アメリカで2020年5月、黒人男性が白人の警察官から暴行を受け死亡する件が起きたことをきっかけに、「Black Lives Matter」(黒人の命は大切)という人種差別撤廃運動がアメリカを越えて世界中へ広がった。
これと同時に人種差別について改めて見直す動きが活発となっていて(特にアメリカ)、いまいろんな言葉が別の言葉に置き換えられている。
例えばアメリカのツイッター社は、「マスター」「スレーブ」「ブラックリスト」といったプログラム用語をこれからは使用しないと発表。
マスター(主人)とスレーブ(奴隷)はかつてアメリカにあった奴隷制度を連想させるからだろう。
アフリカの黒人を拉致してアメリカへ運んで、豚や牛など家畜と一緒に市場で「販売する」という発想は同時代の日本人には考えられないことで、欧米の奴隷制度に触れた豊臣秀吉は怒りにふるえた。
とにかくこれからはマスターは「リーダー」、スレーブは「フォロワー」と呼ばれるようになるらしい。別の言葉になるかもしれないけれど、マスターとスレーブが消えることは確定済み。
金融大手JPモルガン・チェースも内部文書ではもう、「マスター」「スレーブ」「ブラックリスト」といった言葉は使わないという。
ちなみに「ブラックリスト」は「ディナイリスト」になるらしい。
くわしいことは米CNNニュース(2020/7/6) を。
米ツイッター、プログラム用語の「マスター」「スレーブ」の利用停止
アメリカ・メディアでも「黒人」という言葉を見直す動きがある。
これまでは「black」を使っていたけれど、これには差別的・侮辱的といった批判があったため、これからは別の言葉に置き換えられるという。
ではここでクエスチョン。
黒人を表す「black」をやめて、アメリカ・メディアが人種に配慮した、より適切な表現とは一体どんなものでしょう?
答えは「Black」。
頭文字の「b」を大文字にすることで、黒人を歴史や文化を共有するグループと認め、敬意を示す意味がでるらしい。
まー日本人のボクには、「より缶コーヒーに近づいた」という印象がするのだけど。
アメリカのサープス教授の説明では、すべて小文字のblackは「黒色」を意味する形容詞だけど、Blackと大文字にすると固有名詞となり、これは「単純な変更だが、大きな意義がある」という。
朝日新聞の記事(2020年7月7日)
「黒人はアフリカから奴隷として強制的に米国に連れてこられ、ルーツを断ち切られた。その代わり、この地で言語や料理、ファッションなど新しい文化を育んだ」と語るサープス氏は、大文字にすることで、こうした文化を認める意味があるという。
黒人の表記、「Black」に 米で拡大、敬意示す意味
bをBにしただけで、これほどの意義があるようだ。
大手メディアのAP通信は、「黒人と自認する人たちの間での、歴史やアイデンティティー、コミュニティーについての重要で共通の意識を伝えるため」、黒人の表記は「Black」にすると発表して、ニューヨーク・タイムズや全国紙のUSAトゥデーは系列の地方紙約260紙とともに大文字を使うことにした。
これに日本のネットの反応は?
・数年前に一生懸命言ってた「African American」ってなんやってん
・圏外にはよくわからんとですよ
・ちょっと前、ブラックはダメだ、とか言ってなかった?
・一年後にはBlackの後にRXついてそう
・文字が黒色なのはマズくないか?
・日本も別の形で合わせてきそう
それが一番めんどい
・日本人は敬意を表してYellowな
・全然意味がわからん
日本語の「ブラック企業」や「黒歴史」もそのうち使用不可になるかも。
「闇企業」とか「闇歴史」ならいいのかな。
日本に生まれ育って、ただいま英検2級のボクには小文字と大文字の違いがどうもピンとこないけど、上の教授はblackをBlackにすることで「単純な変更だが、大きな意義がある」と指摘する。
そういえばアポロ11号に乗って月へ行って、人類で初めて月面に降り立ったアメリカ人ニール・アームストロングも似たようなことを言っていたゾ。
「これは一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な飛躍である。」
アメリカはbをBにすることで人びとの意識を変え、人種差別撤廃に向けた大きな一歩になるのだろう。
なんか言霊的な。
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>Blackと大文字にすると固有名詞となり、これは「単純な変更だが、大きな意義がある」という。
うーん、なんか分かったような、分からんような。英検(ってまだあるの?)3級の私にはぜんぜんピンときません。
ところで、昔の米国黒人奴隷は「マスター」とは発音してなかったみたいですよ。専ら「ィエス、マッサ」と言ってたらしい。(アレックス・ヘイリー「ルーツ」より。)