ネット上には、韓国が好きな日本人と日本が好きな韓国人が集まって、ドラマやグルメなんかの情報を交換するグループがいくつもある。
そのうちの一つで、ある日本人メンバーが韓国ドラマ『京城クリーチャー』を見て、大好きだった韓国旅行に行きづらくなってしまったと投稿した。
それに対する日本人や韓国人のコメントを見ていると、日韓友好を望む人たちでも考え方には違いがあることが分かる。
やっぱり、過去の歴史は日韓関係の地雷だ。
『京城クリーチャー』は、75億円以上の費用をかけて制作された話題の韓国ドラマで、先月12月に公開された。
内容は、1940年代の京城(日本統治時代のソウル)で日本軍が人体実験を行い、クリーチャー(怪物)を生み出し、2人の若者がそれに立ち向かうという物語。
で、韓国の視聴者の反応はというと、朝鮮日報の記事を読む限り、大惨敗だ。
(2024/01/02)
ヒットの公式を詰め込んだのに酷評の嵐…700億ウォン投じたネトフリ韓国ドラマ『京城クリーチャー』
過去のヒットドラマから、良さそうな部分を集めて作った結果、全体としてまとまりのないドラマに仕上がってしまったらしい。
「731部隊」が実験を行ったとされる建物
あらすじを見ると、「このドラマの元ネタはフランケンシュタインかな?」と思ってしまうが、
そのへんは韓国ドラマということで、第二次世界大戦中に満州で人体実験をしたと言われる日本陸軍の「731部隊」がモデルになっている。
『京城クリーチャー』では、日本軍が朝鮮人を虐待し、残酷な人体実験を行うシーンがあるらしい。
もちろん、これはドラマの設定で歴史的な事実ではない。
しかし、投稿主の日本人さんは韓国を愛するがゆえ、あまりにツラくなって、1話を最後まで見ることができなかった。
「731部隊」のことを考えると、韓国の人たちに心から申し訳なく感じ、これから韓国旅行に行ったとき、以前みたいに楽しく過ごせるか分からなくなったと言う。
この投稿に対する韓国人メンバーの反応は、「酷評」ではなく絶賛の嵐で、彼らの意見をまとめるとだいたいこんな感じだ。
日本の政治家は真実を否定したり、歴史を利用したりするから大嫌い。でも、一般の日本人は親切だから大好き。
過去の歴史と向き合い、あなたのように痛みを感じる日本人はとても誠実だから、そういう人に怒る韓国人はいない。
むしろ、そんなやさしい心を知ってうれしく感じた。
日本国民も植民地時代について正しい歴史を学んで、少しだけ反省すると良いと思う。
これが韓国人メンバーの標準的な考え方になる。
例外的に、日帝時代のドラマを見ると、韓国が弱い国で残念に思うという韓国人もいたが、そのコメントにはたくさんの「怒り」マークがつけられた。
投稿主はこんな韓国人メンバーのコメントに感謝し、日本の歴史教育が“真実”を教えていないし、日本の政治家は心からの謝罪をしていないと批判する。
韓国の歴史認識からすると、この意見は100点満点で、聞いたらスタンディングオベーションが起こるほど。
なかにはこの投稿に感激し、あなたが次に韓国へ来たら、私が食事をごちそうするから、ぜひ事前に連絡をほしいと言い出す韓国人もいた。
韓国の人たちは熱情的だから、これは社交辞令ではなく、きっとガチでそう思っている。
一方、この投稿に対する日本人メンバーの意見は分かれ、投稿主に賛成する人以外ではこんなコメントが寄せられた。
・731部隊の活動について、ハッキリした事実はまだ分かっていません。
歴史の決めつけは避けるべきでしょう。
・戦争という非常時には、通常なら考えられないような残酷なことが起こる。
韓国軍もベトナム戦争で一般人を殺害し、ライダイハン問題を生み出した。
・日韓の歴史をテーマにしたドラマを見ると、日本も韓国も嫌いになりそうだから、一切見ないことにしている。
・「植民地」と言っても、ヨーロッパがアフリカ諸国でしていたことと比べると、日本はまだマシでした。
日本は京城帝国大学(ソウル大学の前身)をつくったり、朝鮮半島にあった差別制度を無くそうと取り組んだりしました。
日本は痛みを与えた一方で、発展の基礎を築きました。
・韓国にも日本にもそれぞれの主張がある。
内容は違っていても、どっちも尊重しないといけない。
これはもともと、日韓友好を目指すグループだから、メンバーの日本人も韓国人も「日韓は切り離すことができない関係で、これからもずっと付き合っていかないといけない」という認識では完全一致していた。
そんな基本的な価値観やゴールは同じでも、その方法になると、日韓のメンバーで考え方の違いが表れてくる。
日本人側には、不幸な過去があったことは事実で、それを変えることはできないが、明るい未来を作っていくことはできるから、これからは仲良くしようという人が多かった。
それに対して韓国人側には、そのためには歴史問題をしっかり片付けないといけないという人がほとんど。
「過去の精算」にこだわっていては先に進めないという日本人と、それを抜きにして先に進むことはできないという韓国人との間で意見が一致しない。
一部では、「正しい歴史を学べ!」「それはオマエだ!」と感情的にぶつかる場面もあった。
ただ、日本人の中には韓国側の意見に賛成で、加害者である日本は被害者の韓国が納得するまで、謝罪しないといけないという人もチラホラいたが、日本側の意見に賛成する韓国人メンバーはいなかった。
今回のコトの始まりは『京城クリーチャー』というドラマだ。
韓国の人たちに申し訳ないと言う日本人は、自分の投稿がきっかけでライダイハン問題が出てきて、「それは関係ない!」と日韓の争いが始まることは想像していなかったと思う。
年が変わっても、歴史認識は相変わらず日韓の地雷で、うかつに触れると“歴史論争”というクリーチャーを生み出し、多くの人が後味の悪い思いをする。
今年も日韓の間で、この地雷が何度も炸裂する予感しかない。
注目すべきは4月に韓国で行なわれる総選挙だ。
この結果によっては尹政権のいまの「親日路線」が変更され、「歴史地雷」はさらに危険でやっっかいなモノになる。
私がはっきり確認できることは、現在、日本が好きな韓国人のほとんどが、日本が朝鮮を併合して植民統治しながら行ったこと、例えば、独立運動家を弾圧し、慰安婦を性奴隷にして搾取し、朝鮮人を搾取し収奪したことに対して日本が罪を犯したと認めるということです。
ただ、もう過去のことだから今は忘れて未来を眺めて一緒に進もうと思うのです。
しかし、日本が朝鮮を併合したのは大多数の朝鮮人にとって祝福であり、日本が朝鮮人を搾取し、朝鮮の資本を収奪した事実はありません。もちろん朝鮮人を内地人に比べて差別したのは事実ですが、その程度の差別は当時の状況としては当然のことで、西欧ヨーロッパ諸国が植民地を経営しながら植民地人に加えた差別と虐待、収奪とは根本的に違うものでした。そして慰安婦たちを強制的に拉致して性奴隷にしたというのは完全に嘘です。しかし、ほとんどの韓国人はこのような事実を知らずにいます。韓国と日本が真の善隣友好国家になるためには、韓国の歴史が真実を国民に知らせなければなりません。幸い、小さいものの、今韓国ではそんな動きが起きています。私もまさにそのような運動に参加している人です。
こういう声が韓国社会で広がっていくことを願っています。