知人にベトナム系アメリカ人女性の「アン」がいて、彼女は数年前まで静岡の小中学校で英語を教えていた。
関係ないのだけど、今週から始まるサッカーワールドカップで、日本代表の「堂安律」選手の活躍が期待されている。
ベトナム人が「ドゥアンリツ」と聞くと、「この人はベトナム人か?」と思ってしまうらしい。

アンはアメリカ人男性と結婚し、今はジョージア州に住んでいる。
先週末、彼女と話をしたので、これからその模様をお届けしよう。
日本の梅雨・ジョージア州の雨季
ーー久しぶり。
相変わらず、アンが元気そうで安心した。
アン:さむっ。6月なのに寒波が来るなんて、季節外れにもほどがあるわ。
それはそうと、久しぶりなのは確かね。
最近は何かあったかしら?
ーー静岡が梅雨入りしたんだ。これからまた、ジメジメで蒸し蒸しのうんざりする時期が始まる。
ジョージア州にも梅雨というか、雨季はあるのか?
アン:雨季はあっても、梅雨ではないわね。
夏になると雨がザッと降って、雷が「ドッカーン!」って鳴り響くことがある。
でも梅雨みたいに、シトシトした雨が降り続くことはないから、湿気にまとわりつかれる感じはしないわ。
ーー日本でいうなら、梅雨明けの夏みたいなものか。
ジョージア州にも四季はあるんだっけ。
アン:「にも」って、何その上から目線な言い方は。季節は日本の占有物じゃないのよ、身のほどを知りなさい。
ーー(どっちが上から目線なんだよ…。)

季節の感じ方の違い
ーー日本の季節は「ピンク、緑、赤、白」って視覚的に変化するのが特徴なんだ。
そういえば、ベトナムは基本的に一年中暑いから、「市場に出回るフルーツの種類で季節の移り変わりを感じる」ってベトナム人もいたぜ。
アン:それは特にベトナム南部ね。
北部の事情はちょっと違うわ。
ーーアメリカで生活していて梅雨との縁は切れたけど、それはどうなんだ?
あのジメジメから解放されて良かったと思うのか、それとも意外と恋しく思ったりする?
アン:梅雨の総合評価はマイナス。
唯一良かったと言えるのはあじさいね。
ーー紫陽花か。
あれは日本原産で、日本に来てあの花のファンになる外国人は結構多い。
アン:でも、ジョージアの四季は日本とは確かに違うわね。
日本みたいに、「はい、今から桜です」、「次は紅葉です」みたいに、目で見て分かる変化は乏しいわ。
紫陽花の漢字と英語
アン:あれはとてもきれいで、わたしにとっては梅雨のお楽しみだった。
でも、漢字がムカつく。
なんで「アジサイ」が「紫陽花」になるのか、さっぱり分からなかったから、せっかく覚えても次の時期には忘れていたわ。
ーー昔、白居易っていう中国の詩人が「紫陽花」って漢字を作って、平安時代の日本人が「あじさい」にその漢字を当てたらしい。
名前と実態が違うのに強引に結びつけたから、そんな複雑な漢字になったんだ。
アン:そうなの。
まあ、わたしの知り合いの日本人も、紫陽花を意味する英語の「Hydrangea(ハイドレンジア)」が覚えにくいって文句を言っていたから、お互いさまね。

梅雨の「悪魔」
ーーで、梅雨のマイナス面はゴキブリかな?
アン:ご明察。暑さと湿気が生み出す、あの黒い悪魔が本当に気持ち悪かった。
ーードイツ人も同じことを言ってた。
ドイツにはゴキブリがほとんどいないから、日本で初めて見たという人もいた。

ーー俺は京都大学、おっと京都の大学に通っていたんだけど、北海道と青森出身で、京都に来て生まれて初めてゴキブリを見たってヤツがいた。
アンは日本に来る前、ニューヨークに住んでいたんだろ?
アン:そんなプライベート情報を言ったっけ?
うかつだったわ、これからは戸締まりに気をつけないと。
ーー家に護身用の銃があるんだろ。それ以上の警戒は必要ないと思うがな。
で、ニューヨークの緯度は青森とだいたい同じだから、アンも日本に来るまで、ゴキブリを見たことなかったのか?
ニューヨークのゴキブリ事情
アン:まさか。ニューヨークにもゴキブリはいるわ。いやがるわよ。
ただ、NYではわりと新しいビルに住んでいたから、まだ良かった。
でも、日本では築ウン十年の木造アパートに住んでいたから、Gがたくさん出てきやがったのよ。
ーーニューヨークにもやつらはいるのか。そういえば、前にそんなニュースを見たな。
アン:ねえ、そろそろこの話題やめない?
ーー「ヤマトゴキブリ」っていう日本原産のゴキブリがいるんだけど、2010年代以降に、それがアメリカに伝わってニューヨークで見つかったんだって。
アン:ねえ、人の話を聞いている?
ーーそのYGは寒さに強いから、北米の冬を乗り越えて繁殖したらしいぜ。
アンが見たのもそれかもな。
アン:なんて恐ろしいことをしてくれたのよ。あなた一人の命で贖(あがな)えると思って?
ーー知らねーよ。

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