脱反日？文大統領が一転、日本に友好をアピール。その理由は？

日本と韓国では価値観の違いから、見方が正反対になることがある。
たとえば伊藤博文を暗殺した安重根は、韓国では英雄（義士）になっているけど日本ではテロリストになる。
見方が違うだけで、どっちも間違いではない。
そして８月15日といえば、日本では終戦記念日だけど、韓国では日本統治が終わって独立を回復した記念すべきお祝いの日だ。
それで毎年、この日の韓国大統領の国民への演説は反日色が強くなる傾向がある。

日本による対韓輸出の管理強化によって、いま韓国では「ジャパンボイコット」が広がっていて、全国的に反日ムードが高まっている。
そんな今年の８・15スピーチで文大統領はどんなことを言うのか？
日本への対決姿勢を強調した演説をおこなうのだろうか？

そんな不安（や期待）が入り混じった2019年のスピーチでは、文大統領は国民の反日感情に迎合することなく、日本に対して控えめな言葉を選んで語った。
慰安婦問題や徴用工問題で日本を責めたり謝罪を要求したりすることなく、「東京オリンピックで友好と協力の希望を持つようになることを願う」、「日本が対話と協力の道に出てくるなら我々は喜んで手を握るだろう」と友好をアピールする。

文大統領のこの態度は韓国メディアですら予想外。

中央日報の記事（2019年08月16日）

３日前（１２日）、「感情的な対応はいけない」と話した時に雰囲気の変化は感知されていたが、その変化の幅が予想を超えたという評価だ。

「李舜臣１２隻」→「日本と喜んで手を握る」　文大統領、対日水位調節

一か月ほどまえ文大統領は、16世紀に李舜臣は12隻の船で豊臣秀吉の軍と戦ったと国民に日本への対決姿勢を訴えたのに、８月15日の演説ではクルリと手のひらを返した。
これに対して上の記事では、「この日、文大統領の対日メッセージはこれまでのものと比較して「破格的に」穏健だ。日本軍慰安婦や強制徴用問題は取り出しさえしなかった」と驚いている。

「日本には負けない！」から「喜んで手を握る」へのあざやかな転身、反日から韓日友好への心変わりの理由はなにか？

朝日新聞の記事によると、韓国経済の悪化と行き過ぎた反日感情への警戒のようだ。（2019年8月16日）

経済低迷への影響を懸念し、改めて日本に対話を求めるとともに、過熱した国内の対日感情を落ち着かせたい考えのようだ。

文大統領、日本批判を弱めた理由は　対日感情、過熱の中

文大統領の心変わりの理由は、ダメダメな韓国経済と行き過ぎた反日のほかにもある。
この２つに関係していることだけど、日本の輸出管理の厳格化に対して、文政権は有効な対応策を打ち出すことができないでいる。
ここ一か月ほどいろいろ考えてみたけど、具体的には手も足も出ない。
それでとうとう白旗をあげたという見方が日本政府内にある。

産経新聞の記事（2019.8.15）

政府関係者は「ついに打つ手がなくなって弱気になったのではないか。日本と対話したいのだろう」と述べた。

文在寅大統領演説　外務省幹部「明らかにトーンが変わった」

でも、「日本が対話と協力の道に出てくるなら我々は喜んで手を握るだろう」と先に日本が動くことを期待するのでは不十分。
文大統領が日本との友好を真剣に求めているのなら、日本との約束や国際法を守ることが先決だ。

言葉やトーンを変えるだけではなくて、中身が変わらなかったら韓日関係も変わらない。
安重根を英雄と呼んで８月15日を開放日と祝う韓国は、日本とは立場や見方が大きく違う。
だから文政権が対話と協力の道に出るのなら、誤解の余地のないようなはっきりした行動でしめす必要がある。
では、見せてもらうか、大韓民国の本気とやらを。