韓米関係を参考に。日本が韓国に譲歩しても無意味な理由

 

いま韓国の文大統領や与党政治家の頭の中の98%は、きっと「北朝鮮との友好」で占められている。
それで南北協力事業を進めようとしているけれど、ハリス駐韓大使から、南北協力の計画についてはアメリカと協議した方が良いとく釘を刺されてしまった。

「パリパリ(早く早く)」の国民性もあるのだろうけど、北朝鮮との友好促進にブレーキをかけられた韓国政府や与党政治家はハリス大使に激怒。

くわしいことはハンギョレ新聞の記事(2020-01-18)を。

政府与党・大統領府、ハリス大使の発言を一斉に批判…北朝鮮個別観光実行の意志を強調

核ミサイル開発を放棄していない北朝鮮に対して、いまアメリカは韓国や国際社会と協力して制裁をおこなっているのだから、韓国が独断で“暴走”しては困る。
だから、ハリス大使がアメリカとの連携を求めたのは当たり前。

 

大使の言動を批判するだけならよかったけど、(ハリス氏が日本人の母親から生まれたことを踏まえてのことだろうけど)、「大使は朝鮮総督のつもりなのか」と怒る政治家まで現れた。
与党の怒りば支持者の反日感情を刺激して、大使の口ひげが「日本の巡査のようだ」などと言いがかりをつける国民もたくさんいる。

日本が朝鮮半島を統治していたころ、口ひげを生やした指導者や警察官がたくさんいた。
日系人ということで、何も関係もないハリス大使がそれに重ねられて個人攻撃を受けている。

 

上が東条英機で下がハリス大使
日本人の血が流れていて口ひげがあるというだけで、時代も思想も国籍も違う。

 

ここまでくると批判ではなくて人種差別だ。

今度はアメリカCNNが韓国を批判する。(2020.01.18)

ネットユーザーの中には、口ひげと合わせハリス氏の出自に言及する人もいる。
ただ、ハリス氏は日本人ではなく米国人だ。日系であることを理由に非難すれば、米国ではほぼ確実に人種差別主義者とみなされるだろう。

韓国で米大使の口ひげに激しい批判 背景に人種差別・歴史・政治

 

ハリス大使はこう話す。

「偶然日本人の母親に生まれたからといって、そうした歴史を持ち出して私に重ねるのは誤りだと思う」

これは人類共通の価値観だ。
ギクシャクした韓米関係が円滑化するために口ひげをそるかと聞かれたハリス大使は、遠回しの言い方だけど明確に拒否した。

 

伊藤博文を暗殺して韓国では英雄となった安重根もひげを生やしていた。
だからハリス大使も「(韓国人は)歴史のえり好みをしている」と指摘する。
おかしいのは口ひげではなくて、韓米関係のためにそれをそるかとたずねることだ。

 

さて、ここからの話は日本。
夏の東京オリンピックに向けてここ最近、韓国の「旭日旗追放運動」が激化している。
政府が旭日旗の使用禁止を国際オリンピック委員会(IOC)に要求した国は世界で韓国だけ。
中国も旭日旗には悪いイメージがあるけど、ここまではしない。

韓国が声を上げるとそれに応える勢力が日本にあって、朝日新聞が社説(2020年1月11日)でオリンピック競技場での旭日旗使用を遠回しに批判する。

戦後75年が過ぎても、そうした人々から見れば、日の丸を掲げる行為そのものが、侵略戦争の暗い記憶を呼び起こすものにほかならない。
東京五輪で旭日(きょくじつ)旗を振るのを禁止すべきだ――。最近、韓国の人々からは、そんな声も伝えられる。

東京五輪の年に 旗を振る、って何だろう

 

個人的にはスポーツ観戦で旭日旗を持って行かないし、他人にもそれを奨励しないけど、旭日旗を禁止しろとは言えない。
オリンピックのことは国際オリンピック委員会(IOC)が決めるべきで、旭日旗についてはIOCが「政治的主張にはあたらない」と認めたのだから、だれもがその見解を尊重するべき。

 

そもそも韓国で旭日旗を「戦犯旗」と呼んで強烈に拒否するようになったのはここ10年ぐらいのことで、以前は韓国の観艦式で旭日旗を掲揚した自衛隊の艦船を受け入れていたのだ。
でも旭日旗追放ムードが高まっていき、2018年の観艦式では旭日旗の掲揚が認められず、日本は参加できなかった。

韓国に配慮して旭日旗の使用を禁止したところで、何も問題解決にはならない。
根本は韓国社会にある強くて深い反日感情だ。
それがあれば口ひげでも旭日旗でも、何でも問題視されて問題化されてしまう。

朝日新聞の他にも韓国への配慮を優先する日本のメディアがある。

東京新聞は社説(2020年1月15日)で元徴用工問題の解決について、日本が動くべきと要求する。

日本政府は、「韓国内の問題」だとして傍観せず、文大統領の意欲に応えるべきだろう。

元徴用工問題 改善の意欲を見逃すな

 

こうは書くけど、文大統領は日本が納得できる解決案を何ひとつ出していない。
だからいまは韓国の本気を待つしかない。

 

韓国の反日感情に迎合してもその場しのぎになるだけで、また別の問題が生まれるから総合的には無意味。
むしろ日本から譲歩を引き出せたら、それは「成功体験」になって韓国側を元気づける。
そうなると、あとあと日本人が困ることになる。
慰安婦問題で“強制連行”を認めた河野談話のように。

旭日旗については韓国がIOCの決定に従うべきで、日本が韓国にゆずることはない。
元徴用工問題も韓国の国内問題で、韓国政府が国際法を守るべきだ。
自分たちの主張を国際ルールより優先することが根本的に間違っている。

 

いまの韓米関係を見ていても、どんなに反米感情が高まっても、アメリカ側はハリス大使を全面的に支持していて韓国に譲る気配が1ミリもない。
「ハリス・バッシング」に対して、アメリカは「信頼」で応戦した。

朝鮮日報の記事(2020/01/20)

韓国与党・政府・青瓦台のハリス大使たたきに米国務省「我々は彼を信頼」

安易に譲歩しても解決にはならないのだ。
韓米友好のために、アメリカがハリス大使にひげをそるよう求めることは絶対にない。

 

 

こちらの記事もどうぞ。

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ①

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ②

近くて遠い日本と韓国 「目次」 ③

 

2 件のコメント

  • 朝日新聞さん
    まずは、隗より始めてください。
    自社の社旗を変更すればいいのにw

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    今まで、東南アジア・中東・西アフリカなど約30の国と地域に旅をしてきました。それと歴史を教えていた経験をいかして、読者のみなさんに役立つ情報をお届けしたいと思っています。 また外国人の友人が多いので、彼らの視点から見た日本も紹介します。