いま北米で開催されているサッカーW杯には、世界中から多くの人が集まって、さまざまな文化や価値観が混ざり合っている。
その中で光を放ったのが、日本の「お掃除文化」だ。

しかし、ダークサイドもある。
自分と異なる人種や民族が身近になることで、差別的な行為が表面化することもあるのだ。
これからその具体例を紹介していくので、差別行為と見なされる国際的な基準を理解するための参考にしてほしい。
1,アジア人に対する「つり目」のポーズ
まずは、アジア人に対する「あるある」の典型的な偏見や差別だ。
ある韓国人女性がメキシコの試合会場で、自分をふくめて動画を撮影していたとき、後ろに座っていたメキシコ人男性がカメラに向かって、人差し指で両目を引っ張る「つり目」のポーズをした。
特定の人種の身体的特徴を強調したり、揶揄(やゆ)することは明確な人種差別行為になる。
その様子がSNSで拡散されると、男性には批判が殺到。
本人は「他人を侮辱する意図はなかった。でも、深く反省している」とスペイン語と英語で謝罪したが、それだけでは済まされない。
彼がメキシコの地理工学技術者協会の会長であることがバレて、会長職を辞任する事態に発展した。
日本人にとってもこれは他人事ではない。
東アジアの人間には、ほかの地域の人間に比べて「目が細い」という特徴がある。
寒冷地でも住みやすいように適応していった結果、こういう目の形になったという。
これは「アーモンド・アイ」と呼ばれ、日中韓の人間の特徴として知られているから、海外で日本人が「つり目」のポーズをされることもある。

2,日本人に対する軽視・侮辱
次の「被害者」は日本人だ。
日本対オランダの試合で日本代表が得点すると、元オランダ代表のファンデルファールト氏がテレビの解説中にこんな発言をした。
「彼らは顔が似ているから、守りづらかったのでは」
特定の国や地域の人たちを「個性のない均質な集団」として決めつけるのは、上から目線の態度で不適切だ。
本人にもすぐに「ヤバい!」と気づいたようで、「これはジョークだ」と言い訳をしたが、世間は許さなかった。
メディアで報じられてSNSでも拡散され、ファンデルファールト氏の発言は差別的だったと非難されている。
3,差別的なジェスチャー
これは本人には差別的な意図はなかったのだろうけど、他者からはそう思われてしまった事例だ。
親指と人差し指をつなげて丸い形を作り、「大丈夫」という気持ちをあらわす「OKサイン」がある。

日本でこのジェスチャーはまったく問題ないが、これが海外の一部では「白人至上主義(White Power)を意味している」と認識されることもあるのだ。
なんでそうなったのか、くわしいことは「OK gesture・White power symbol」を開いて確認してほしい。
今回のW杯では、VAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)の審判を担当したオーストラリア人がこれを逆さにしたようなジェスチャーをして、それがテレビ画面に映ってしまった。
そのためすぐにネットで炎上し、差別撤廃を目指す団体は「OKサインに類似している」と非難声明を発表。
審判の解任を求める声も上がったが、FIFA(国際サッカー連盟)は「無意識の動きだった」と説明し、審判員への処分はしなかった。
4,文化の盗用
自分と異なる文化圏の服装やアクセサリーを身につけると、差別的な「文化の盗用」(Cultural appropriation) と非難されることがある。
たとえば、白人や黒人が日本の着物を着る行為がこれに当たる。
日本ではこの意識はかなり薄いが、欧米とくにアメリカ社会では厳しい。


メキシコの男たちはつばが広く、太陽光をさえぎることのできる帽子をかぶっていた。
現代ではこの伝統的な帽子、「ソンブレロ」はメキシコのシンボルにもなっている。

メキシコの会場でおこなわれた「韓国・チェコ戦」で、ソンブレロをかぶって口ひげを付けた韓国人男性が中継のカメラに映った。
すると一部から、文化盗用や人種差別を指摘する声が上がった。
しかし、メキシコ人はこの韓国人に好意的で、ほとんど騒ぎにならなかった。
5,同性愛に対する差別チャント
キリスト教のカトリックでは教義上の理由から、同性愛は神の意思に反するとして、少なくとも公式には認められていない。

メキシコ社会ではカトリックの影響がとても強く、同性愛者に厳しいを超えて、差別的な視線が向けられることがある。
2018年に開催されたW杯の試合で、多くのメキシコ・サポーターが同性愛を嫌悪し、侮辱するような言葉を叫び、そのチャントが問題視された。
2021年の国際試合でも同じことが起き、FIFAはメキシコサッカー連盟に対して処分をくだし、メキシコ側は約1000万円の罰金が科され、ワールドカップ予選の2試合を無観客でおこなわなければならなかった。
「LGBTQ and association football・Mexico」
今回の大会では確認されていないが、同性愛者に対する差別チャントが警戒されている。
新しい差別行為対策
過去の試合では、選手がピッチ上で差別的な発言をしたこともある。
こうした場合、本人が否定しても、後から口の動きを確認されてバレてしまうことがあった。
そのため、手で口元を隠し、何かを話す選手が現れるようになった。

それに対応するため、2026年の今大会からは新たな差別対策ルールとして、「口を覆いながら相手に暴言を吐く行為」に対する罰則が強化された。
ピッチ上のいかなる差別も見逃さない、という強い意志があらわれている。
今回のまとめ
同性愛者を侮辱する「差別チャント」が差別行為になることは、誰の目でも明らかだ。
日本人なら外国人に「つり目のポーズ」をすることはないだろう。
と言いたいところだけど、前にSNSで、なぜか日本人が韓国人にこのポーズをしているのを見たことがある。
これについては連携しないといけないのに。
最近は日本でも、「文化盗用」が差別的な行為とみなされるという認識が広がっている。ただし、これはおもに欧米の文化圏でのタブーだから、海外では気をつけたほうがいいが、日本国内ではあまり気にしなくていい。
「OKサイン=白人至上主義」と見なされることがあったり、個人を無視して民族を大ざっぱにひとまとめにしたりすると、差別的と見なされることがある。
日本人にとっては、こうした点を意外に感じるかもしれない。
海外に行ったり、外国人と付き合う機会のある人は、現代の国際的な基準を知っておいていい。
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