最近、コンビニで働いている女性がツイッター(X)で、「絶対にやめて!」と訴えた内容がネット上で注目を浴びた。
その店員が指摘する“危険な行為”とは、女の子がコンビニで1人分のアイスを買うこと。
(ここでは車ではなく、徒歩での移動を想定している。)
悪意を持った男が、女性がアイスを1つ買うのを目撃すると、その女性の家は近くにあり、しかも1人暮らしであることに気づいてしまう。その男に後をつけられたら大変なことになるから、「アイスは昼間に箱で買って」と店員はSNSで呼びかけた。
いまの日本では、女性が1人分のアイスを買うことは危険行為になるーー。
そんな主張に対して、ネット民はこう思った。
・クーラーボックスを持って複数買えばいい。
・何ヒント与えてんの
・自意識過剰では?
・犯罪者は一般人が気づかないところをじっくりねっとりよく見ている
一般人の「これくらい大丈夫だろ」を見逃さない
・女の独り暮らしは大変だよな
サバンナのシマウマみたいなもんだから
ボクのような地方住みのおっさんにはよく分からないが、現在の日本では、こういう警戒が必要な人もいるらしい。
最近、日本に住むドイツ人の男女から、ヨーロッパの治安について話を聞いた。
その内容は海外へ行く日本人に役立つと思うから、今回はそれをシェアしようと思う。
ドイツの鉄道駅
そのドイツ人2人の感覚からすると、ドイツは安全な国で、日本はそのワンランク上のスーパー安全な国。
ヨーロッパでは殺人や強盗などの凶悪犯罪は少ないが、スリの被害にあうことはめずらしくない。
女性の方は、イタリアでこんな体験をしたという。
彼女が地下鉄に乗ったとき、その車両たくさんの乗客で混んでいたので、目的の駅まで立っていることにした。
すると、隣にいた若い女性が声をかけてくる。
スマホの画面で路線図を見せながら、その女はイタリア語で「○▼※△☆▲※◎★●!?」と意味不明なことを言う。
「すいません。私はイタリア語が分かりません」と笑顔でやんわり言うと、相手はそれでも何かゴニョゴニョ言った後、あきらめて黙る。
そしてドアが開くと、人の流れと一緒に車両から出て行った。
その後、ドイツ人女性が目的地について買い物をしようとした時、バッグに入れていた財布が盗まれたことに気づく。
あのときのスリは2人組で、1人が自分の注意を引いている間に、もう1人が素早くシゴトをしたのだ。
彼らは車両に乗り込む前に、すでにターゲットを決めていて、不幸にも自分が選ばれた。
このスリの手口は、「ヨーロッパあるある」と言っていいほど典型的なものらしい。
注意を引く役目を果たすのは、スーツを着た紳士かもしれないし、「こんにちは、君はどこから来たんだい?」と笑顔で話しかけるフレドンリーな人物かもしれない。
オトリとなるのは、ターゲットが警戒しないような人がいいから、スリの仲間は、優しそうなおばあさんや10歳の少女の可能性もある。
おばあさんや少女がスリの実行犯になるかもしれない。
前から歩いてきた女性がわざとぶつかり、「すいません」と謝る一方で、反対側で男がハンドバッグに手を入れるケースもある。
そんなやり口を知っていたにもかかわらず、ドイツ人男性の友人は電車で財布をすられたという。
その友人が乗っていた車両で、2人の男が大声で言い争いを始めたから、「迷惑な奴らだな~」と思って、ついそのケンカに気を取られてしまった。
そのスキに、彼のお腹に抱えていたバッグのファスナーが開けられ、中身を盗られた。
後で「あっ!」と気づいても、時すでにお寿司。
ヨーロッパを旅行する日本人でも、右側に注意を向けたら、左側から貴重品を盗られたという人はいる。
外国人に横から話しかけられ、「これはヤバい」と本能で察知し、腰のポーチを上から手で押さえたら、スリの手を押さえてしまったという日本人もいた。
ほかの乗客がその光景を見ても、トラブルを恐れて何も言わないことがある。
自分の身は自分で守ることが原則だ。
他人に話しかけられたら、すぐにバッグをつかむとか、海外ではチェーン付きの財布を使うのもスリ対策になる。
人の注意を特定の方向に向けさせる方法は、ほかにもいろいろある。
道を歩いていると女性が声をかけてきて、地図を広げながら「ここに行きたいのですが」と言う。そして、地図を見ている間に、貴重品が盗まれてしまう。
いまでは紙の地図を広げる人間はいないだろうけど、こんなケースがある。
女性が花束をもって近づいてきて、「こんにちは。観光客のみなさんに花をプレゼントしています。お好きなものを一本どうぞ」と笑顔で声をかけ、観光客の注意を引き付ける。
日本のスリは単独犯が多いと思う。
でも、ヨーロッパでは複数の人間がそれぞれの役割を持って、チームとして行動するのが常識的だ。
スリ集団はターゲットを決めた後、何らかの方法で注意を引きつけ、ターゲットのスキをついて素早く獲物を盗み取る。
海外へ行く日本人なら、「女子がコンビニで1人分のアイスを買わないように!」というアドバイスよりも、こんな手口を知っておくことが役立つはずだ。
日本人が外国の電車や地下鉄に乗る際には、常に「三位一体」のジェットストリームアタックを仕掛けられていると警戒した方がいい。
ローマのスリ
2人の女性が車両の入り口に立ち、ターゲットをブロックして注意を前に集中させる。
そして、後ろにいた男が財布を盗ろうとしたが、これは失敗した。
警戒心を解くためだろうが、女性は偽(人形)の赤ん坊を抱いている。
パリで“カモ”を探している少女のスリ集団
タイ人の女性がロンドンで自撮りをしている最中、後ろにいたスリ集団にやられた。
この場合は、自ら付け入るスキを作っている。
コメントを残す