【韓国の国民感情】仁寺洞で日本語が“排除”された理由とは?

「坊主憎けりゃ袈裟まで悪い」という感情論はとても強く、ときには国際的な常識を上回る。

今週、アメリカで開幕するサッカーW杯でそんな現実を実感させられた。
いまアメリカはイランと戦争中ということで、サッカーイラン代表はさまざまな困難に直面している。

・イランはアリゾナ州をキャンプ地にするつもりだったが、アメリカに受け入れられなかったため、メキシコに変更した。

・イランの選手に米国ビザが発給されたが、イラン・サッカー連盟の会長や事務局長、コーチなどには発給されていない。
選手のアメリカ滞在が認められたのは試合当日だけ。

これから状況が変わるかもしれないが、現時点では以上のようになっている。
イラン代表は会場で前日練習ができず、試合当日も、早朝にメキシコから会場へ移動することになるのだろう。

「平和の祭典であるスポーツに、政治的な争いを持ち込んではいけない」という原則が通じないこともあるのだ。
そんな現実を知って、日本のネット民はこう思った。

・選手たちが何をしたってんだ
・この時代にそんな事あんのかよ
・もう無茶苦茶やなw
・ファンじゃなくて選手の話かよ
・オリンピックもロシア追放してたしな
しゃーない

 

海水浴を楽しむ大勢の釜山(プサン)市民

目次

韓国の歴史認識と「愛国(反日)無罪」

「坊主憎けりゃ〜」という感情論が常識や原則を上回る現象は、隣国でもよく見ることができる。

日本は1910年から1945年まで、朝鮮半島を統治していた。
現代の韓国の歴史認識では、その期間に日本は朝鮮半島の資源を奪ったり、多くの人を殺害したりして、人道に反するひどいことをしたとされている。

「では、なぜそんな残酷な時代に、大勢の市民が海水浴を楽しんでいたのか?」というツッコミは、ここではしないことにする。
人類史レベルで「最悪」の統治とは、例えばベルギーがコンゴにしたことを指すのだけど。

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韓国社会では、この日本統治時代は「屈辱的な歴史」として刻まれている。
そのため、当時の日本を非難するなら「何をしてもいい」という空気があり、法律に反した行為をしても、見逃されることもある。

「平和の少女像」はその代表的な例だ。

市民団体などが違法にこの像を設置しても、この正義は法を上回るため、像を作った側は「何が問題なのか」と開き直り、行政機関は事実上、取り締まることができない。

以前、中央日報が韓国社会にある「愛国(反日)無罪」の空気を指摘した。(2022.09.01)

ほとんど建てるたびに不法論議が起こった。さらに理解できないのは不法造形物だからといって撤去されたこともほとんどない。

【コラム】韓国大田市の「平和の少女像」論議

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仁寺洞の日本料理店

中央日報は上のコラムで「法が銅像の前で力を失いつつある」と韓国社会の現状をなげいている。
ここまで極端ではないとしても、韓国で国民感情が一般的なルールや原則を上回ることはよくある。

ソウル在住のジャーナリスト・黒田勝弘氏が産経新聞のコラム『ソウルからヨボセヨ』でそんなことを書いている。(2026/3/21)

ソウル路地裏の居酒屋に不思議な日本語規制 見当たらぬ屋号、ローマ字ならOKとは

黒田氏がソウル中心部にある仁寺洞(インサドン)に、美味しいしめサバを出す「雅(みやび)や」という店があると聞いて、さっそく足を運んだ。

そこはローマ字で「MIYABIYA」と書かれた看板を掲げた小さな店で、日韓の夫婦が営んでいた。
評判のしめサバはしめ過ぎず、適度な鮮度もあり、日本人でも満足できる日本料理だったという。

 

仁寺洞(インサドン)の本屋で売られていた古書

仁寺洞|韓国の伝統を感じられる街

朝鮮時代の末期、貴族(両班)たちが生活に困ると、現在の仁寺洞(インサドン)で価値のある品々を売り、ソウル在住の外国人たちがそれを目当てに集まる「骨董市」のような街になっていた。

今でも、仁寺洞に行けば、韓国の歴史や伝統を感じさせる建物を見ることができるし、古い陶磁器や家具、古書なども購入できる。

トップ画像の写真は仁寺洞で見かけたスターバックスの店舗で、いっしょにいた韓国人の友人が、

「普通スタバの看板は英語で書かれているんですけど、この店はハングルなんです! 自国語の文字で書かれているのは、世界のスタバでここだけと聞きました!」

と得意げに言うので、とりあえず写真を撮ってみた。

ローマ字はOK、日本語はNGの理由は?

話を戻すと、黒田氏は本格的な日本料理を出し、店内の雰囲気も完全に日本風なのに、看板の店名が「雅や」ではなく、「MIYABIYA」と書かれていることが気になったらしい。

黒田氏がそれを質問すると、夫婦も最初は日本語にしたかったがソウル市に却下されたという。

聞くと行政当局から「街の伝統的雰囲気を守るため日本語はダメ」といわれローマ字に変えたのだとか。

朝鮮時代の古い面影を再現するのなら、看板にはハングルではなく、漢字を使うべきだ。
当時の貴族は漢字を使っていたのだから。

韓国の伝統を大切にする地区で、「ローマ字ならいいけど、日本語は使用禁止」というのは理屈に合わない。
むしろ日本語には漢字が含まれているから、英語よりも当時の雰囲気に合っている。

韓国の「日本隠し」

この排除は日本語をターゲットにした「いじめ」に等しい。
当局が何を言うか知らないが、国民の反日感情に配慮して、一般的なルールや原則が曲げられた事例とみてまず間違いない。
せめて日本語とローマ字の併記くらい認めてほしい。

「坊主憎けりゃ袈裟まで悪い」で、日本統治の“悪行”が現在の仁寺洞にまで影響をあたえているのだ。
日本人の立場からしたら、「この時代にそんな事あんのかよ」「もう無茶苦茶やな」と思うかもしれないし、なかには「日本は悪いことをしたしな、しゃーない」と思う人もいるかも知れない。

とにかく、韓国社会ではこんな「日本隠し」は珍しくないのだ。

 

 

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この記事を書いた人

今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。
また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。

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