動物愛護の精神 日本・フランスの鉄道駅であった“残虐行為”

 

飼ってるネコを、自分の家族のように大切にすることを「愛猫」という。
これは「あいびょう」と読むから、「あいねこ」と思った人は廊下に立ってるように。

ある愛猫家が飼い猫と一緒に旅行をしようと、東京駅で新幹線に乗って出発を待っていると、カバンからネコちゃんが逃げ出して新幹線の下に入り込んだとする。
このまま発車すると、あの子が死んでしまうかもしれない!
青ざめた乗客がJRの職員に猫の救出を要請したら、日本ではどうなるか?

最近、フランスのパリでそんな出来事があった。
愛猫家の乗客がフランス国鉄(SNCF)の駅員を20分間説得したが、答えは「ノン」。
SNCFは高速鉄道を発車させてネコをひき殺したという。
これを知って激怒した動物愛護団体は、「動物を死に至らしめた重大な虐待および残虐行為」でSNCFを告訴。
対してSNCF側は、感電して死ぬ危険があるから、線路に降りることは厳しく禁じていると説明する。

*フランス国鉄と同じかどうか知らんけど、こんなリスクがあるらしい。
「特別高圧の交流電化では架線の半径約 2 m 以内に近寄るだけで感電の危険がある。(交流電化

もし、これが裁判所で「残虐行為」と認められたら、責任者には約1000万円以下の罰金刑と5年以下の禁錮刑が科される可能性がある。
ジェラルド・ダルマナン内相からすると、悪いのは乗客ではなくてフランス国鉄のほうだ。

AFPの記事(2023年1月28日)

「特にショックを受けたのは、SNCFの対応のまずさだ」とし、「捜査によって、刑事責任を問われるべき人物が明らかになるだろう」と述べた。

列車の下の猫ひき殺し 動物愛護団体、仏国鉄告訴

 

フランス人の動物愛護精神からすると、この場合の最適解はネコを優先することだったのか。
でも、日本のネット民はそうじゃない。

・とことん探した上で遅延賠償金取ったらいい
・自由の国フランスは大変だね
・動物が列車の下にいる「かもしれない」と不確かな情報でいちいち電車止めて捜索なんてしてたらきりがない
・動物の命を軽視するやつは人の命も軽視してるよ
・ちゃんと飼い猫を管理しろと

これが日本だったら、「ネコを助けろ!」と乗客が言い出して、みんなで降りて大捜索を始めるというのはアニメの話。
旅行や大事な仕事のために、数百人の乗客が乗っている新幹線を遅らせるわけにはいかないから、時間になったら粛々と発車させていた気がする。

この出来事で、2017年に神奈川県であった“動物虐待”を思い出した。

 

 

「フンが汚い!何とかしろ」

そんな乗客の苦情を受けて、その付近を掃除していたJR相模湖駅の職員がツバメの巣を棒で壊してしまい、1羽のヒナが落ちて死亡した。
(百歩譲って、夜間にやっていればその後の展開も変わったと思われる。)

職員はこれを利用者の目の前でやったから、「動物虐待だ!」という批判が上がっただけでは済まなかった。
ツバメを傷つけたり、卵を壊したりすることは法律で禁止されている。
この職員の行為は鳥獣保護管理法に違反する可能性があるということで、全国メディアが報道する”事件”となった。
JR東日本は「配慮が足りなかった」、「利用者に不快な思いをさせて申し訳ない」と平謝りだ。

この行為にはネットでも賛否が分かれた。

・ヒナがいる巣を棒で叩き落とすとか理解不能
・日本人の感覚じゃないねこの駅員の行動
・駅でうんこ降ってきたらおこるだろ
・あー残念だね、で済む話
・駅に居スワローとしたのが許せませんでした

これは結局、職員への厳重注意で終わったらしい。
でもフランスだったら、「動物を死に至らしめた重大な虐待および残虐行為」と認められる予感。
「捜査によって、刑事責任を問われるべき人物が明らかになるだろう」と大臣が言って、約1000万円以下の罰金、それと5年以下の禁錮刑が科されるかも。
日本人に比べて、ヨーロッパ人の動物愛護の感覚は進んでいるかはわからないけど、たしかに違う。
彼らと付き合ったり、あちらへ行く機会があったらチョット意識したほうがいい。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。