紳士から“ブリカス”まで。コロナ隔離中の英国人、200人が脱走

 

「紳士」とはもともと古代中国で高級役人を意味していた。

いまの日本でこの言葉は、高い教養があって礼儀正しい男性という意味で使われている。
「英国紳士」という表現があるように、ジェントルマンといえばイギリス人の印象が強いのだが、そんな日本人のイメージについて英国人にきいてみると、

I hear that kind of thing it just makes me giggle.

そんなことを聞くと笑いがこみ上げてくる、という人もいれば別の意見の人もいる。

there are a lot of rude people around and would say English gentleman is just a stereotype.

失礼な連中はそこら中にいるし、「英国紳士」はただのステレオタイプ(型にはまった見方)でしかないという。

くわしいことはこの記事をどうぞ。

「イギリスは紳士の国」と日本人に言われた英国人の感想は?

 

そんなイギリス人について、スイスにある高級スキーリゾート地ベルビエで約200人が消えたとニュースになった。
といってもコナン君を呼ぶ必要はなく、その理由は明々白々。

AFPの記事(2020年12月28日)

新型コロナウイルス対策に基づきホテルでの隔離対象となっていた数百人の英国人観光客が、夜間にこっそり逃げたことが判明した。地元当局が27日、明らかにした。

スイスのスキー場でコロナ隔離中の英国人200人、夜中に逃亡

 

このベルビエはイギリス人に人気のスキーリゾートで、クリスマス直後から雪を楽しみに多くの人が訪れるという。
それはわかるけど、「監禁生活」がイヤになって新型コロナの隔離対象者200人が集団脱走したとか、日本人じゃ考えられない。

このニュースに日本のネットの反応は?

・ヒャッハー!
by 英国人
・もはやテロ
・関ヶ原の戦いで例えると、どんな状況ですか?
・ブリカスさぁ…
・身勝手というものかな。日本から見ると。ただ当の本人らはそういう感覚皆無なんよね。
・檻に自分から入っていくのなんて日本人くらいやで
・半分は残ったのか。
紳士だな。

 

ブリカス」とは「あのカス野郎」のカスにブリテン(イギリス)を組み合わせた造語で、イギリスをバカにするときに使うネット用語。
アヘン戦争やジャガイモ飢饉など、大英帝国時代におこなった数々の悪行について語るときにこの言葉が使われる。
日本人が海外で不祥事をおこすとネットで「ジャップさぁ…」と書かれるように、あきれる振る舞いをしたイギリス人に対してもネットで「ブリカス」と言われることがある。
まぁ基本的には使わないほうがいい。

 

 

ただ、この集団脱走にはワケがある。

イギリスで最近、感染力が強いといわれる新型コロナの変異種が発見されたことを受けて、スイス政府は今月14日以降にイギリスから来た人全員を10日間の隔離対象とすることにした。
これは突然きまったことだから、このときベルビエにいたイギリス人にとってはまさに寝耳に水。
青天の霹靂で、急きょ隔離対象となってしまったから、「そんなこと聞いてねーよ!10日間もガマンできるか!」となって映画化しそうな大脱走が始まったらしい。
200人がスキーやスノボで滑走して逃げ出したら、まさに映画のワン・シーン。

ちなみにホテル側は、「(彼らを)責めることはできない。ほとんどの事例で、隔離を維持できる状況ではなかった。広さ20平方メートルホテルの客室に4人でこもった状態を想像してみてほしい」と理解を示している。
だから、この200人の英国人が「ブリカス」に当てはまるかどうかは見る人による。

 

ということで本日のまとめ。

イギリス人が「there are a lot of rude people」と言うように、英国には上品な紳士もいれば礼儀を知らない“ブリカス”もたくさんいる。
だから、どちらかだけでイギリス全体をイメージするのはやめよう。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。