこなった。
与党が国民に支持された最大の理由は新型コロナ対策を高く評価されたからだけど、とはいえ、「反日」も大勝の原動力となったことは確か。
「なんで敵が野党ではなくて日本なのか?」とこのときはあきれて見てたけど、ちゃんと結果を出した以上、与党の戦略は正しかったのだ。
反日をあおって“敵”をつくる反日マーケティングは、韓国国民に効果的にアピールできるし、大きな対価も得ることができる。
ほぼノーリスクで高額配当が期待できるのだから、これを利用しない手はない。
でも上の記事で朝鮮日報が強調している、というか心配しているのが「韓日通貨スワップ」。
これは韓国が経済破綻しないよう日本がおこなう実質的な経済支援だから、文政権の失策で経済がうまくいっていない韓国としては、安全策として是が非でもこの協定を結んでおきたい。
でも文政権の反日強硬姿勢にくわえて、韓国側の見方では「安倍政権の影響力に苦しめられる日本銀行のせいで、韓日通貨スワップは困難だろう」ということだ。
いやいやいや。
待て待て待て。
これは日本国民の総意と言っていいだろう。
文政権が日本との合意や国際法を守らない状態で、安倍政権が韓国と通貨スワップを結んだら国民が黙っていない。日本銀行内でも安倍政権の対韓姿勢に賛成の人は多いだろうし、苦しんでいるのは日銀ではなくて大韓民国だ。
通貨スワップに対する韓国の立場や思いは、この文章によ~く表れている。
「韓日通貨スワップ協定の締結を推進する意思を示してきたが、日本に公式な提案をしてはいないことが分かった」
ことし3月、「日本との通貨スワップも行われるのが正しい」とチョン首相が言ったように、韓国政府も通貨スワップの必要性は感じている。
そんな気持ちはチラチラ見せているけど、日本に一貫して無視されているという無慈悲な現状。
日本に「通貨スワップ協定の交渉をしよう!」なんて言ったところで、秒で拒否されてメンツがつぶれるから、それを公式に言うことはできない。
*もし韓国が2015年の慰安婦合意を守っていれば、まず間違いなく通貨スワップ協定は結ばれていた。
でも文政権は約束を守らず、2016年には釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置されるのを黙認したため、日本がこの交渉を打ち切ったという経緯がある。
くわしいことは外務省ホームページを。
日本政府は韓国側の「韓日通貨スワップ協定の締結を推進する意思」を理解したうえで、ずっと「丁寧な無視」で対応している。
「反日マーケティング」が有効なのは国内だけ。
それが日本に伝わると評価は逆になって「嫌韓」を作り出し、韓日通貨スワップは遠くにいってしまう。
政府・与党が「反日ムードの助長」をしたのはことしの選挙だけではなくて、数年前からほぼ年中無休でやってきた。
文政権になってから、韓日関係が戦後最悪となったのはもはや必然の運命。
そんな韓国政府がこれから対日姿勢を変えるかというと、まーそれはないですわ。
読売新聞の社説(2020/6/11)
4月の総選挙では与党が圧勝した。政権基盤が強化された現状では、対日強硬路線の大幅な見直しは期待できない。
日韓世論調査/文政権が相互不信を広げた
反日ムードをあおって国内選挙を「韓日戦」に仕立て上げてた戦略はみごとに成功したし、それは国民が政権を支持する理由にもなっている。
文政権がいまさらその構図を崩せないだろう。
さて7月がきのうで終わり。
だからもうすぐ、“あの日”がやってくる。
元徴用工裁判でいま原告側が差し押さえている日本企業の財産を、韓国の裁判所が命じれば8月4日から現金化することができる。
そうなったら日韓関係は「ジ・エンド」。
中央日報の記事(2020.07.27)
「韓日関係、破局を迎える前に強制徴用問題の解決法を探るべき」
この問題は「どっちもどっち」ではなくて、日本との合意をひっくり返した韓国に解決責任がある。
日本が納得できる解決法を文政権が提示しないと前には進めない。
でもあと3日で文大統領が態度を一変させるとは思えないから、韓国政府が眺めているうちに現金化は始まるのだろう。
そこまでされたら日本政府も「遺憾の意」だけでは済まされない。
当然、韓国に報復するだろうし、そうなったら韓国も反撃するはずだ。
すると中央日報の言う韓日関係の破局がはじまる。
韓国の政権与党による反日マーケティングは、韓国では反日、日本では嫌韓を助長してきた。現在の韓日関係の悪化はそのたまもの。
「日本が通貨スワップ交渉に応じない!」と悩んでいるいまがかわいく見えるほどの大きなツケを、韓国は8月4日以降に払うことになりそう。
4月の選挙で文政権が大勝したときに、この未来は見えていました。
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