【韓国の自尊心】“日本の後”は認めない。W杯のウラの日韓戦

 

新潟県にある燕市と三条市は、ちょっとした対立関係にあるらしい。
最近、あるテレビ番組でその2つを「燕三条市」とまとめて言ってしまったから、「それは絶対に言ってはいけない」とSNSでツッコミが入った。
両都市が相手に抱く対抗心は、JRの駅名が「燕三条駅」で、高速道路のインターチェンジは「三条燕」というところからもみえてくる。
友好を求める気持ちはどちらにもあるだろうけど、公的施設の表記が「相手より先か後か?」というのは自尊心のかかった問題だから簡単にはゆずれない。

 

さて、まえに韓国人と静岡市にある清見寺というお寺へ行ってきた。
江戸時代には将軍が誕生すると、朝鮮政府はその就任を祝うために朝鮮通信使といわれる使節団を派遣していた。
数百人の通信使の一行は日本をゆっくり歩いて江戸まで移動したから、幕府の招待客である彼らは各地で日本人のおもてなしを受けて、一緒に食事をしたり贈り物をしたりして交流を楽しんでいた。
この出来事は日韓友好のシンボルとされているから、いまでもこの名を冠するイベントが行われている。

日韓の黄金時代(か) 朝鮮通信使について韓国人はどう思う?

当時、江戸へ向かう朝鮮通信使は清見寺で泊まっていたから、このお寺では通信使がプレゼントした漢詩を見ることができる。

 

 

寺の中にはこんな物もある。

 

朝鮮通信使の一行はこんな船に乗っていたんだな、なるほどです。と上の船はいいとして、このデザインにはちょっと引っかかった。

 

 

自転車の前輪が韓国で、後輪が日本になっているのはまあ偶然か。のはずがない。
韓国人に意見を聞くと、

「韓国が日本の後ろになるというのは、これは自尊心の問題ですから国民には受け入れられませんね。だからこの順番を決めた時は、韓国が先になるように韓国側が主張したはずですよ」

と言って笑う。
まあそうだろう。
「友情ウォーク」というほのぼのイベントでも、韓国側にとって順番はプライドに関わる大きな問題だから、日本の後は認めないと思った。
2002年に日本と韓国で行われたサッカーのワールドカップでも、「どっちが先か?」をめぐってお互いゆずれない戦いがあったのだから。

当初、この大会の正式名称はそれまでの慣例から、アルファベット順で「2002 FIFA World Cup Japan/Korea」になると思われたが、「いや、それは認められない!」と韓国側(大韓サッカー協会)が猛烈に反対した。
で話し合いの結果、決勝戦は日本でするといった条件の代わりに、大会の正式名称は「Korea/Japan」に決まる。
韓国としてはやっぱり順番が重要らしい。

駅名は「燕三条」でインターチェンジを「三条燕」にしたようなもので、バランスをとらないといけない。
なら「友情ウォーク」で「ソウル~東京」という表記にしたのなら、車輪では前輪を日の丸にしてくれてもいいのでは? と思うのだけど、あちらには感情的にゆずれない一線があったのだろう。

この際、日本は韓国側と交渉し、日本国内での呼称は「日本・韓国」でいいと確認をとった。が、公的な議事録を残さなかったという致命的なミスを犯す。
この後、日本の教科書検定をめぐって国内で反日感情が高まると韓国側は、

「日本国内であっても大会名を「日本・韓国」と表記するのは正式名称(Korea/Japan)と異なっており、開催合意に背く」

と言い出したから、それでは約束が違う! と日本が反論して日韓で大モメになる。
そんなホスト国どうしの言い争いに、おそらくFIFA(国際サッカー連盟)もウンザリして、いっそのこと国名を無くすのはどうか?と提案して、日韓がそれを受け入れた。
そんなことで世界的には「2002 FIFA World Cup Korea/Japan」で、日本国内では「2002 FIFAワールドカップ」という“無国籍”の表記になった。(大会呼称問題

そして始まった日韓W杯の試合で韓国サポーターが、「COREA」と書かれた赤いマフラーを持って応援していたのを覚えている人もいると思う。
単純にアルファベット順にすると、「J(JAPAN)」より「K(KOREA)」が後ろになってしまう。
韓国の国民感情的としてはこれは不快だから、「C(COREA)」にすれば「J」より先になってハッピーな気持ちになる。
ちなみに COREAは造語ではなくて、韓国を表すイタリア語。

友好イベントをするのなら、両国の名前を出さないといけない。
でもそうなると、表記で「相手より先か後か?」という自尊心のかかった対決が発生する。
その気持ちの強さ、一歩も引けないという思いはきっと日本よりも韓国のほうが大きい。
車輪のデザインや、W杯のウラで行われた“日韓戦”がそれを物語っている。

 

 

日本 「目次」

韓国 「目次」

韓日の自尊心対決?日本には愉快で不快な韓国のかん違い

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。