少し前の記事で、「フレネミー」というやっかいな人について書いた。
フレネミー(Frenemy)とは「フレンド」と「エナミー(敵)」をつなげた言葉で、「友だちと思わせて実は敵」とか「ライバルだけど友だち」といった意味がある。
女子目線だと、「彼氏を奪う友人」もフレネミーになるらしい。
だれだってまわりに、こんなフレネミーの1人や2人はいる。
「味方だと思わせといて、その人の足を引っ張る」
今の韓国政府を見ると、そんなフレネミーのような人がいる。
それは女性家族部長官の鄭(チョン)氏。
日本でいえば大臣になるから、以下、女性家族相と書く。
今年1月、この鄭女性家族相は「和解・癒やし財団」を年内にも解散させてしまいたいと言い出した。
でも、それはあり得ない。
「和解・癒やし財団」は元慰安婦を支援するためにつくられた団体で、2015年の日韓合意にもとづいて、日本が韓国側にわたした10億円をもとにして設立された。
この団体がなくなったら、元慰安婦を支援することができなくなってしまう。
だから日本には「それはつまり、『韓国は日韓合意を履行しない』ということだな?」と受けとめられてしまう。
鄭(チョン)女性家族相の言葉は日本側を怒らせた。
日本政府はすぐ反応する。
菅官房長官が「合意を1ミリたりとも動かす考えはない」と抗議して、読売新聞は社説(2018年01月25日)でこの大臣を「無責任」だと批判した。
韓国の女性家族相は韓国紙のインタビューで、慰安婦を支援する財団の年内解散にまで言及した。こうした合意の白紙化に向けた無責任な動きに
「首相平昌五輪へ 慰安婦合意の履行を求めよ」
日韓合意を白紙にしたら、日韓関係も白紙になってしまう。
じつは女性家族相の言葉には韓国側も困惑している。
中央日報の記事「慰安婦問題、政府と違う話をする女性家族部長官・駐日大使(2018年01月24日)」にはこう書いてある。
和解・癒やし財団が合意の核心的要素の一つだったため、日本側は財団の清算を合意破棄と見なす可能性が高い。韓国政府も(中略)財団自体には触れなかった。
鄭長官の発言が韓日関係を考慮していない慎重でない発言という批判を受ける理由だ。
この話には続きがあった。
今月9日に韓国を訪問した安倍首相が文(ムン)大統領と会談したときに、文大統領はこの財団を解散させないことを明らかにしている。
FNNニュース(2018/02/17)から。
元慰安婦支援のために設立した財団を解散せず、日本の拠出金も返還しない考えを表明していたことがわかった。
韓国・文大統領「元慰安婦支援財団は解散しない」
「和解・癒やし財団を年内にも解散させてしまいたい」という鄭(チョン)女性家族相の言葉を、文大統領が完全に否定している。
安倍首相が韓国を訪問した理由には、これがあったと思う。
「韓国政府はこの団体を解散させない」
安倍首相はこのことを、文大統領の口からハッキリ言わせたかったのだろう。
どこの会社でも、社員が暴走して勝手なことを言い出したら、上司が大変だ。
「おたくの社員はあなたと違うことを言っていたのですけど、これはどういうことなんですか?」
と取引先の会社から問われたら、上司としては「あのバカ野郎~」となる。
「いえいえ、とんでもありません。元慰安婦を支援する財団は解散させません。あなたとの約束は守ります。すいませんねえ、ウチの女性家族相が変なことを言い出してしまいまして~」
と、文大統領は日韓首脳会談で汗をかいたと想像する。
2015年に「最終的な解決」で合意したことを、今になって「あれで解決にはならない」と言い出した文大統領もいいかげんだけど、この女性家族相のデタラメさはその上を行く。
ただ、女性家族相が「財団を解散する」と言い出したのには理由がある。
元慰安婦やその支援団体がそれを希望していたから。
こうした人たちが「日本のお金でつくられた財団は解散してほしい」と言っていたから、それを聴いた女性家族相がそれを現実にしようとした。
すると文大統領に否定されてしまう。
文大統領も「元慰安婦の人たちの言葉をしっかり聴くことが大事」とは常々言っている。
でも、その言葉通りにすると、韓日関係は終わってしまう。
文大統領も大変だと思うけど、それは韓国の国内問題だから大統領として責任をもって解決してほしい。
慰安婦問題については、日本政府の言うことは一貫している。
首相も官房長官も外務大臣も「合意は1ミリも動かない」と、くり返し同じことを言っている。
でも、韓国政府はそうではない。
女性家族相は、「慰安婦問題で政府と違う話をする」と韓国紙に批判されるし、大統領からは「財団は解散しない」と発言を否定された。
韓国政府の混乱を見ると、慰安婦像の移転をはじめ、日本と約束したことを本当に実行できるのか不安になってくる。
おまけ
前に書いたことがあるのだけど、有名な組織論があるからそれを簡単に紹介しようと思う。
ドイツの軍人「ハンス・フォン・ゼークト」が唱えたといわれる「ゼークトの組織論」だ。
それによると、軍人はこの4つのタイプに分類される。
・有能な怠け者は司令官にせよ。
・有能な働き者は参謀に向いている。
・無能な怠け者でも、連絡将校か下級兵士くらいは務まる。
・無能な働き者は処刑するしかない。
「処刑」は別として、「仕事をすればするほど、上司の仕事が増える」という部下の対応はむずかしい。
こちらの記事もいかがですか?
東南アジアに反日感情はある?→「日本は、いつまで謝ってるの?」
コメントを残す