台湾にとって、中国はパイナップル輸入の最大のお得意先。だった。
中国が突然、3日前に台湾産パイナップルの輸入を停止すると発表したから、台湾はパニック状態となる。
禁輸の理由は、台湾の農産物から有害生物が発見されたからだというけれど、それを信じる台湾人はまずいない。
中国に批判的な与党支持者が台湾南部に多いから、その農民をターゲットにした政治的な理由から、禁輸を行ったと台湾人はみている。
とにかくこれで、大量の台湾パイナップルが行き場をなくしてしまった。
それで蔡総統、有名人、企業など全台湾がパイナップルの購入を内外に呼びかける。
台湾の痛みは日本の痛み。
隣人のピンチを聞いてすぐに動き出す。
ニューズウィークの記事(2021/3/3)
台湾政府のパイナップル推進キャンペーンの初日に、日本からの受注は62%増加した、と陳は言い、今年の対日輸出量は前代未聞の5000トンに達すると予測した。
台湾産「自由パイナップル」が中国の圧力に勝利、日本も支援
これに日本のネットの反応は?
・これは全力で買うしかない
・お彼岸に10個ぐらい買う
・中国にマジ感謝するわ。日本に譲ってくれてありがとう!
・これが一時的なムーブメントで終わらなけりゃいいけどな
・もうじき、西友に並ぶ。近くにあるので買いに行く。
・台湾の農家さん頑張ってー!
・タピオカの次はパイナップルブーム
ほかの輸入パイナップルに比べると、台湾産は少しお値段がするらしい。
でも日本は東日本大震災などのときに、台湾から全力支援してもらった恩があるから、これはもう一つか複数買うかの選択ししかない。
いま日本で広がる『加油(がんばれ)台湾』の動きを見て、思い出したのが東日本大震災のときに行われた『ヤシマ作戦』。
この元ネタとなった作戦は、いま映画公開中の『新世紀エヴァンゲリオン』のアニメ放送、第六話「決戦、第3新東京市」の中で出てきたヤシマ作戦だ。
このとき碇シンジの乗るエヴァ初号機が巨大なライフルで、ラミエルという強敵のコア(心臓部)を撃ち抜いて倒した。
ちなみにこの『ヤシマ作戦』の名称は、源平合戦での最後の戦い「屋島の戦い」で武将の那須 与一(なすのよいち)が遠くから矢で扇を射抜いたエピソードと、日本の古い名称「八島(八洲)」から付けられた。
この巨大ライフルを発射するには凄まじい量のエネルギーが必要だったため、日本中が停電するほどの電力がそこに集められた。
街の明かりが消えるシーンを覚えている人も多いはず。
まぁ綾波レイの「あなたは死なないわ、私が守るもの」と言うエヴァ屈指の名場面にはかなわないが。
東日本大震災のときにも、これを連想させる”作戦”があった。
地震によって福島の原子力発電所などが大ダメージを受けて、東北や関東では十分な電力を供給することができなくなった。
それで東北や関東の人たちが安定して電気を使えるよう、日本政府が国民に節電を呼びかけた。
するとすぐにSNSを中心に、節電に協力する動きが全国に広がっていき、いつしかネットでこれが「ヤシマ作戦」と言われるようになる。
ちなみにハッシュタグは「#84MA」。
くわしいことはここをクリックされたし。
計画停電が実施された習志野市の住宅(3月15日)
まんまエヴァンゲリオンの第六話
『エヴァンゲリオン』の制作スタッフもこんなイラストを無償でつくって提供し、節電キャンペーンを応援する。
さすがにこのときほどではないけれど、少々お高くても「これは全力で買うしかない」「台湾の農家さん頑張ってー!」と台湾を支援している様子をみると、不便をガマンして全日本人が団結して行った『ヤシマ作戦』が思い浮かぶ。
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明日もう一度中華屋へ行って、パイナップル入り酢豚を食べてきます。
でもそのパイナップルが台湾産とは限らないが、まあいいか。きっと他国産のパイナップルは売り上げが落ちているだろうし。