「感情が先走る不買運動」の結果、日本企業が韓国撤退

国と国の約束を守らない。
最高裁が国際法違反の判決を下しても、政府はそれを放置する。
次々と信頼を失っていた先に、韓国に対する日本の輸出管理強化がある。

くわしいことは当時の世耕経済産業相の説明をご覧あれ。

信頼関係が崩壊した結果、日本は対韓輸出の管理を強化したわけだ。
それに対して韓国側は失った信頼を回復するのではなく、日本製品の不買で対抗した。
本格的にその運動がはじまったころの韓国国民の様子がこれ。

中央日報の記事（2019.07.08）

不買バナーを作ってシェアし、日本製筆記具や化粧品などを１カ所に集めてごみ箱に入れる認証写真が次々とネット上に投稿されている。「日本製品はプレゼントだろうと受け取らない」という宣言、「慰安婦おばあさんの時から憎く思っていたが、どこまでも憎たらしい日本」のような字幕をつけた映像も目に入る。

日本製品不買運動が見落としているもの

でもメディアはまだ冷静で、全国的な反日運動の盛り上がりを見て、「見落としているもの」を国民に訴える。
それは簡単にいえば、感情のままに行動しても現実的な意味や具体的なメリットはない、ということだ。
たとえば日本のビールを冷蔵庫から取り出して流し台に流したところで、どこにどんな効果があるのか。

当時韓国のネット空間では、こういったものが大量につくられてシェアされていた。

インターネット抜きで「ボイコットジャパン」は絶対に不可能。
でも困ったことに、韓国人が使っているスマートフォンやノートパソコンには日本製の部品が入っている。
そういったものを、「今すぐ取り出して捨てることなどできないではないか。」と記事で呼びかける。

韓国政府やマスコミが国民の反日感情に火を点けて、その火は炎となって燃え広がった結果、よく分からないところへ到達した。

セブンイレブンなどに行かないというハッシュタグ（#）が「自分の考えを持っている」という称賛につながる。

セブンイレブンは本社が日本にあるから、「行かない宣言」をしたら英雄になれるらしい。
ここまでくると、韓国メディアも不安を感じはじめる。

目的を明確にして効果的に不買運動をしないと、ダメージをうけるのは自分たちだ。
それで中央日報は、「残念なことに、感情だけが先走りする不買運動は退行的だ」と警告する。
でも感情が先走った不買運動はやってて楽しいから、やればやるほど見落としたものに気づかなくなる。

日本のビールをぶちまけたり、日本製の筆記用具や化粧品をごみ箱に入れてSNSにアップしたりすれば、「やってやった感」を得られるから一瞬スカッとするかもれないけど、日本には何の影響もあたえられない。
太平洋にペットボトルの水をこぼして、「影響はゼロではない」という程度の意味しかない。

さて最近、「日本製品不買運動が見落としているもの」が少しずつ具体的に見えてきた。
たとえば朝日新聞のこの記事だ。（2019年10月7日）

オンワードが韓国撤退　日韓関係悪化が業績低迷に拍車

アパレル大手のオンワードが韓国にある26店舗を閉めて、韓国からの撤退を決めた。
もともと業績がよくなかったらしいけど、「とどめ」を刺したのは日韓関係の悪化。
「日本製品はプレゼントだろうと受け取らない」というノージャパン運動の成果だ。
これによる最大の被害者は26店舗で働いていた韓国人従業員だけど、「どこまでも憎たらしい日本」とネットに投稿していた韓国人は達成感を味わったかもしれない。
「感情だけが先走りする不買運動は退行的だ」ということに国民が気づくには、あといくつかの日本企業の撤退が必要だと思う。