5月8日の午後6時すぎ、まだ多くの人が通りを歩く東京の銀座で強盗事件が発生。
マスクをつけた3人の男がの高級腕時計店に突入すると、店員を刃物で脅し、100本以上の腕時計を奪って車で走り去る。
その様子はドラマかアニメで、日本で現実に起こったものとは思えない。
この悪行の始末は警察にまかせるとして、この犯人がつけているマスクをご存知だろうか。
口ひげとあごひげが特徴的で、いかにも悪者そうなあの白いマスク。
あれは「ガイ・フォークス・マスク」という世界的にも有名な仮面で、17世紀のイギリスに実在したガイ・フォークスに由来する。
もちろんコイツはとんでもない悪人だ。
2011年ごろには「Amazon」で最も売れたマスクというから、知名度なら世界ナンバーワンかも。
17世紀初めのイギリスでは、ジェームズ1世が国王として君臨していた。
彼はイギリス史上、初めて同時にイングランドとスコットランドの王となった人物で、スコットランド王としては「ジェームズ6世」になるから、世界史を学ぶ日本の高校生をよく混乱させやがる。
日本にとっては徳川家康と書状を交わして、日英関係をスタートさせた王でもある。
日本とイギリスの関係:400年前、日英の歴史はこうして始まる。
ジェームズ1世(ジェームズ6世)
当時のイングランドには、そんな国王を激しく憎むヤツラがいた。
1534年にプロテスタント系のイングランド国教会が成立すると、イングランドではカトリック教徒への風当たりが厳しくなっていく。
宗教政策ではジェームズ1世も同じ路線をとっていたから、それに不満を感じたカトリック教徒の過激派は国王を爆殺して、カトリック教徒の人間を新しい王にしようと考えた。が、この暗殺計画は直前にバレて失敗の巻。(火薬陰謀事件)
貴族院(ウェストミンスター宮殿)の地下室で大量の火薬と一緒にいた、360度どこから見てもアヤシイ男「ガイ・フォークス」が逮捕された。
国王を殺害しようとしたこの大罪人は、拷問を受けた後で処刑される。
*絞首刑台からジャンプして首の骨を折って死んだから、最終的には自殺か。
地下室で捕まるガイ・フォークスの図
この事件の犯人の顔をモデルにして作られたのが「ガイ・フォークス・マスク」だ。
にやけた表情・口ひげとあごひげ・とがったアゴという見た目になったのは20世紀になってからで、マンガや映画に登場して人気になる。
現代では下のハッカー集団「アノニマス(匿名)」のメンバーや、世界各国で反政府運動をする人たちが顔を隠すためにガイ・フォークス・マスクが使われている。
もともとコイツは国王という最高権力者を倒そうとした人物だったし。
日本の反政府デモでガイ・フォークス・マスクを見た記憶はなく、これは海外の印象が強かった。
でも、銀座でこれ以上ないほどのインパクトをもって現れたから、日本人にとっては強盗のシンボルになりそう。
日本とイギリスの季節(四季)の違いや特徴。あること・ないこと。
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