韓国の“日本隠し”:不買で知った日本製品に支えられる韓国社会

 

中国に「飲水思源」という素晴らしい言葉がある。
「水を飲むときには、井戸を掘った人の苦労を思いなさい」という意味の四文字熟語だ。

日中国交正常化のため、1972年に中国を訪れた田中角栄首相に、周恩来首相がこの言葉を使ったことで日本で有名になった。

飲水思源

いま豊かな生活を送ることができるのは、どこかにその源があるから。
幸せの理由を知らないことは不幸だ。

 

さてここからは、国交正常化以来、いまが最悪といわれる日韓関係について。
韓国にくわしい日本人の間には、 「日本隠し」という言葉がある。
1965年に韓国と国交を正常化して以降、日本は韓国の発展に協力してきたのだけど、韓国ではこの貢献が国民にほとんど知らされていない。
現在の韓国の繁栄の源である「漢江の奇跡」では、日本もかなりの支援をしたのだけど、韓国ではこの事実が無視され隠され続けてきた。
「飲水思源」のまさに逆。

日本政府が韓国に対して輸出規制を厳格化したことで、いま韓国は大騒ぎになっている。
これが思わぬ副作用を起こした。
日本製品を排斥しようとしたことで、韓国社会が日本製品に大きく依存していたことが判明する。

産経新聞のコラム「ソウルからヨボセヨ」(2019.7.13)で韓国通のジャーナリスト、黒田勝弘氏がこう書いている。

韓国が世界に誇る半導体やスマホの“中身”の多くが実は日本製だったことが明らかになり、世論に驚きと衝撃をあたえている。わずか3種類の輸入素材で国を挙げ大騒ぎになっている

“日本隠し”が明るみに

個人的には、韓国国民がいま初めてこれを知ったことに軽い衝撃を受けた。
どれだけ徹底して「日本隠し」が行われていたのか。

 

日本の輸出規制に対抗して、韓国政府は決意や覚悟をくり返し固めている。
でも国民は有言実行で、約半数が日本製品の不買運動に参加している状況だ。
日本行きの航空券を破り捨てたり、店から日本製品を撤去したりしている。
でも、日本製品を見つけて取りのぞこうとすると、逆に韓国社会がどれだけ日本製品に支えられているのかが見えてしまう。

すると結局、日本を隠すことはできても、なくすことは不可能ということに気づく。
韓国経済新聞(中央日報)のコラム(2019年07月10日)

日本の核心部品素材なくしてスマートフォン、自動車、精密化学など韓国の産業は回らない。こうした日本製品は「インテル・インサイド」のように目に付かない。病院の超音波CTなどは日本製が大半で、放送も日本製装備がなければ撮影や送出は難しい。

「メイド・イン・ジャパン」なく暮らす=韓国

日本行きのチケットを破り捨てて、日本製の機材でCTスキャンを受けるのが現代韓国人。

 

ボイコット運動で、ふだんは目に付かなかった「ジャパン・インサイド」に気づいた韓国人は多い(と思いたい)。
そもそも韓国での日本製品の不買・不使用を伝えるテレビ局の放送機材が日本製ということに、違和感を感じないのだろうか。
飲水思源、いまだならず。

 

おまけで、いま中央日報で見つけた鄭斗彦(チョン・ドゥオン)元議員の言葉を載せときます。

鄭元議員は「話にならないのは韓国製品もみんな日本の機械で作り日本の設備で作る。国産品は日本を抜いたら作れない」と主張したりもした。

鄭斗彦元議員「日本製品不買に反対…日本がなければ国産品作れない」

 

 

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今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。