【日本の多文化共生】イスラム墓地建設と反対運動、解決策は？

日本に住むムスリム（イスラーム教徒）にとって、最大の悩みはきっと死後。

イスラーム教では、亡くなった人は土葬されることになっているのだけど、いまの日本でそのための墓地を確保することは本当にむずかしい。
これが大きな理由で知人のムスリムはインドネシアへ帰国した。

ことし9月、ムスリムの団体が九州の土地を購入して墓地を開設する計画を進めていると、それを知った地元住民が反対の陳情書を町と町議会に提出したというニュースを見た。

「墓地からの排水が農業用のため池や飲み水の水源地に流入するのが不安だ」というのがその理由で、陳情書を受け取った町議会がどう判断するか気になっていたところ、毎日新聞でこんな記事を発見（2020年12月4日）

住民による建設反対の陳情を賛成多数で採択した。陳情に法的拘束力はないが、イスラム教徒側は困惑している。

イスラム教徒の土葬墓地建設　町議会が反対側住民の陳情採択　大分・日出

記事によれば、ムスリム団体が購入した用地は住宅や病院から110メートル以上離れているし、近くに川や沼もないから公衆衛生面の条件はクリアしている。
でも、「墓地ができれば風評被害が起きる」といった意見が議会で出て、賛成14、反対1で住民の意見が採択された。

これに団体代表はこうため息をつく。

「どうしてマイノリティーの文化に理解を示してもらえないのか」

最終的な判断は町長がするというから、一体どんな結果になるのやら。

これにネットの反応は？

・人生の大事な行事やイベントに
クリスマスやウエディングドレスを受け入れた日本人ならできるよ
・変わらないとイカンのは俺らじゃなくてムスリムなんだが。
・数が多いから正しい
などと思ってる奴はコペルニクスの時代に帰れ！
・絶対に阻止すべき
一度作られたら取り返しがつかなくなる
・アッラー以外は神はいないとか八百万の神が居る日本とは絶対合わない宗教だろ
・明治までは日本でも庶民は土葬だったのに、
わずかな数の土葬で環境がどうのこうのと、笑わすなよ
・これは別にいいわ

カン違いしている人もいるようだけど、日本で土葬は認められているし、静岡をはじめ各地にムスリムが埋葬できる墓地はすでにある。
実現すれば、九州ではこれがはじてになる。

地球上のすべての人間は「ハジメマシテ」は同じだけど、「サヨナラ」の方法は宗教によって違う。
輪廻転生の考え方のあるヒンドゥー教や仏教では火葬が一般的で、復活を信じるイスラーム教やキリスト教では伝統的には土葬だ。

最近、九州の大学を卒業したアフリカ人ムスリムと話す機会があって、彼はこの墓地建設に深い関心を持っていた。
そのムスリムの話だと、イスラーム教徒にとって大事なのは現世よりも来世（という言い方が正確か？）で、生きている間は神との約束を守って生活することで、死後に復活して天国へ行くことができる。
「この世は永遠の天国に向かうためのもので、ラストジャーニー（最後の旅）なんだ」と彼は言う。

だからイスラーム教徒にとって「終わり方」はとても大事で、肉体がなかったり欠けていると、最後の審判で地獄行きになるかもしれない。
聖書クルアーン（コーラン）には「現世を罪深く過ごした人間は地獄の炎で焼かれる」とある。
火葬はこの地獄のイメージに重なるから、強い嫌悪を感じるムスリムもいるらしい。

墓地の確保は、外国人と暮らす多文化共生社会に向かう日本の課題だけではなく、最近はイスラーム教徒に改宗する日本人も増えているから、もっと身近な問題でもあるのだ。

ムスリムが国際結婚したパートナーの日本人もムスリム入信が義務なので、これまでの家の墓とは別になり、国内でのムスリム墓地の必要性が大きくなっている。

イスラムの土葬

「費用が高くて母国へ遺体を運べないイスラーム教徒もいるし（70～100万ほどかかる）、日本では遺体を埋める場所がないから、早く墓地をつくらないといけない。もう時間は残っていない」とアフリカ人のムスリムが言うのは分かるとしても、「仏教徒の日本人をその墓地に埋葬することはできません」という排他的なところがちょっと引っかかった。
まー直接関係ないのだが。

彼も「どうしてマイノリティーの文化に理解を示してもらえないのか」と団体代表と同じことを言うのだけど、イスラーム教が土葬文化ということは住民も分かっているだろう。
問題はきっとそこじゃない。

知人の在日外国人はSNSで募集をかけて、よくこんなボランティア活動をしてその様子をSNSにアップしている。