全ては安倍の嫌韓政治?慰安婦問題で韓国が日本に怒る理不尽

 

こういうのを急転直下と言うのだろうけど、安倍首相がとつぜん辞任を発表したことで隣国はうれしさと期待を隠せないご様子。
というのは、韓国が(一方的に)望む未来志向の韓日関係の構築において、最大にして絶対的な障害が安倍首相だったから。

ただ天敵が消えたとはいえ、次の首相も同じ自民党から出ることは確定しているから、戦後最悪と言われるいまの日韓関係が急に新しくなるわけではない。
だから韓国はまだシャンペンを開けていない。

 

でも安倍首相が退場すると聞いた韓国メディアは、これまでたまっていた恨みを爆発させた。
文大統領の反日政策を批判していた保守派の朝鮮日報でさえも、いままで安倍首相が意図的に「韓国叩き」をおこなって日本の嫌韓ムードをあおり、自身の支持率アップに利用していたとボロクソに書く。

「韓国叩き」主導の安倍首相が辞任へ 韓日関係好転なるか(2020/08/28)

 

韓国メディアの「安倍叩き」は次の日もつづいた。

朝鮮日報の社説(2020/08/29)

安倍退陣で「嫌韓政治」「反日政治」が全て終わることを願う

でもこの社説の中身を見ると、日韓関係が「戦後最悪」と言われるほど悪化した原因のほとんどは韓国側が提供したことがわかる。
すべてを紹介するのは無理だから、ここではこの社説の中で韓国の価値観や考え方がよく分かる慰安婦問題を取り上げようと思う。

韓国としては、4年まえの安倍首相のこの発言が許せない。

2016年には「日本軍慰安婦被害者らに謝罪の手紙を送る意向はあるのか」との質問に「そのような考えは毛頭ない」と答えた。

 

元慰安婦の人たちに対して、謝罪の手紙を送る気持ちは一切ないと安倍首相は明言。

この部分だけを切り取ると、血も涙もない冷酷な人間のように見えるけど、これは政治家として引かなきゃいけない一線だ。

まず慰安婦問題で最も大事なことは、これは日韓両政府が話し合いを重ねて2015年に最終的・不可逆的な解決で合意したという事実。
だから、終わった問題を蒸し返す韓国の態度こそおかしい。

それに日本は韓国側の要求を受け入れて、安倍首相が心からのお詫びを表明したうえで韓国側に10億円をわたしている。にもかかわらず1年もたたないうちにまた謝罪しろと言われたら、「NO」と拒否するのは必然で、そもそも追加要求ができるなんて合意にはなかったはず。
それにもし、このとき韓国にゆずっていたら、追加要求はきっと止まらなくなっていた。

韓国側はいまでも、新首相がきまったら真っ先にすべきこととして「旧日本軍の性奴隷制の被害を受けた全ての女性に謝罪し賠償することだ」と当然のように主張しているのだから。

聯合ニュースの記事(2020/9/2)

韓国慰安婦団体「日本の次期首相は被害者に謝罪すべき」

 

「もうこの件は終わりです」と確認して握手をしても、しばらくすると「いや、まだ終わっていない!」と一方的に言い出して、それまでの交渉をぶち壊す。
そんな韓国の勝手気ままな言動はよく「動くゴールポスト」と表現される。

韓国が約束・宣言・合意・条約を、勝手に変更または無視して決定事項を履行せず、日本に追加要求をする状況を意味する時に使っている。

ムービング・ゴールポスト

 

いま韓国がしないといけないことは「謝罪の手紙を送る意向はあるのか」と日本に迫るではなくて、自分の言葉をちゃんと守ること。
日本は慰安婦合意で約束したことをすべて実行したけど、韓国はいまだに履行していない。

日本大使館前にある慰安婦像を撤去しなければいけないのに、韓国政府が放置をつづけた結果、この像はこの5年で1ミリも動かなかった。
約束を守らない側が守った側に謝罪を要求するというのは、もう何の話かわからないけど、慰安婦問題はいまこれほど理不尽な状態になっている。
安倍首相が「そのような考えは毛頭ない」と断固拒否した至極当然。
一度終わりを確認したことは、もう後戻りしてはいけない。

さらに韓国政府はその後、慰安婦財団を解散させて日韓合意を実質的に破棄してしまった。
日本から謝罪とお金を受け取ったあとに合意を白紙にするという、むちゃくちゃなことを文政権はした。
これで生まれた日本の嫌韓はすべて韓国のせいで、「安倍の嫌韓政治」と主張するのはこの上なく的はずれ。
それで「全て終わることを願う」と言ってもそりゃ無理ってもんですよ。

 

いま日本大使館前にある慰安婦像の状態はこの徴用工像とよく似ている。

中央日報のコラム(2019.11.22)

問題提起する人も特にいない。管轄自治体は「撤去対象だが保留している」と述べた。違法の徴用労働者像はソウル・竜山(ヨンサン)駅などにもある。労働者像が新たなトーテム(神聖なシンボル)になったような雰囲気だ。

日本製徴用労働者像と「日本人モデル」論争

 

この徴用工像は韓国の国内法に違反する、まさに「違法の徴用労働者像」なのに、反日愛国の国民感情に合っているから異議を唱える人は特にいない。
「撤去対象だが保留している」という態度は、慰安婦像を放置・黙認する文政権と同じ。
違法の像が「神聖なシンボル」になっているという不思議現象も慰安婦像と同じで、いっそのこと珍百景に登録申請してほしい。

 

おまけに書くと、日本は韓国に対して過剰と思えるほどに配慮しているのだ。

韓国国会がきょねん旭日旗を「軍国主義の象徴」として、五輪競技場への持ち込みを禁止するよう国際オリンピック委員会に求める決議を賛成多数で採択した。
これに対して自民党議員が抗議決議を提案するも、けっきょくそれは成立せず。

産経新聞の記事(2019.11.28)

党内に韓国との外交に与える影響に配慮すべきだとの声があり、保留の状態が続いている。

自民、旭日旗で対韓決議を検討 日韓関係配慮で保留に

日本の「嫌韓政治」なんて、まあこの程度ですよ。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

1 個のコメント

  • > 首相が意図的に「韓国叩き」をおこなって日本の嫌韓ムードをあおり、自身の支持率アップに利用していたと

    つまり、自国を叩けば支持率が上がるのだと自ら認めているわけです。
    また、何があろうと、他国を叩くことによって政権の支持率を上げられるような、そういう扇動主義的な政治が韓国では行われていると。鏡に写した自分達の姿を投影しているのでしょう。
    いやはや。
    韓国は、隣国ではあるが、それほどの重要性を日本人の多くは認めている訳ではないですよ。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。