オランダってどんな国だろう?
オランダは、外国人にやさしい「寛容の国」として世界的にとても有名。
世界中から、いろいろな人たちを受け入れてきた多文化社会の国。
首都のアムステルダムには、200もの国籍の人たちが住んでいる。
ハーグの中心部の近くには、「欧州最大の多文化の市場」とよばれる屋外市場もある。
アメリカのウォールストリートジャーナルでも、オランダの特長として寛容さをあげている。
今もネット上で売買される有名な1962年の航空会社のポスターは「慎重で時間厳守のオランダ人」の「信頼性」をうたっている。オランダは落ち着いた寛容さや親ビジネスでも定評があり、調和の取れた合理性というイメージの国だ。
「どこに行っても日本人だらけ」という日本とは、まったくちがう社会だ。
「このごろオランダに流行(はや)るもの」とはなにか?
それは、イスラーム教徒や外国人を嫌がる排外主義の空気。
そんなオランダを象徴するのが、ウィルダースという政治家。
この人が今のオランダで、多くの国民から支持をあつめている。
ウィルダースは「極右政党」である自由党の党首。
彼は「移民や難民はオランダから出て行け!」と主張していることから、排外主義者として語られることが多い。
でもウィルダース本人は、自由党が「極右政党」とよばれることを嫌っている。
ウィルダースにとっての敵はイスラーム教という「宗教」であって、イスラーム教徒という「人」ではないらしい。
「私はイスラーム教徒(ムスリム)が嫌いなのではない。イスラーム教が嫌いなのだ」と言う。
ようするに、「わたしはルペンのような人種差別主義者ではない!」ということを主張したいのだろう。
ルペンは移民反対を主張するフランスの政治家。
排外的な考え方をしている極右的な政治家といわれている。
ジャン=マリー・ル・ペン
フランスの政治家。反EU、移民反対などを唱える右派政党国民戦線の創始者で、初代党首。
(ウィキペディア)
最近、このルペンの孫娘であるマリーヌ・ルペンが「トランプ大統領に会っていたのではないか?」ということが話題になった。
ルペン氏はフランスでは極度に偏向した人物であり、愛国的反移民政策の立場から、人種差別主義者、排外主義者だとたびたび非難されている。国民戦線を設立したジャン=マリー・ルペン氏の娘で、「フランス社会のイスラム化と闘う」ことを繰り返し主張している。
ウィルダースは最近でも、ロッテルダムでこんな問題発言をした。
ニューズウィーク(2017・3・7号)から。
オランダにはモロッコのくず野郎がたくさんいる。
日本の政治家が日本に住んでいる外国人に対してこんなことを言ったら、とんでもない問題になるはず。
反イスラームの彼は、具体的な政策としてこんなことをいっている。
モスクとマドラサの閉鎖、新規建設禁止、急進的ムスリムの国外追放などを主張している
(ウィキペディア)
「マドラサ」とは、イスラーム教を教える学校のようなところ。
そんな雰囲気のオランダで、今月3月15日に総選挙がおこなわれる。
ヨーロッパをはじめ、世界中の人たちがこの選挙結果に注目している。
アメリカのウォールストリートジャーナル誌では、「オランダ総選挙、欧州極右に吉と出るか 3月の選挙で欧州各国の先導役になる可能性も」という特集をくんでいるほど。
今年は、フランスやドイツでも重要な選挙がある。
だから、このオランダの選挙結果は仏独にとっても他人事ではない。
オランダ人の判断は、フランスの極右政党「国民戦線(党首はルペン)」の得票率にも影響を与あたえることにもなるだろうから。
オランダという世界的に寛容な国で、排他的な考えをもつ極右政党がどれだけの支持を集めるのか?
このことに今、世界が固唾をのんで見守っている。
固唾(かたず)を呑(の)・む
事の成り行きが気がかりで、緊張している。
デジタル大辞泉の解説
ちなみに。
この記事のなかの「このごろオランダに流行(はや)るもの」という言葉は、二条河原の落書の「此比(このごろ)都ニハヤル物」のパクリ。
二条河原の落書は、鎌倉時代が終わったあとの建武の新政のときにかかれたもの。「日本でもっとも有名な落書き」ともいわれている。
二条河原の落書(にじょうがわらのらくしょ)
建武の新政当時の混乱する政治・社会を批判、風刺した七五調の文書。専門家の間でも最高傑作と評価される落書の一つである。
(ウィキペディア)
だれも気がつかなったら悲しいから、自分でネタばらし。
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