韓国社会の根底にある反日感情と政治利用
以前、SNSでこんな韓国人のメッセージを見かけた。
「한국인은 앞으로 일본이 결국 가라앉을 때까지 계속해서 사과를 요구하고 역사를 제대로 배우도록 지적할 권리가 있어!」
(韓国人はこれからも、日本が最終的に沈むまで、謝罪を要求し続け、歴史をきちんと学ぶように指摘する権利がある!)
つまり、韓国はこれからも日本に謝罪を要求し、「正しい歴史を学べ」と言い続けるべき、ということらしい。
「日本が大好きだー!」と言ってくれる人も多いが、韓国社会の根底にはこうした反日感情があるのも事実。
そして、自分の利益のためにそれを利用する政治家がいる。
李大統領の謝罪要求とその背景にある「方程式」
日韓のあいだに、自衛隊と韓国軍が食料、燃料、弾薬などを融通し合う「物品役務相互提供協定(ACSA)」を結ぼうとする動きがある。
もしこれが実現していれば、日本にとっては「恩を仇で返された」形となった、2013年の南スーダンでの一件はなかっただろう。

先日、李在明(イ・ジェミョン)氏は日本とのACSA締結について、韓国には「現実的な必要性がある」と明言したものの、国民情緒を理由に「受け入れるのは現在は難しい」と発言した。
李氏は「歴史問題の整理」を訴え、間接的に日本に謝罪を求めたのだ。
韓国には「殴られた過去の記憶」があるため、日本がそれを認めて謝らなければ「心が通じない」という。
そうは言われても、日本にはもうこれ以上、下げる頭がないのだけど。

以前の李氏には反日的な言動が多かったが、大統領になってからはそれを封印し、日韓関係を良好に保つ姿勢も見せていた。
「実用主義者」とも評された李氏が、なぜこのタイミングで日本に謝罪を要求したのか。
その背景には、韓国政治における「支持率低下からの反日発言」というお決まりの方程式がある。
統一地方選でのつまずきと「好材料」としての日本
実はこの発言の直前、李在明氏が代表を務める野党「共に民主党」は政治的ダメージを受けていた。
6月3日に行われた統一地方選挙で、「投票用紙が足りなくなった」という前代未聞の事態が発生し、国内では「不正選挙」がささやかれ、政党支持率が急落したのだ。
世論調査会社「韓国ギャラップ」によると、選挙前の5月時点では「共に民主党」の支持率が45%、与党「国民の力」が22%と大きな差があった。
しかし選挙後、最重要拠点であるソウル市長選での敗北やトラブルなどから、中道層や若者(20〜30代)の支持を大きく失った。
テレビ局「チャンネルA」の世論調査では「共に民主党」41.8%に対し「国民の力」41.1%と、ほとんど同じになってしまった。
(민주 41 8 국힘 41 1 역대급 최소 격차 채널A)
李政権が発足して以来、政党支持率の差が0.7%にまで縮まったことはない。
だから、李大統領は「反日」に飛びついたのだろう。
繰り返される「反日への転換」パターン
韓国では政権や政党が政治的な困難に直面すると、指導者が国民に「反日」をアピールし、支持率を回復しようとすることがよくある。
この「法則」はとても有名で、たとえば日本経済新聞にはこんなストレートな記事が掲載されている(2022年8月2日)。
支持率急落で「反日」に転じるか
このとき、尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の支持率が30%を割り、政権が「危険水域」に入ったため、親日的だった尹大統領が支持率を回復させるために、反日的な言動をするのでは? という観測が日本ではあった。
韓国政界では大統領や政権の支持率が落ち込むと、「テコ入れ」として、日本叩きに走るパターンが繰り返されてきた。
最近の代表例は、文在寅(ムン・ジェイン)前大統領だ。
日本が韓国への輸出管理を厳しくすると、韓国側は大反発し、文大統領は「日本に二度と負けない」と国民に宣言した。
これが「ノージャパン」運動の原動力となり、支持率の回復に成功した。
しかし、これは一時的なもので、支持率はすぐにまた下がってしまったが。
韓国の「反日」VS 日本の「丁寧な無視」
韓国のこうした典型的な振る舞いに対して、多摩大学特別招聘教授の真壁昭夫氏はダイヤモンド・オンラインの記事で、日本は感情的にならず、韓国には「丁寧かつ冷静に無視する行動に徹すればよい」と提言した(2019年7月30日)。
韓国・文政権の「反日」による支持率回復に、日本はどう対応すべきか
国民の批判が高まると、政治側が自分たちの「延命」を最優先に考え、反日姿勢を利用してナショナリズムを扇動することは多い。
それは韓国内でも常識になっている。
2019年に日本と鋭く対立したとき、韓国の全国紙・朝鮮日報は次の社説を掲載した。
‘일본 호재’ 만났다고 좋아하는 집권 민주당
(「日本という好材料に出会った」と喜ぶ与党・民主党)
世論調査を行った結果、日韓の対立を外交的に解決するよりも、反日闘争に利用したほうが、総選挙で有利に働くということが分かったため、与党は所属議員にその報告書を配布した。
「反日感情に火をつければ選挙に有利になる」という本音に、朝鮮日報は「彼らにとって苦しむ企業や国民の事情、国家の安危は何番目の優先事項なのか」と怒る。
実際に与党側は総選挙で、「これは韓日戦だ」と国民に訴えていた。
日本の選挙で候補者が「これは日韓戦だ!」と叫んでも何のアピールにもならないが、韓国の有権者には刺さる。
いまも有効な「反日カード」
李氏の発言も、この使い古された「方程式」を繰り返したと言える。
支持率低下に対して、「反日カード」を切ることで、愛国心を刺激して非難の矛先を日本に向けさせる。
そもそも慰安婦・徴用工問題と違って、「ACSA」は日本の謝罪とは直接関係があるわけではない。
今回の動きも、国内問題のガス抜きとして、日本を利用する韓国政治の「様式美」(お決まりの展開)だ。
これは国内向けのアピールだろうから、日本は感情的にならず、以前のように丁寧かつ冷静に無視すればいい。
(おまけ)
李氏の「反日発言」は、中国との関係でも一定の効果がありそうだ。
あの発言を知って、ある中国人がSNSでこんな投稿をした。
「李在明告诫高市早苗:日本须为过去罪行道歉,否则我们做不了朋友
对日犯下的罪行,应该更多遭受过苦难的国家站出来发声,而不应为了眼下の利益去“夸赞”日本是所谓的“世界模范公民”。」
(李在明が高市早苗に忠告:「日本は過去の罪を謝罪すべき、さもなくば我々は友人にはなれない」
日本の犯した罪に対して、苦難を経験したより多くの国が立ち上がって声を上げるべきであり、目先の利益のために日本をいわゆる「世界の模範的市民」などと「称賛」するべきではない。)
これでは、カードの「価値」がさらに上がってしまうではないか。
コメント