ネットをながめていたら、こんな記事を見かけた。
「邪馬台国の人はカエルを食べた? 奈良・纒向遺跡で骨が大量出土」
マジか?と思って見てみたら、それはNHK NEWS WEBの記事(2019年04月25日)だった。
纒向遺跡でカエルの骨 祭祀用か
奈良の桜井市(邪馬台国の有力な候補地でもある)の纒向(まきむく)遺跡で、カエルの骨が見つかった。どうやら3~4世紀ごろ、ここでおこなわれた祭祀でカエルを神様への「お供え物」にしたらしい。
同志社大学教授はこう見ている。
「地面をふんばって跳びはねるカエルは、古代、大地の主とされ古代中国では、霊力のある動物とされている。そのカエルが供えられたことを示す具体的な資料で、当時の祭祀を知るうえで貴重な発見だ」
なるほど。弥生人はカエルを神にささげていたのか。
で、その時代の日本人はカエルを食べてたの?
結局、「邪馬台国の人がカエルを食べた」という記述はNHKの記事には一行もなかった。
なんだよ見出し詐欺かよ。
ネットを見ると、同じように釣られた人がたくさんいる。
でも、祭祀やお供え物はどーでもよくて、「食用としてのカエル」で話が盛り上がっていた。
・昭和にも食用ガエル輸入してたじゃん
失敗して捨てて野生化したが
・ジャカルタいた時だけどよくデパート行くたび、ねだって買ってもらってたわ
・中華料理店で酢豚だと思って食べてたら、カエルだった。
・ずっと昔、沖縄に行ったとき、カエルの足の水煮缶詰を売ってた。
・そういや諏訪大社でもカエルを生け贄にするよね。
・どっかの居酒屋でスズメとセットで食べた
ベトナムとカンボジアに行ったとき、ボクもカエルを食べたことがある。
といってもから揚げのような揚げ物でスパイス(?)が強かったから、「カエルの味」というのはよく分からなかった。
カエルの「もも肉」はよく、鶏肉と似ているといわれる。
そう言われてみれば、ささ身のような感じだった気がする。
マズくはなかったけど、もう一度食べたいとは思わない。
中国や東南アジアではカエルはわりとポピュラーな食材で、そこらの市場でも買える。
だから弥生時代の日本人が食べていても驚きはしない。
韓国のソウルで「ポンテギ(カイコの蛹(さなぎ)をゆでて味付けしたもの)」を見たときのほうがショックは大きかった。
カエルは食べられたけど、これは無理。
弥生時代は知らないけど、いまの日本にはカエルを食べる文化はない。
でも明治時代、日本にカレーが伝わったときには、カレーの具材としてアカガエルを入れていたという。
そのことをこの記事をどうぞ。
日本人の食文化:江戸は犬肉を、明治はカエル入りカレーを食べていた
いまの日本で「カエルカレー」はあり得ない。
日本に来たヒンドゥー教徒のインド人がビーフカレーに驚いていたけど、どっちが衝撃的なんだろう?
ちなみに、南インドには牛肉入りのカレーもある。
食用としてのカエルについて、個人的に一番驚いたというか、「日本の名誉のためにそれはやめてくれ!」と思ったのが、東京のすし屋が出していた「カエルの生きづくり」。
イギリスメディア、デーリーメール に「最悪に気持ち悪い食べ物?」と、そのグロい料理を紹介する記事(21 August 2014)がある。
ここはすし屋だけど、ゲテモノもあつかっているという。
いまでもやっているのかは分からない。
とりあえず記事を見てみよう。
It shows a chef in a restaurant in Japan, stabbing, beheading and skinning a live frog to serve as sashimi and has sparked outrage online.
日本のレストランで料理人がカエルの首をはねて、生きたままカエルの皮をはぐ。そして「刺身」として客に提供する。これをショーのように、客の目の前でするのだ。
「本当にこれは日本の店か?」と信じられなかったけど、記事にはその店の動画と画像がある。
*自己責任で見ておくれやす。
さばかれたカエルは足をピクピク動かして、カメラに向かってまばたきをする。
「一口サイズ」にカットされたカエルの肉のかたまりに、レモンをそえてオシャレを演出するってバカですか?気は確かですか?
最後にカエルの頭部をのせて出来上がり。
何だか分からないけど、こんなのは刺身じゃないし、日本料理と一緒にされては困る。
これならポンテギのほうがいい。
この様子をユーチューブで見た人は、「Viewers respond in anger and disgust at the cruel way the animal is treated」と動物虐待で怒り心頭だ。
日本にはむかしからカエルがいて、日本人との付き合いも長い。
弥生時代は神様へのお供え物。
明治時代はカレーの具。
そして平成は刺身。
いまが最悪じゃん。
カエルを生で食べようとする発想は理解できないし、そのせいで日本に対する偏見が世界に広がってしまう。
この3つを並べると、弥生時代の日本人が一番民度が高いように見える。
こちらの記事もどうぞ。
「飢え」が変えた食文化。日本と世界(ドイツ・カンボジア)の例
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