【見た目詐欺】日本人の性格について、香港人がイヤなところ

 

「I shall return.」

コロナ禍が続くなか、それでも必ず日本へ戻ってくると、マッカーサー並みに強く思っていた知人の香港人がこのまえ数年ぶりにやってきた。
で、コンビニに入ったらお気に入りのチョコレート菓子を見つけたから、さっそく買って袋を開けて中身を取り出す。
その段階になって、「何かおかしい…」と彼女は違和感を感じた。
以前に比べて、お菓子の大きさが小さくなっているような?と思いながらすべて食べ終えてみると、以前のような満足感もない。
そんな話を知人の日本人にしたところ、その香港人は「ステレス値上げ」という新しい日本語を知った。

 

原材料や輸送費が上がって、企業努力だけではもう無理で、どうしても値上げをしないといけないモノもある。
というか、いまの日本はそんなんばっか。
かといって値上げをすれば消費者を敵に回して、売り上げを直撃することになるから、価格を維持するためには中身を操作するしかない。
そんなことで、パッと見ただけでは分からなくて、それを購入して中身を取り出して初めて「ダマサレタ」と気づくトリックのようなことがある。

最近もカナダ人の英語教師がサンドイッチの具が前面に全集中していて、見えない部分にはほとんど無くて失望したとツイッターに投稿したら、13万以上の「いいね」が集まった。
同じような「見た目詐欺」の被害にあう日本人は山盛りいて、なかにはネタにする人もいる。

 

なんという「果肉」サギ。

 

ネットを見ても、こうした商法には怒りが渦巻いている。

・増えた時には何%増量とかデカデカ書くんだから
減らした時も堂々と書けばいいじゃない
・ステルスを許容し続けた結果
量が減った上に値上げされるという地獄絵図
・値段据え置き商品は確実にパッケージが小さくなり、パッケージそのままの奴は空気が沢山

これがコメダのサンドウィッチだと、逆の意味の“見た目詐欺”になる。

 

知人の香港人に言わせると、こんなやり方は香港では絶対に通じない。
商品を値上げする場合、香港では値段をハッキリ変えるから、買った後に「ダマサレタ」とはならないらしい。
その香港人は今回初めて日本でそんな経験をしたから、衝撃を受けたし腹も立った。
日本に住んでいた経験のある彼女からすると、この見た目と中身がぜんぜん違うという現象は、本音と建前を使い分ける日本人の国民性を表している。
香港人は基本的に嫌なものはイヤ、良いものはイイと言葉や態度でハッキリ示すけど、日本人の言葉は本当かどうかイマイチ信用できない。
たとえばアルバイトで仲良くなった日本人女性に気になるイベントの話をしたら、「いいですね」と笑顔で言うから誘ってみると都合が合わなかったり、用事があって一緒に行くことができない。
友人になっ別の日本人の友人の場合はしだいに連絡がこなくなって、理由の分からないまま関係は自然消滅してしまう。
日本人と結婚した香港人女性にそんな話をすると、彼女はこう言われた。

「それが日本人。思っていることと言ってることが違う場合がよくあるから、香港人の感覚で、言葉をそのまま受けとってはいけない。でも日本人に悪意は無くて、相手の気持ちを傷つけたくないとか、その場の空気を壊したくないという気持ちで心と違うことを言う。そのことに注意して見ると、その人に本当にイヤな気持ちがあれば、表情や態度にかすかに表れる」

そう聞くと、自分は日本人と友人になったと思っていただけで、実はそれは一方通行だったのかもしれない…、そう思うと絶望感しかない。
「イベントに興味がなかったら、そう言えばいいのに」と言う彼女に、「そう言えないのが日本人と思いなさい」と先輩がピシャリ。
そんなことで彼女はしばらくの間、何がホントか分からなくなって日本人を信用できなくなってしまう。
日本人の本音と建前は、きっとやさしさや配慮から生まれたのだろうけど、言ったことをそのまま信じて、後になって実は違うと分かるのは、その香港人にとってはダマサレタと同じで結果的に深く傷つく。
上の話をした香港人も日本人のオモテとウラには腹が立ったし、悲しい思いもしたけれど、それを乗りこえていまは日本人の夫と幸せに暮らしている。
見た目では簡単に気づかない「ステレス値上げ」を知って、こんな経験が頭に浮かんだから、彼女はこれを本当に日本人らしいやり方だと思ったらしい。

ただメーカーに消費者をだまそうとする意図は無く、ネットにさらされるリスクを覚悟でこうした「コッソリ値上げ」をしているはず。
客のほうも何だかんだ思っても、メーカーの苦労を理解して受け入れる人が多いから、こういう値上げは無くらないのだろう。
まあ仏の顔にも限度はあるが。
それにしても、商品の値上げのやり方にも国民性が表れるのか。

 

 

世界の中の日本 目次

多文化共生社会 目次

外国人から見た不思議の国・日本 「目次」

【中国と違う日本の漢字】香港人が「風邪」で驚いたワケ

【生まれか育ちか?】香港人から見た中国人と日本人の“民度”

 

コメントを残す

ABOUTこの記事をかいた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。