「今回の発表により、日本政府と共に、この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する。」
ちょうど6年前のきょう12月28日、日韓両政府がやっと慰安婦問題の解決に合意して、当時の韓国のユン・ビョンセ外交部長官(外相)が記者会見で世界に向かってこう言った。
くわしい内容は外務省ホームページ「日韓外相会談」をチェックされたし。
韓国外相とガッチリ握手をする岸田外相
首相になったいま、慰安婦合意や文政権に何を思うか。
日本と韓国を分けるエベレスト、最大の外交問題だったこの問題も、両国で話し合いを重ねて重ねてやっとケリがつけられた。
と思ったらこのあとすぐに、韓国側でケチがつけられる。
「あれで終わったことにはならない」と主張する文政権が誕生すると、合意が骨抜きにされてしまう。
日本では安倍元首相が「心からおわびと反省の気持ち」を表明し、元慰安婦の人たちへ10億円の支援金を渡し、15年の合意で確認したことはすべて誠実に実行した。
韓国側は「最終的で不可逆的な解決」を約束してもらうものはもらってから、実質的に合意を破ってしまう。
そして今度は「真の謝罪」を要求してくる文大統領に対して、日本の信頼は完全に地に落ちて地中深くに埋まってしまった。
あと数か月で任期を終える文大統領に、失った信用を取り戻す様子はまったく見られない。
相変わらず元気と威勢がいいのは、元慰安婦を支援するという市民団体の「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯」(正義連)だ。
でもこの団体にはブラックな問題が多すぎる。
約30年間、活動をともにしていた元慰安婦のイ・ヨンスさんから、
「正義連は金銭稼ぎや自陣営の政治活動に慰安婦たちを利用しており、組織の言うことを聞かない慰安婦を排除している。」
と暴露されて大ダメージを負う。
でもその後、何だかんだで正義連は生き残ってゾンビのように復活し、いまでも韓国社会に強い影響力を保っている。
日韓合意から6年たったいまそんな正義連が、韓日両政府に合意の”失敗”を認めて正しく解決しなければならないと訴えた。
韓国メディア「News1」(2021.12.28)
정의연 “한일 위안부 합의 6년…양국 정부, 실패 인정하고 해결 나서야”
手続きや内容などで問題のある合意によって、かえって解決からは遠ざかり、韓日が未来へ向かう足かせになっているという。
「それってあなたたちじゃ‥」という思いは胸に秘めて記事を見ていこう。
日本政府に対しては「最終的・不可逆的解決」「国際法違反」と“オウムのように”繰り返すことで、この問題提を封鎖したり攻撃したとお怒りだ。
そして韓国政府には「韓日交渉」だったのがいつのまにか「韓日政府間合意」にすり替わり、ついには動かせない「政府間公式合意」に変わってしまったと、これまたご立腹。
重ねて日本には慰安婦問題の事実認定と謝罪を要求し、返す刀で韓国には、被害者中心の原則をオウムのように繰り返すのではなく、「大韓民国の位相にふさわしい行動を実践して見せろ」と無茶ぶりをする。
このへんが韓国のなかでも最も強硬な意見で、現実からかけ離れしたこの異次元の発想には文政権もついていっていない。
慰安婦問題が解決したら、自分たちは「用済み」になってしまうから、正義連は絶対に達成できない条件を出してこの問題の永続を図っているのだろう。
フェーズが変わって日本との関係を大事にしたい今の韓国政府にとって、慰安婦問題は大きくなるほど頭が痛くなるやっかいな問題だ。
ことし1月の慰安婦訴訟で、日本が主張して国際社会の常識でもある「主権免除」を認めず、韓国の裁判所は日本政府に賠償を命じる判決を出した。
日本政府は高速で「断じて受け入れられない」と抗議し、外務省幹部は「常識的、国際法的にありえない判決だ」とあきれ返る。だけでなく、文大統領は新年の記者会見で「困惑している」と公式に認め、韓国政府内でも「この判決は理解しがたい」という声が上がったという。
このときの文大統領は迷走していた。
日本に対しては日韓合意が「政府間の公式合意」だと認めて、元慰安婦には被害者中心主義で解決していくと誓い、韓日関係については未来志向的に発展していかなければならないと言う。
日本政府と原告を同時に納得させるような、そんな画期的な方法があるなら見てみたい。
そう期待していても韓国政府から動き出しはなく、4月になると時事通信にこんな記事がでた。(2021年04月22日)
文政権、対日行き詰まり 慰安婦、徴用工でジレンマ
そして12月末になったいま、両者を納得させて韓日関係を前に進める奇跡のようなアイデアなんて、文政権にはまったくなかったことが判明。
ただ、文大統領がそれまでのように「日韓合意で慰安婦問題は解決しない」と主張しなくなったのはこの判決のあとからだろう。
いまの文政権は「損切り」で慰安婦問題にはできるだけ触れず、元慰安婦や正義連とも一線を画しているのが現状だ。
金銭稼ぎや自分たちの政治活動に元慰安婦を利用してきた正義連を、慰安婦問題の中心に置いたことを文政権はいまごろ大失敗だったと思っているのでは?
「大韓民国の位相にふさわしい行動を実践して見せろ」と言われても、そんなもんできるワケがない。
「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」を有言実行してたら、こんなことで悩むことはなかった。
> このときの文大統領は迷走していた。
ははは、今でも同じでしょう。
文句を言うなら、とりあえず10億円を返してからにすべきだろう。
証言がころころ変わるし(赤い靴に誘われて友人と一緒に慰安婦になった、ジープとヘリに乗せて連れ去られた、etc.)、太平洋戦争終戦時には8歳(?)という年齢だったりですから。
政府にどうにかしろよと、ケツ叩いているのでしょうね、