【アストルフォ】ローランの歌や日本のアニメで有名なキャラ

 

日本に武士道があるように、ヨーロッパには騎士道がある。
そんな中世ヨーロッパの騎士道精神をあらわす話として有名人なものに、イギリスの「アーサー王物語」と11世紀に成立したフランスの「ローランの歌」があって、日本では高校生が世界史でこれをならう。

【騎士道精神】ローランの歌、ヨーロッパで人気になった理由

神聖ローマ帝国の初代皇帝でドイツ語では「カール」、フランス語では「シャルルマーニュ」と言われるヨーロッパの偉大な王には、ローランというパラディン(聖騎士)がいて、8世紀のバスク軍との戦いで彼は王を守って戦死する。
このまえ記事でそんなことを書いたんで、今回はそのスピンオフで「アストルフォ」を紹介しよう。

シャルルマーニュ軍とバスク軍との戦いは歴史の事実で、そこから「ローランの歌」という英雄伝説が誕生した。
そして『Fate/Apocrypha』で人気のキャラ「アストルフォ」の元ネタもそこに出てくる。
*下の動画で「マスターのために!」と言ってるのがアストルフォ。

こんな見た目だけど性別は男。
いわゆる「男の娘」で男性サーヴァント(キャラ)の中では、なぜかアストルフォだけスリーサイズが公開されている。

 

 

日本の戦国~江戸時代初期にいた武将で、「日本一の兵(ひのもといちのつわもの)と称賛された人物に真田信繫(のぶしげ)がいる。
この人は物語の中で使われる「真田幸村」の名前の方が有名になっちゃって、これを本名とカン違いする人も多い。
*「幸村」が実際に使われていたという説はある。
真田信繫は豊臣家に忠義を尽くした武将で、大坂夏の陣では、徳川家康の本陣まで攻め込んだことで有名だ。
この活躍から、彼をメインキャラとする物語や絵本などが作られて、さらに明治~大正時代には文庫本が広く読まれたことで、「真田十勇士」という有能な家来を従えて家康と戦う英雄的武将のイメージが定着し、日本で「真田幸村」は大人気となる。
これは歴史的事実から生まれた物語だけど、真田十勇士は創造された架空のキャラだ。といっても、実在した人物から作られた十勇士もいるから、史実とフィクションの境はけっこう複雑。
ちなみに、俳優の根津甚八さんはこの「真田十勇士」の1人・根津甚八(ねづ じんぱち)に由来するし、忍者の猿飛 佐助(さるとび さすけ)は十勇士のリーダー格になる。

 

こんな感じに英雄物語では、1人の英雄に強くて優秀な臣下がいるのがお約束。
英雄じゃないけど、薬師如来は「十二神将」という強者どもに守られている。
真田幸村にとっての十勇士がシャルルマーニュにとっては「十二勇士(パラディン)」になって、その1人にアストルフォがいる。
ちなみにこの中ではローランがリーダーだから、位置付けとしては猿飛 佐助と似ている。

「シャルルマーニュ十二勇士」の一角を占めているから常人離れした攻撃力はあるが、『ローランの歌』に出てくる、騎士としてのアストルフォはハッキリ言って弱い。
「ククク……。奴は十二勇士の中でも最弱よ」と言われそうなほど弱い。

でも、触れた相手を落馬させる「魔法の槍」、あらゆる魔法を打ち破る術が書かれている「魔法の本」、吹けば相手を倒せるという「角笛」といったマジックアイテムを持っていて、さらにワシと馬が合体した生物の「ヒッポグリフ」まで手に入れて物語では活躍している。
アストルフォはこうしたチート・アイテムでタタール王をやっつけたり、邪悪な巨人を捕まえてしまう。

 

騎乗のアストルフォ、捕虜にした巨人・カリゴランテを引き回すの図

 

『ローランの歌』に出てくるアストルフォは、最後にはローランや他の十二勇士(パラディン)と一緒に、シャルルマーニュを守るため敵と戦って死んでしまう。
でも、『Fate/Apocrypha』の「男の娘」のアストルフォは最後まで生き残った、超レアな愛されキャラとなった。
騎士道精神モノだと、王を守って全員が死ぬまで戦うという設定が理想的なんだろうけど、日本のアニメだと、超絶的な強キャラの中で、愛きょうのある弱キャラは助かるというパターンがあると思う。
このへんは読者の受けの違いで、いまの日本で「かわいいは正義」だ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。