【徴用工訴訟】日本の与野党の反応「国家失格 vs 韓国重視」

 

むかし静岡から長崎へ旅行に行こうとして、驚いたことがある。

「長崎って、めちゃくちゃお金と時間がかかるじゃん!」

調べたら、静岡からだと韓国のほうが安いし早く行ける。
長崎からの直線距離だと、山口と釜山が同じぐらい。
日本と韓国は本当に近かった!

 

10年以上前にそんな地理上の発見をしたのだけど、韓国はやっぱり近くて遠い国だった。
きのう韓国の最高裁判所が、53年前の合意を一方的にひっくり返しやがりました。
日本人と韓国人の価値観や考え方に、絶望的なちがいを感じた人は多いはず。

日韓両政府は1965年に請求権協定を結んで、徴用工の日本への請求権は消滅したことを確認した。
それにもとづいて日本は5億ドルを韓国に渡して、韓国はそれをもとに「漢江の奇跡」と呼ばれる経済成長を達成した。
ここまでは、ある意味ウィン・ウィン。

 

そんな日韓関係の生命線だった日韓請求権協定を韓国最高裁が否定して、日本企業に元徴用1人あたり約1000万円の支払いを命じた。

53年後のちゃぶ台返しに、日本の政界は大反発。
安倍首相は「国際法に照らしてあり得ない判断だ。き然と対応する」と怒る。

河野外相はこう言った。

「断じて受け入れることはできない」
「韓国が直ちに国際法違反の状態を是正することを含め、適切な措置を講ずることを強く求める」

新藤元総務相が「怒りを通り越してあきれる」と言えば、中曽根議員は「国家間のそういう約束を守れない。国家としての体をなしていないのではないか」と韓国に「国家失格」の太鼓判をポンと押す。

ここまでは日本の与党の反応。
では、野党はどう反応したのか?

 

 

野党なんだから、与党自民党とは意見がちがう。
だんだんと非難のトーンが弱まって、韓国重視になっていく。

 

立憲民主党の枝野幸男代表は「判決は大変、残念であり、遺憾に思う」とガッカリする。
それはそうだけど、ここは「国際法違反」を指摘してほしかった。

でも北朝鮮の日本人拉致問題の解決では、韓国との連携が欠かせない。
それで枝野代表は「韓国政府には1965年の日韓請求権協定を踏まえて適切な対応を取ることを強く期待している」と言う。
ただし、シェークスピアはこう言った。

「期待はあらゆる苦悩のもと」

韓国政府が日本の期待どおりに動いてくれたら、きっとこんな事態にはなってない。

 

国民民主党の玉木雄一郎代表はこう述べた。

「韓国に抗議することは抗議するにしても、さまざまな分野で協力しなければならない」

でも、ただの抗議じゃ意味がない。
「国際司法裁判所への提訴もやむなし」とか、具体的な抗議手段まで言ってほしかった。
法治主義の日本が法的対応をとるのは自然な流れだ。

それといまは、日韓関係が「破壊される」「破綻する」と言われるほどの重大時なんだから、韓国の前に日本政府に協力してほしい。

 

ここからは地球市民の言葉。
「国家としての体をなしていない」と正反対の意見だ。

社会民主党の又市征治党首「韓国国民の不満は重視する必要がある」

共産党(赤旗)「日本企業と政府は、被害の事実に誠実に向き合い、解決への努力をはらうべきです」

法より情か。
でも大丈夫。何の苦悩も感じないから。

 

 

日本は法を尊重する法治国家だ。
だから与党は韓国の国際法違反に怒っている。

国民感情(反日感情)が法の上にある韓国とは、このへんの考え方がまったくちがう。
今回の判決で、日韓のその違いが最悪の形となって表れたわけだ。

「もうなんも言えねえ」という日本政府は、これから韓国に対して、基本無視の「戦略的放置」を強めるという。
対韓国では、法治より放置らしい。

でもそれって、80年ぶりのことじゃね?

1938年(昭和13年)1月16日、近衛文麿首相はトラウトマン工作に基づいた和平案提示に対し、蒋介石率いる国民政府が応じないことを原因として、交渉打ち切りの声明を発表した。近衛は声明の中で「国民政府を対手とせず」と述べ

第一次近衛声明

日本政府や外務省には、「いまの韓国政府は相手にできない。もう交渉は不可だ」と思っている人も多いはず。
53年後の約束違反には、80年ぶりに封印を解くしかない。

 

ちなみに、記事の始めに出てきた「地理上の発見」とはこんな意味ですよ。
中学の歴史でならうことだから、覚えておこう。

バスコ・ダ・ガマの東インド航路の発見(1498)とコロンブスによる新世界の発見(1492)をはじめとするいわゆる〈地理上の発見〉(大航海時代)によって,世界貿易の構造が一変し,またその結果としてヨーロッパ内部に勢力の交替や経済,社会,生活上の変化が生じたことをいう。

世界大百科事典内の地理上の発見の言及

今回の判決では、日韓関係の構造が一変し、またその結果として、日韓内部の勢力の交替や経済,社会,生活上の変化が生じるかもしれない。
それぐらい重大なことですよ。

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。