はじめの一言
「婦人の美しい作法や陽気さには魅力があった。さらに、通りがかりに休もうとする外国人はほとんど例外なく歓待され、『おはよう』という気持ちのよい挨拶を受けた。この挨拶は道で会う人、野良で働く人、あるいは村民からたえず受けるものだった（ブラック 明治時代）」
「逝きし日の面影 平凡社」
今回の内容
・アイドルの涙の謝罪
・韓国での安重根とは？
・アイドルの涙の謝罪
「これはいくらなんでもかわいそうだ」
思わずそう思ってしまうようなことが韓国であった。
そのきっかけは、「ＡＯＡ」という韓国のアイドルグループの女の子が、テレビ番組の歴史クイズコーナーでクイズにまちがってしまったこと。
ただそれだけ。
そのクイズコーナーで出された顔写真が、韓国で英雄とされている「安重根（アンジュングン：あんじゅうこん）」だったのだけど、そのアイドルは「豊臣秀吉」と言ってしまった。
「韓国の英雄を豊臣秀吉とまちがえるなんて、ひどすぎる！」
そのアイドルを非難する声が殺到する。
それでそのアイドルはテレビで公開謝罪することなってしまう。
「歴史クイズでまちがった」というだけなのに。
その謝罪文が、中央日報（2016/05/13）にのっている。
以下、ジミンの謝罪文全文。
こんにちは、ＡＯＡのジミンです。
私は５月３日にオン・スタイルで放送されたチャンネルＡＯＡの番組で歴史クイズコーナーを行い、その過程で安重根義士の姿が判別できず、さらには軽い態度で放送に臨んで多くの方々に不適切な姿を見せました。
メディアに姿を見せる芸能人としてかえってふざけているような姿勢で多くの方々の眉をひそめさせたことを心より謝罪申し上げます。申し訳ありません。
いかなる弁解も私の過ちを覆うことはできないでしょう。
今回のことをきっかけに私は無知こそ最も大きな過ちであることを学びました。
心より謝罪申し上げ、深く反省致します。私は今後、芸能人としてではなく大韓民国の国民として恥ずかしくない歴史観を持つために最善の努力を尽くします。もう一度私の過ちを心より謝罪申し上げます。申し訳ありません。
－ＡＯＡジミン拝
安重根が韓国の英雄だとしても、テレビ番組のクイズに間違えただけでこんな謝罪をしないとけないのだろうか？
アイドルは泣きながらの公開謝罪というのは気の毒。
これじゃ、公開謝罪ではなくて公開処刑。
日本だったらこれはない。
歴史クイズにまちがったところで、泣きながら謝罪させられるところまで追いつめられないだろう。
しかも先ほどの内容は、韓国の新聞記事から抜き出したもの。
アイドルの謝罪会見の言葉が全国紙にのるというのも、ちょっと考えられない。
でもこれが韓国社会の空気たしか。
まあ、日本のアイドルで「恋愛禁止を破ったから」ということで丸坊主になった人もいたしね。
あれも外国からみたらどうなんだろう？
・韓国での安重根とは？
韓国で安重根は英雄とされている。
でも日本では、「テロリスト」とまったく反対の評価を受けている。
これほど正反対の評価をうけている人もめずらしい。
今回はこの興味深い人物のことを書いていきたい。
安重根（ウィキペディア）
「安重根」で検索すると「安重根 ナベアツ」と出てくる。
世界のナベアツに似てるといえば似ている。
安重根（アンジュングン、あんじゅうこん）
１８７９～１９１０朝鮮の独立運動家。１９０７年沿海州で愛国啓蒙運動と義兵闘争に参加。朝鮮の植民地化を決定づけたとして、１９０９年１０月に伊藤博文をハルビンで暗殺した。
（世界史用語集 山川出版）
ここに書いてあるように、安重根が伊藤博文を暗殺した理由はこれ。
伊藤が「朝鮮の植民地化を決定づけた」と思ったため。
でも、実際にはどうだったのか？
次の文を読んでほしい。
韓国併合条約
１９１０年８月の韓国併合条約で韓国を植民地とした。１９０９年の伊藤博文暗殺、韓国首相李完用襲撃事件が契機となる。
（日本史用語集 山川出版）
これを読むとちょっと違う。
「１９０９年の伊藤博文暗殺」が、朝鮮の植民地支配の「契機」となっている。
これだと、伊藤博文を暗殺したことが朝鮮植民地化の大きなきっかけになっている。
先ほどの記述とは、むしろ逆の結果になっている。
ちなみにこの「李完用（りかんよう）」という韓国人は、現在の韓国でもっとも嫌われている人といっていい。
「おまえは、李完用のようなヤツだ」
と韓国人に言ったら、きっと相手は一瞬で激怒する。
ウィキペディアにはこうある。
独立後は韓国植民地化の元凶の一人としての評価が強まり、憎悪を一身に受けた。そのため現在でも韓国・北朝鮮において李完用の名は親日派（チニルパ）、売国奴の代名詞とさえなっている。韓国政府によって公式にも親日反民族行為者に認定されている。
言ってみたら、政府公認の「親日反民族行為者」。
韓国では「親日」とは、「民族の裏切り者」という意味、相手を軽べつする言葉になる。
さらに、韓国人の発想でこれもよくわからない。
２００５年になってから、政府が「李完用を含む親日派9人の子孫から土地を没収（ウィキペディア）」したということ。
これではこの子孫たちがあまりにかわいそう。
さっきのＡＯＡといい、韓国の反日愛国はちょっと理解できない。
あたり前のことだけど、韓国には韓国の見方がある。
韓国の中学校の歴史教科書には、安重根についてこう書いてある。
義将兵として国内外で抗日戦を展開していた安重根は、初代統監としてわが国侵略の先頭に立っていた伊藤博文がロシアの代表と会談するためハルビンに到着したとき、彼を射殺して民族独立の意志を明らかに示した
（韓国の中学校の歴史教科書 明石書店）
また、高校の歴史教科書はこんな感じ。
義兵として活躍していた安重根は満州ハルピン駅で韓国侵略の元凶である伊藤博文を処断した。
（韓国の歴史 明石書店）
「処断」ってのはひどい言葉だな。
安重根としては、伊藤博文を射殺して「民族独立の意志を明らかに示した」つもりだった。
でも、先ほどの日本史用語集によれば、これが韓国の独立を失うきっかけとなっている。
これは本当に歴史の皮肉。
とにかく韓国で安重根は、民族の英雄として尊敬されている。
では日本では安重根はどう考えられいるか？
次回に書きます。
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