卑劣な性犯罪から子どもたちを守るのは大人たちの重大な責任だ──。
そんな思いは世界共通でも、価値観や考え方、状況はそれぞれの国や地域によって違うため、具体的な方法はいろいろある。
先日、アメリカのテキサス州で可決された法案が物議をかもしている。
米メディア『12News』の記事。(March 14, 2025)
Texas lawmakers push for stronger AI laws to combat deepfake crimes
AIを使って実在するか、またはフィクションの未成年の人物を“わいせつ”に描写したものを持っていたり、配布したりした者に対して刑事罰を課す法案がテキサス州の上院で満場一致で承認された。この法が成立すると、AIで生成されたコンテンツだけでなく、マンガやアニメなどもその対象になる。
「わいせつ」の定義が不明確なため、キルラキルやブリーチ、鬼滅の刃といった日本のアニメもそのターゲットとなり、グッズを持っているだけで重罪となり、刑事罰を科せられるかもしれない。そんなことで、アメリカのアニメやゲームのファンの間からは、不安や懸念の声が上がっているという。
このニュースに日本のネット民の反応は?
・クールジャパン終了のお知らせ
・うわあ、ファンタジーの抜け道すら塞ぐんかよ
・エロ要素の無いゲームなんてないぞ
・ジャパンカルチャー抹殺司令出たな
・ゲームのロリキャラもダメならテキサスだけ配信不可とかなるのかw
念のために言うと、まだ法律化されていないから、今のところはまだ大丈夫だ。
ただ、上院議員全員がこの法案に賛成しているから、これからアメリカでこの認識が広がっていく可能性がある。
日本では常識の範囲内にいるオタクが秋葉原でフィギュアを買って、それを持ってアメリカへ入国しようとしたら、空港で別室に呼ばれてしまう。そんな未来は近いかも。
もともと日本ではエロの基準がわりとゆるく、アメリカは厳しかった。特に子供用のアニメやマンガでその傾向が強く、アメリカ版の『ワンピース』では、女性キャラの胸の谷間が消され、大幅なサイズダウンをしている。子どもを守るためには、アメリカではこんな規制が必要だから仕方ない。
「未成年」と言ってもタバコや酒と違って、「そう見える」と判断されたらアウトになると思う。アメリカ人から見ると、日本人はとても若く見えるから、もし、アメリカの各州でこんな法律が成立したら、まず間違いなく日本の創作物が影響を受けてしまう。
友人のアメリカ人男性は日本に10年以上も住んでいて、もう大抵のことでは驚かなくなった。そんな彼でも、AKB48の「ヘビーローテーション」のMVを見たときは絶句したらしい。もちろん、全員が成人女性だったけど、彼が言うには、アメリカ人の目には中高生のティーンネイジャーに見える。そんな女の子が下着だけの格好で、イチャイチャしているのは、アメリカではきっと「児童ポルノ」に見なされる。
そんな女の子が「I want you」「I need you」「I love you」と言うのだから、外国人にとってはかなり挑発的、煽情的に見えるかもしれない。
しかし、日本の事情をよく知る先ほどのアメリカ人男性に言わせると、アメリカに比べて、日本では子どもが性犯罪に巻き込まれる確率が低い。彼は日本で生活していてたしかにそう感じるし、実際にデータでも確認したという。
アメリカマンガやアニメの「エロ規制」が厳しいのは、現実社会でモラルが崩壊しつつあり、子どもを性犯罪から守ることがむずかしくなっていることの裏返しでもある。日本でエロが「野放し」になっているのは規制を必要としていない証拠で、社会が健全であることを表している。
そんな日本でも時代とともに価値観が変わって、表現規制は厳しくなっている。
のび太くんがしずかちゃんのお風呂場に登場して、「のび太さんのえっち〜」とお湯をかけられる有名なシーンは、令和の今ではそのまま放送することはむずかしく、最近の『ドラえもん』ではそんな場面は出てこないらしい。
それでも、日本人のモラルの高さを示す意味でも、表現の自由を優先し、規制をかけるのは少ないほうがいい。
*子ども家庭庁の「各国における性暴力の発生件数の推移に関する資料」のデータを見ると、欧米や韓国に比べ、日本の発生率はかなり低いことが分かる。
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