謝罪要求のここ10年:韓国は相変わらずで、日本では9割がノー

 

いま韓国の尹(ユン)大統領は崖っぷちにいる。
アメリカを訪問してバイデン大統領と会談したものの、韓国が得たものはあまり少なかったと国内で批判を浴びている。

日本に対しては元徴用工問題で、とりあえず日本企業の”代わり”に韓国企業からお金を集めて、原告側に渡すという解決案を提示した。
それに呼応する形で岸田首相は、過去の内閣が表明した韓国への反省や謝罪を受け継ぐと明言する。
でもそれだけでは、韓国が示した覚悟に対して小さすぎると国内では「屈辱外交」と非難された。
韓国の立場からすると「継承する」だけではまだ不十分で、日本はもっと大きな誠意を見せる必要がある。
野党や国民を説得させることに失敗すれば、これまでの尹政権の外交はムダに終わってしまうから、そうならないように、近く韓国を訪問するという岸田首相には「誠意のある後続措置」がなければいけないという。

韓国の全国紙・中央日報の諭説委員はコラムでそんな主張を展開し、日本へこう訴えた。(2023.05.01)

尹大統領は「百年前のことで無条件にひざまずけといえない」と発言し、厳しい批判を受けた。このような時に岸田首相が「百回、千回でもひざまずく用意がある」と言えばどうだろうか。

尹錫悦外交、内部説得に失敗すれば水の泡に

 

いや、無理。
日本の立場からしたら、元徴用工問題は始まるハズのないものだった。
1965年の請求権協定で日韓両政府が「完全かつ最終的に解決」を確認し、今後いかなる主張もすることはできないと約束して、これが日韓関係の土台になってきた。
この大事な合意を韓国が2018年にひっくり返したから、いまにつづく混乱が始まる。
韓国が合意を守っていたら、「徴用」をめぐる問題は発生していなかったのだから、日本が韓国側に「自分の責任で解決してくださいね」とお願いするのは当然で、尹政権はそれに沿った解決案を提示した。
もう解決したことについて、日本が謝罪する理由はない。

そんな日本の考え方があちらには通じない。
「百年前のことでも無条件にひざまずけ」という発想を尹大統領は否定したが、韓国にはそう考える人は多い。だから厳しく批判された。
そうした声を納得させるために「誠意のある後続措置」として、岸田首相が「百回、千回でもひざまずく用意がある」と言うことをこの論説委員は期待する。
でも、いまの日本の雰囲気を見ると、答えは「毛頭ない」だろう。
日本からしたら、韓国は自分でひっくり返したちゃぶ台を元に戻しただけなのだから。
とはいえ日本も何しないワケにはいかないから、岸田首相が首脳会談に応じたし、韓国を輸出優遇国に再指定するとか全力でバックアップをしている。

 

韓国の謝罪要求はずっとずっと前からあって、日本はどうすればいいか困っていた。
それについて10年前、中央日報に東京総局長が書いたコラムがある。
その東京総局長が覚えている限りでも、8人の首相すべてがさまざまな場で謝罪を表明し、天皇も「痛惜の念」を表した。
「それは認めよう。」という東京総局長は、2013年5月のコラムにこう書く。

親しい日本の記者たちは私にお酒の席で「いったいどれほど、さらに謝ればいいのか?」と問い詰めたりする。そのたびに冗談半分・本気半分で応酬する言葉がある。

「上手にできるまで!」

佐々江大使さま、形容詞が違いますよ

 

東京総局長が「上手にできるまで!」と言った10年後、「『百回、千回でもひざまずく用意がある』と言えばどうだろうか」との諭説委員が書く。
この間の2015年には、日韓政府が合意を結んで慰安婦問題の「最終的かつ不可逆的な解決」を確認して、安倍首相が「心からのお詫びと反省」を表明している。
ということは、それでもまだ上手に謝罪できていなかったというワケか。
「なら次はもっとガンバル!」と思う日本人はもうなくなった。

文政権がこの慰安婦合意をひっくり返した時、日本国民の間で「納得できない」と回答した人が90.8%、韓国を外交や経済活動の相手国として「信頼できない」が80.5%に達した。

産経新聞(2018/1/22)

慰安婦合意の韓国新方針に「納得できない」9割 「韓国を信頼できない」8割

「真の謝罪」など韓国側の要求に、日本政府が応じないことについては国民の88.6%が「支持する」と答えている。

ということでここ10年間を見てみると、相変わらず謝罪要求をしてくる韓国に変化はない。
それに対して日本では、キリが無いことや”約束破り”にはウンザリ感や疲労感、怒りが増大してきたから、一部例外を除けば、もう国民も政府もそんな要求は相手にしていない。
政府は韓国に謝罪する必要はないと、国民の90%が考えているのだから。
「百年前のことで無条件にひざまずけといえない」と言った尹大統領は、日本がそれに応じるとは思えないし、それを繰り返せば日韓関係もうまくいかなくなると読んでのことだろう。

 

 

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

ではどうしろと?韓国人の謝罪要求にいら立つフィリピン人

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。