日本の“タトゥー禁止”に、インド人とアメリカ人はこう思った

 

日本と韓国はよく「近くて遠い国」と言われる。
地理的にはお隣さんでも、歴史認識などは大きく違うからよく対立が起こる。

でも、文化的な価値観では共通するものも多いから、日本人がこんなニュースを見ればすぐに背景が理解できるはず。

朝鮮日報(2024/03/27)

韓国の銭湯やスポーツジムで「タトゥーお断り」拡大…ネット民の評価分かれる

日本と同じく、韓国でもタトゥーは社会的にタブーとなっている。
一般の人がこれを見ると、暴力団などの「ハンシャ(反社会的集団)」を連想し、脅威や恐怖を感じることがあるため、韓国では銭湯やプール、ホテルなどを中心に、タトゥーのある人の入場を制限する「ノータトゥー」が広がっているという。
これが韓国のネット上で議論になった。
公共の場所でタトゥーを見たくないという人はこの動きを支持する一方、「タトゥーはファッションの一部でしかない」とノータトゥーにNOと言う人もいる。

日本では、個人的には「タトゥーOK」の銭湯やプールが増えているように感じるけど、一般的にはタトゥーへの拒否感はまだ根強くある。だから、事情は韓国と似ている。
タトゥーがあれば「完全出禁」というワケではなく、シールで隠せるならOKという施設もあって、これは韓国でも同じだと思われる。

こんな感じに、タトゥーに対する日韓の価値観や反応はわりと似ている。
では次に、まったく違う文化圏のインド人とアメリカ人の感想を紹介しよう。

 

街を散策していると、前から象が歩いてきた。
インドの日常は日本ではアニメの世界。

 

日本の「タトゥーNG」は海外でもわりと有名で、日本に住むことになったあるインド人は来日する前から、そのことを知っていた。が、その理解は浅かった。
彼は、タトゥーがあると温泉に入れないと聞いていた。しかし、他人と裸で同じ風呂に入ることはインドの文化では最大級のタブーで、そんなことは頼まれたってやらないから、自分には関係ないと思っていた。

彼が日本での生活に慣れてきたころ、近所のスポーツジムに行って「入会したいデス」と伝えたところ、「タトゥーはありますか? もしありましたら、ご入会はお断りさせていただきます」と言われ、ビックリした。
タトゥーの見える人と一緒に体を動かしたくない人もいると知って、彼は「日本の“タトゥー・タブー”はそんなに強かったのか!」と衝撃を受けたという。
さいわい、彼はその条件をクリアしていたから問題なかった。
受付のスタッフに、小さなタトゥーでウェアで隠せるぐらいなら問題ないか尋ねたところ、この施設にはお風呂があるから、やっぱりダメだと言われる。
しかし、彼にそれは関係ない。

 

日本に住んでいるアメリカ人とドライブをしていた時、彼はこれを見て「あれはヒドイな」と苦笑いを浮かべた。
「OK/NG」の基準は国によってそれぞれだ。

 

日本に10年以上住んでいる知人のアメリカ人に言わせると、日本のタトゥー規制はナンセンス。

「考えてみろよ。ヤクザが背中にしている大きな龍の入れ墨と、若い女性がしている小さなキティちゃんのタトゥーは全然違うだろ。タトゥーをすべて“同じ”と考えて、禁止するのは行き過ぎだ。日本人はもうちょっと柔軟な考え方を持った方がいい」

彼はそう話し、ヤクザの入れ墨とファッションのタトゥーは区別して考えるべきだと主張した。
彼には前々からそんな持論があって、日本人の知人に話してみたことがある。
すると、

「それは表面的な発想で、日本の社会では現実的ではない。受付の人がデザインを見たり聞いたりして、その場ですぐ、タトゥーと入れ墨の線引きをすることは難しい。日本人にそんな柔軟性を発揮させると、後できっと問題が発生する。龍を持っているキティちゃんのデザインはどっちになるのか? 日本では、単純にシールで隠せる“面積”で判断するのが合理的なんだよ」

そんなキティちゃんなんていねーだろ! とツッコみたい気持ちあったけど、彼はそれまでの経験から、日本の文化では「自分の頭で判断し、後でトラブルが起きたら責任を負う」というシステムは合わないということは分かっていた。
だから、日本の社会では、誰もが同じ対応をする「マニュアル化」が発達している。
彼は日本に住んでいて、何度もそんな場面に出くわし、イライラしたことがあったから、それを指摘されると反論はできなかった。

だから、日本の社会では、誰もが同じ対応をする「マニュアル化」が発達している。
彼は日本に住んでいて、何度もそんな場面に出くわし、イライラしさせられたから、それを指摘されると反論はできない。
でも、やっぱり入れ墨とタトゥーは違うと考えている。

こんな日本のタトゥー事情も、海外のさまざま見方ヤ価値観に触れて、あと10年したらかなり変化していると思う。
それはきっと韓国も同じだ。

 

 

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2 件のコメント

  • >日本に10年以上住んでいる知人のアメリカ人に言わせると、日本のタトゥー規制はナンセンス。

    こんな書き方をすると、まるでほとんどのアメリカ人が「タトゥーなんか自分だって入れている」かのように思えてしまうのですが、決してそんなことはありません。アメリカでも「タトゥーなんか入れている人間はまともな奴じゃない」という考え方の人は、今でもかなり多いです。特にアッパー・ミドル以上の保守層とかアジア系ではその傾向が強いと思います。
    ただし、アメリカ社会においては、タトゥーの有無によって人の扱いを変えることは「差別」とみなされる可能性が高いから、日本の銭湯のような表立った規制はありません。

    さっき調べたら、タトゥーを入れているアメリカ人の割合がここ15~20年で急速に増大して、今では全体の3割程度(!)だそうです。このことも、アメリカ社会で「分断」が進んでいる傾向を示す指標の一つなのですかね。

  • 州によって違うと思いますが、アメリカでは警察官でも、市民に見えるような大きなタトゥーをしてもOKというところがあります。
    日本とはかなり違いますね。

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。