アメリカ人の違和感:「終戦記念日」って9月2日じゃね?

 

きょう9月2日は「宝くじの日」。
日本の宝くじの起源は戦国時代や江戸時代にあったという説もある。が、現在の宝くじに直接つながるものは太平洋戦争末期の昭和20年7月に、軍事費を得るため日本政府が販売した「富くじ」(勝札:かちふだ)だ。
この売り上げで戦費を調達しようともくろむものの、8月6日・9日に原子爆弾を落とされ力尽き、15日に降伏を宣言して終戦となった。
抽せん日の前に敗戦を迎えたことで富くじは、国民から皮肉で「負札(まけふだ)」と呼ばれるようになったという。
くわしいことは「宝くじ公式サイト」をクリック。

*日本の降伏を決定付けたのは原爆投下ではなくて、8月9日にソ連が攻め込んできたこととする説もある。

 

日本に10年以上住んでいて歴史にくわしいアメリカ人が知人いて、まえに彼と話をしているとき、日本で8月15日を終戦記念日としていることに違和感を感じたと言う。
毎年この日には日本政府主催の全国戦没者追悼式が行われて、テレビやネットでは太平洋戦争についてのニュースが洪水のように出てくる。

戦争で亡くなった人の魂に政治家や国民が頭を下げるのは当然として、彼が引っかかったのは「なんで日本では終戦記念日が8月15日なのか?」ということ。

 

首相や大臣が集まる御前会議で昭和天皇が1945年8月14日、

「私自身はいかになろうと、国民の生命を助けたいと思う。私が国民に呼び掛けることがよければいつでもマイクの前に立つ。内閣は至急に終戦に関する詔書を用意して欲しい」

と発言して太平洋戦争は実質的に終わった。
その日の深夜には昭和天皇による玉音放送が録音され、翌日の正午、国民にそれが告げられた。

正午の昭和天皇によるラジオ放送、いわゆる玉音放送をもって、改めてポツダム宣言受諾を日本の全国民と全軍に表明し、ここに全軍の戦闘行為は停止された。

日本の降伏

天皇が降伏を告げる玉音放送を聞く日本国民(8月15日)

 

こうしたことから日本では8月15日が「終戦記念日」になっている。
でも、もう一方の当事者であるアメリカでは、日本のポツダム宣言受諾は「停戦」を意味していてあれで「終戦」とはならないらしい。
アメリカにとっては日本が降伏文書に調印した9月2日が終戦の日で、現在では「対日戦勝記念日」と言われている。
「Victory over Japan Day」を略した「VJ Day」の呼び方が一般的だ。

このへんの「終わり」の違いは、日本では天皇が国民に降伏を告げたことを重視し、アメリカでは文書に署名することを重視するという価値観に由来するかも。

 

英語版ウィキペディアの「Pacific War」でも、その日をもって終わりとしている。

「7 December 1941 – 2 September 1945 (3 years, 8 months, 3 weeks and 5 days)

太平洋戦争とは「=第二次世界大戦」だから、この日がWorld War IIの終了でもある。

「1 September 1939 – 2 September 1945 (6 years and 1 day)」

日本語のウィキペディアには「1945年9月2日(または8月15日)」と、アメリカと日本の両方の日付があるけど英語版に「8月15日」はなし。
9月2日は連合国の「VJ Day」だから、アメリカだけでなくて世界的にはこれが一般的な認識では?

もちろん8月15日を終戦記念日とするのは間違いではない。
でも海外では違う見方をしていて、そう聞くと「え?」となるかもしれない人がいることは知っておいていい。

 

1945年9月2日、戦艦ミズーリで降伏文書に署名する重光葵外務大臣

日本の降伏文書

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。