日本で英語を教えているアメリカ人と話をしていたら、「できれば日本人には”ファックス”と言わないでほしい」と話す。
日本人がそう言うのを聞くと、彼はどうしても、性行為を表すかなり下品な単語の「ファック」(Fuck)」に聞こえてしまうらしい。
それで生徒には「ファクシミリ」と言うように指導していると。
「それ以前にさあ、日本人はもうファクシミリを使うのやめたら?」という指摘はごもっとも。
この場合はフツウの言葉を言ったら、たまたまNGワードに聞こえてしまったわけなんだが、韓国ではあえてその逆をして問題になっている。
朝鮮日報(2021/10/07)
なぜそこで「始発」? 韓国語の品格が一線を越えた
韓国語で「F●ck」のことを「シーバル」といい、同音異義語で「始発」も「シーバル」と発音する。
それであるクレジットカード会社が「始発(シーバル)カード」という商品を出して話題と批判が集まった。
こうすればNGワードを発音しても、「違う、これは始発のことだ」と言い訳することができる。が、クレジットカードにそんな名前を付けて、どんなメリットが?
そう思ったら、この言葉を使うことでストレス解消になるという。
何かストレスがたまることがあった時、NGワードを発しながらコーヒー・買い物・タクシーなどにお金をかけ、ストレス解消する時の費用という意味だ。
こういう刺激的な禁句を名前に使った商品が、「相次いで登場していることから、賛否両論が巻き起こっている」らしい。
この場合、問題の根本はコトバかココロか分からんけど、まあ韓国のことは韓国人が解決してください。
さて英語圏では「ファ●ク」と同じような、もしテレビやラジオでその言葉を言ったら、次の日から社会的に抹殺されるようなNGワードに「ニガー(nigger)」がある。
これは黒人を指す侮辱語や差別語で、アメリカでこれを公の場で使ったらもうおしまいだ。
最近、韓国人が歌う歌詞にそんなふうに聞こえる言葉があって「人種差別騒動」が起きた。
nextsharkの記事(March 19, 2022)
Korean words are being mistaken for racial slurs in latest trending K-pop song
「だから」という意味の韓国語「니까」(ニッカ)と、「君が」の「니가(ニガ)」 がアメリカ人には「nigger」に聞こえて、「黒人への人種差別だっ!」とカン違いする人が続出して騒ぎになったと。
でも、良識のあるアメリカ人はこんなコメントをする。
「This is INSANE!! It’s a DIFFERENT LANGUAGE, NOT A RACIAL SLUR!」
(これはINSANE(非常識、頭がおかしい)だ! 違う言語であって人種差別ではない!)
「始発(シーバル)カード」とは違って、この歌に人種差別の意図はないし言葉の意味も違うから、この騒ぎはそのうち鎮静化するはず。
でも2011年の韓国で起きたことは、ネタにもシャレにもならない。
バスのなかで韓国人男性が黒人男性に「니가(ニガ)」と言ったら、黒人がカン違いして激高し、相手に殴りかかって全治2週間のケガを負わせる事件が発生した。
「”ファックス”と言わないでほしい」と言っていたアメリカ人に、このK-POPの件を話すと、「それは面白いけど笑えない」とウンザリした顔をする。
アメリカ社会では人種差別的な言動がよくあって、深刻な社会問題になっている。
でも、意識が敏感すぎる人が一部にいて、差別じゃないのに「差別だ!」と勝手に感じて怒りだしたり、騒いで注目を集めようとしたりする。
特殊な意識をもつごく一部の人が、問題ではないものを大声を出すことで問題にしてしまう。
そんな「問題化」という問題が、近ごろのアメリカではよくあるらしい。
少し考えたら分かりそうなものだけど、人種差別について鋭敏で独特な人権感覚をもっている人には、韓国語の「니까」や「니가」が英語の差別語に聞こえてしまう。
そして声を上げるから面倒くさいことになる。
でも、こういう「問題化」の問題は日本でもあると思う。
> こうすればNGワードを発音しても、「違う、これは始発のことだ」と言い訳することができる。が、クレジットカードにそんな名前を付けて、どんなメリットが?
> そう思ったら、この言葉を使うことでストレス解消になるという。
大手のカード会社がそんなことやっているのですか、国民のニーズに応じて。