「犬肉食」のイメージは?最近の日本と韓国であったこと。

 

日本で「あなたは韓国で犬肉を食べましたか?」と聞くことは、相手を侮辱することになるらしい。

最近、そんなやり取りが国会で行われた。

デイリー新潮にその記事(2018/11/12)がある。

あなたは韓国で犬肉を食べたのではないか?「桜田義孝」五輪相が野党議員の珍質問に怒髪天

 

11月7日の参院予算委員会で、国民民主党の大島議員が桜田五輪担当大臣に質問をした。
ちなみにこの大臣は五輪担当大臣に選ばれた理由を聞かれると、「なぜ選ばれたか分からない」と謎を深めた人。
大島議員がそんな桜田大臣に、韓国を訪問してすき焼きを食べた時のことを聞く。
有権者として、国会答弁のワンシーンを見てみよう。

 

大島:その肉が、犬肉だったんじゃないかというのをお友達から聞いたんですけど、犬肉をそこで食べたという話なんですけど、犬肉でしたか?

桜田:お答えします。私は犬の肉は一切食ったことがないので分かりません。

大島:すき焼きのようなものを食べた場所にはいらっしゃったことはありますよね?

桜田:私はどこの場所だかも全く分かりません。韓国に行ったことはあります。そして焼肉も食べたこともあります。しかし、犬はございません。

桜田大臣がこんなことを答えると、大島議員は「まあ、それはそれでいいんですが」と言って、別の話を始める。

 

日本の国会で「韓国で犬肉を食べましたか?」という質問が出たのは、これが初めてのことらしい。
まあ普通は聞かんわな。

政治担当記者も「あの質問はする必要があったのか?」と首をひねっている。
後に桜田大臣は「とんでもない質問だ。オレは犬なんか食べていない」と怒り狂ったという。

とにかくこれで税金の有意義な使われ方と、日本での犬肉食のイメージが見えてきた。
それを公の場で聞くことは、相手を侮辱することになる。

「韓国でビビンバを食べましたか?」とテレビ番組で聞くはいいけど、犬肉食は放送事故になると思う。
日本ではタブーだ。

 

納税者の声

 

25年ぐらい前に韓国を旅行したとき、宿で出会った日本人旅行者から「犬肉を食べに行きませんか?」と誘われた。
宿のすぐ近くに犬肉の鍋を出す店があるらしい。
このときは迷ったけど、ノー。

ボクは犬を食べないけど、韓国の人たちが食べるのは否定しない。
それは食文化のひとつで、外国人には関係ない。

でも、犬肉食は韓国でもアンタッチャブルな雰囲気がある。
それに触れると怒り出す人もいる。
知り合いが韓国旅行をしたとき、現地の女性ガイドに犬肉食のことを質問したら、「それは昔の話です!今の韓国で犬肉食はありません!」と怒られてしまった。
ガイドも桜田大臣と同じで、「とんでもない質問だ」と思ったのだろう。

 

でも、そんなことはない。
いまでも韓国では、約100万匹の犬が毎年食べられている。
日本の半分以下の人口でこれほどの消費があるのだから、「犬肉食はありません!」というのはあり得ない。

でも、そう言いたくなる気持ちは分かる。
このせいで韓国は、欧米から「野蛮で残酷な国」という印象を持たれているから。
犬肉に反対する韓国人のなかには動物愛護より、国のイメージダウンを恐れている人も多いと思う。
韓国に限らないけど、生き物の命より国家のブランドを優先する人はいる。

犬肉食を嫌うのは若い人に多い。
ボクが話を聞いた50代の韓国人男性は、「外国人はうるさい。夏の暑さを乗り越えるためには、犬肉を食べるほうがいい。韓国人は昔からそうしてきた」と、攘夷志士のように西洋化を拒否していた。

 

 

でも全体的に見れば、韓国の犬食文化は衰退している。
もうすぐなくなるかもしれない。

そう思わせるような出来事が最近あった。
韓国で最も大きい犬肉処理場の解体作業が始まったのだ。

AFPの記事(2018年11月22日)から。

犬食は国外から批判の対象となり、その伝統は廃れつつある。韓国内でも犬を家畜ではなくペットとして認識する人が増え、若者の間では犬食がタブー視されている。

韓国最大の犬の食肉処理施設、解体始まる 犬食への非難高まる中

 

韓国でも犬肉食は“社会の敵”になりつつある。
この伝統は流行にのまれて姿を消すだろう。

やっぱりあのとき、行っといたほうがよかったか?

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。