スシじゃなくてキンパ! 米国人もたじろぐ韓国人の愛国心

 

キム・ユンジという韓国の女優さんがキンパ(韓国ののり巻き)を食べて、自分のインスタグラムに投稿した。
それだけなら世界中にあるどーでもいい話なんだが、この女優は「Korean sushi」と書くミスを犯してしまう。

キンパ(キムパプ:김밥)は日本統治時代に伝わった「のり巻き」がモトになってできた食べ物だ。
もっとも韓国には古代・三国時代にその起源があるという主張があるらしい。
まあそう信じたい人はそう信じたらよろし。

朝鮮半島に定着したのり巻きはその後、酢ではなくごま油を使ったり、キムチを具材とするなど現地化が進んで現在のキンパが出来上がった。
でも見た目はこんなんだから、韓国人以外の人には「kimbap」よりも「韓国の寿司(Korean sushi)」のほうが分かりやすい。

 

 

もともと朝鮮半島でも「ノリマキ」と日本語発音で呼ばれていたのが、独立後に韓国政府の「脱日本」政策でキンパと呼ぶよう指定された。
でも、なんだかんだで国民はずっと「ノリマキ」と言っていたから、1995年に政府がそれを「キンパ」と置き換えて表記するよう強く推進した結果、キンパという呼び名が韓国社会に定着。

国内の次は世界だ。
海外のおける圧倒的な「sushi」の存在感と人気を前にしたら、キンパの影響力は微々たるものだから、キンパには「スシ」と書かれることが多い。
韓国人にはこれが不満。
だから「Korean sushi」と書きやがった女優には、「コリアンスシって何?」「Korean sushiじゃなくkimbapと書いてほしい」といったコメントが寄せられ、女優もここは抵抗するところじゃないからすぐにkimbapと訂正した。
ただ最近では韓国文化の広がりから、海外でも「kimbap」と表記されることが増えてきたらしい。

 

「のり巻きです」と言われたら、日本人でさえ信じてしまいそうなKフードのキンパ

画像:Nesnad

 

国民に突っ込まれた女優の話から、韓国人の愛国心の強さを思い知ったというアメリカ人の話を思い出した。
ニューヨークで生まれ育った彼が韓国系の女性と知り合って、彼女の家に遊びに行くと、テーブルの上にキンパを並べて歓迎してくれた。
それを見て思わず、「おおっ!ボクはスシが大好きなんだ。ありがとう!」と笑顔で言ったら、「ちがう!これはスシじゃない。キンパという韓国の食べ物だ!」と女性と母親から同時に注意された。
「いやチョット待ってくれ。違いが分からないんだが」という反論ができる空気ではなくて、普段はあまり謝らない彼も「すまなかった。これはキンパというのか」と素直に非を認めた。
いま考えてもあれはスシだけど、あのときはそうするしかなかった。

スシと言った途端に間違いを訂正するスピードと、有無を言わせぬ母と娘の態度が印象的で、「あのときオレは犯罪を犯したのかと思ったよ」と振り返る彼。
移民大国のアメリカには世界中の人が移り住み、やがてアメリカ社会に溶け込むのだけど、彼の見方では韓国人はそうではない。
アメリカで生まれ育っても韓国の文化や価値観を強く持っているし、特に政治的発言を積極的にする。
韓国政府と”同期”しているかのように、政府の主張をアメリカ社会でアピールする。
出身国の文化は受け継いでも、政治的には縁が切れているアメリカ人がほとんどなのに、韓国系はその点が違っているという。
でもその愛国心の強さには、彼にはついていけないことも多かったとか。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。